安倍首相は予定通り消費増税を、公明政調会長が「ベストシナリオ」と
11月4日(ブルームバーグ):連立与党を組む公明党の石井啓一政調会長は、消費税率は予定通り来秋に上げるべきだとの見解を明らかにした。財政健全化につながる上、引き上げなかった際の影響も示した。
2015年10月に10%への再引き上げが予定されている消費税率について石井政調会長は10月31日のインタビューで「予定通り上げるのがベストシナリオだ。社会保障の財源を確保することになり、財政健全化にも寄与する」と述べた。先送りした場合、今年度内に関連法案を改正しなければならないことも理由の1つとして挙げた。
4月の消費増税を受けて4-6月期の国内総生産(GDP)は前期比1.8%減、年率で7.1%減と大幅に悪化。消費再増税は安倍晋三首相が7-9月期GDPなどを踏まえて12月に判断するが、本田悦郎内閣官房参与や自民党の山本幸三衆院議員が1年半の延期を主張するなど政府・与党内からも慎重論が出ている。
石井氏は「党内でもいろいろな意見はあるが、党の方針としては安倍首相の判断を中立的に見守る。首相の判断に圧力をかけるようなことはしない」と強調した。公明党の経済再生調査会は10月末、本田氏を講師に迎えて消費増税の是非について議論した。
消費再増税時の軽減税率の導入が困難との見方については石井氏は「軽減税率の導入に時間がかかるから消費税の引き上げを先送りしようと主張するつもりは全くない。軽減税率は別途検討していく。一番重要なのは混乱なくやるということだ」と語った。
日本銀行の10月31日の追加緩和については「2%の物価目標の達成のための政策手段は日銀に任せている。日銀が必要とされた判断を受け止めたい」と評価。その上で「黒田東彦総裁はかねて消費増税を予定通りやるべきだと発言している。そういう意味で、金融サイドから環境条件を整えたのかも知れない」と述べた。
増税に関係なく補正を一方で、石井氏は足元の景気動向について「消費増税の反動減の回復が遅れ気味。円安もあってエネルギーや資材の物価上昇に賃金が追いついていない」と懸念を表明。その上で「増税とは別に、足元の景気対策としての補正予算をまず組むべきだ」と述べた。
特に「円安による悪影響をどうカバーするかだ。エネルギー価格で苦しんでいる輸送や農林水産業などの業界、燃料を使う寒冷地でしっかり配慮していく」と、円安対策の重要性を強調。具体策を早急にとりまとめ、来年の通常国会冒頭に提出する考えを表明した。また、財源確保のための赤字国債の追加発行は避けるべきと述べた。
消費増税に伴う景気の腰折れを回避する下支え策については「プラスアルファで考えるべきだ」とした上で、「政策が10月の増税後に効くようにしなければならない。時期的に考えると、来年度当初予算の中に対策を組み込むことになる」との見通しを示した。
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更新日時: 2014/11/04 11:45 JST