枝野幸男幹事長は3日、前日2日に続き北海道道北地域を訪れ、枝幸町、浜頓別町の両町長との懇談、地域の皆さんとの意見交換会に臨んだ。
枝幸町の村上守継町長と懇談
枝幸町の村上守継町長との懇談では、「民主党政権時に、水産振興に力を入れてもらい、鮮度を保つための設備を導入できたことにとても感謝している。その 施設は今もフル稼働している」「名産の毛ガニと同様に、ホタテのブランド化を図り、枝幸のホタテという地域ブランドづくりに力を入れている」「林業の方 は、バイオマス関係で需要があり、木材価格も上がってきており今後が期待できる。一次産業を主体に地方創生を進めている」とプラス面についての報告があっ た。しかし、抱えている課題も多く、「酪農に関しては、ここもそうだが日本全体の問題として後継者不足が問題。地域の担い手不足は深刻な問題となってい る」「医療については、一次医療は町内の医療施設で対応できるが、二次医療となると名寄まで出て行かなくてははならない。高規格道路を整備して1時間程度 で搬送できるようにしたい」などの意見があった。
枝野幹事長は民主党政権時の施策で成果が出ていることは何より良かったとして、「ここ枝幸町は、町の名前と自分の名前が近いことから、一度来てみたかっ た」と述べた上で、「想像力を働かせる前提として一度はその目で実情を見なければだめだ」と話し、地域の実情に合った政策を考えるための参考とさせていた だく」と語った。
浜頓別町の菅原信男町長と懇談
浜頓別町の菅原信男町長との懇談では、「人口の減少により地方が消滅すると言われ、政府も少し動き始めたようだが、主体的に頑張るところしか応援しない という。私たちも頑張っているが、成功する自治体はほんの一握り。国、都道府県、市町村の三位一体でしっかりやっていかないと、格差が広がるだけになって しまう」との考えを菅原町長は示し、自治体任せの政府の地方政策に疑問符を付けた。さらに、「北海道は広く、多くの自治体がある。地方政策も北海道とひとまとめにするのではなく、地域の実情に即した形で行ってほしい」と訴えた。
枝野幹事長は、「いくら地域で工夫や知恵を活かそうとしても限界がある。しっかりと国が後押しをしていかなくてはならない。北海道の道北地域の現状とて、水産業、林業、酪農で食べて行けるように、民主党としてもできる限り協力させていただく」と述べた。
浜頓別町で開かれた意見交換会で枝野幹事長は、冒頭に国政報告を行い、「民主党は国会でうちわの話ばかりしかしないと言われるが、実際に政治とカネの話 で自民党を追及しているのは全体の審議時間の1割ほどしかない」として、政治とカネの話ばかりが取り沙汰されることについては「マスコミがしっかりと報道 してくれないからだ」と説明した。また、「強いものがより強くなるのが自民党の政治では、目先の株価の上げ下げにしか目が向いていない。それに対して、社 会全体を底上げして支えるのが民主党の進める政治だ。日本という国の体質改善を図り将来に目を向けている」と説明し、自民党と民主党の政策の違いを訴えた。
意見交換では、「消費税やTPPなどの国論を2分する問題には明確な方針を出すべき」「医療問題で、自由診療などを増やすと、お金持ちばかりが優遇され ることにはならないか」「憲法改正についての考え方は」などの質問が出され、枝野幹事長は、「2年前に民主党はそれで失敗した。複雑な問題を単純化して白 黒付けるようなことはポピュリズムになりかねない」「民主党の基本的な考え方は、現状の医療制度を残すこと。自由診療や混合診療は状況に応じて行えばよ い。しかし基本は現在の仕組み」「ある程度の幅を持った憲法解釈は認められるが、安倍総理の憲法解釈の変更は、その幅を逸脱したもので認めることはできな い。そもそも安倍総理は立憲主義を全く分かっていない」などと答えた。
最後に枝野幹事長は、「率直な意見を聞かせていただき感謝する。民主党は、意見を聞かせていただいた皆さん側にある。反対の方向に矢印を向ける勢力と戦っていく」と話して締めくくった。
枝野幹事長はこの2日間の道北地域の視察を終えての感想を記者団から聞かれ、「日本は狭いようで広い。農山漁村地域と言っても地域によって大きな差が る。地域の個性を活かした政治をやっていかなくてはならない。また、いわゆるアベノミクスが、今回に回らせていただいた地域では、副作用の方ばかりが非常 に強く出ている。こうした状況を(アベノミクスの副作用を改善するよう)国政に反映させていかなくてならないと強く感じた」と述べた。
枝野幹事長は地域の皆さんと率直な意見を交わした