GPIF日本株買い、新基準では9.8兆円必要-外国株11.5兆円
11月4日(ブルームバーグ):年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF )は新ポートフォリオに対応するため、国内株式を約9.8兆円買う一方、国内債券は約23.4兆円減少させる必要がある。ブルームバーグ・ニュースが現状の運用資産規模から試算した。
試算された国内株式の追加購入額は、海外投資家 による日本株の年間買越額としては過去2番目で、小泉政権(当時)の構造改革に対する期待が広がった2005年の10兆3219億円に迫る。25%を保有すれば31兆8150億円に達し、東証1部時価総額の6.7%(前週末時点)を保有することになる。
約127兆円の運用資産を抱えるGPIFは10月31日、長期運用のベースとなる基本ポートフォリオでの国内株式を現在の12%から25%、国内債券を60%から35%にそれぞれ見直すことを決めた。一方、外国株式は12%から25%、外国債券は11%から15%へ変更する。基本ポートフォリオに対する乖離(かいり)許容幅は、国内株式が上下9%、国内債は同10%、外国株は同8%、外国債は同4%。
野村証券の松浦寿雄シニアストラテジストらは31日付のリポートで、「現状の国内株式構成比を変更前の基本ポート上限の18%と想定しても9兆円程度の日本株買いが想定できる」と分析。GPIFの記者会見では「期間は決めていない」などの点が強調されたものの、同証推定では10月の信託銀行 による買越額は1兆円を上回ったもようだとし、「『買い方の変化』が生じるかに注目したい」という。
一方、今回の変更で、外国株式に対する比率も日本株と同様に大きく引き上げられた。外国株についても、GPIFは11.5兆円買う必要がある。富国生命投資顧問・株式運用部で外国株を担当する森智勝チーフファンドマネジャーは、「世界最大の年金基金とあって、外国株に対してもインパクトは大きい」と指摘。その上で、「年金資金なので影響を与えないように買うだろうが、大半が向かうと予想される米国株、市場の小さなアジア株には最もインパクトがある」と話していた。
GPIFの6月末時点の資産構成割合は国内株17.26%(金額21兆9709億円)、国内債券53.36%(67兆9102億円)、外国株式16%(20兆3353億円)、外国債券11.06%(14兆726億円)だった。
記事に関する記者への問い合わせ先:東京 長谷川敏郎 thasegawa6@bloomberg.net;東京 野原良明 ynohara1@bloomberg.net;香港 Kana Nishizawa knishizawa5@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Sarah McDonald smcdonald23@bloomberg.net院去信太郎
更新日時: 2014/11/04 14:44 JST