北九州市長が公表遅れを謝罪 赤痢集団感染拡大 [福岡県]
八幡東区の幼稚園での細菌性赤痢集団感染で北九州市が事実をすぐに公表しなかった問題で、北橋健治市長は29日、定例記者会見で「感染が拡大したことは申し訳ない」と謝罪し、「早く公表すれば(拡大を)防げた可能性がある」として、市の内規で定める感染症公表基準を見直す方針を明らかにした。11月に医療、学校関係者による検討会議を発足させて改定内容を協議し、本年度中に公表する。
問題は、幼稚園に通う男児(6)が今月9日、下痢や血便の症状を訴えて14日に入院し、16日に赤痢菌への感染が確認されたのが発端。市と園は17日、協議した上で「混乱を避ける」(保健福祉局)ため同園の保護者全体に事実を伝えなかった。その後、他の園児や家族から赤痢菌の検出が相次いだため、市は24日になって事実を初めて公表。25日に園の保護者向け説明会を開いた。公表を8日も先延ばししたことで、園内感染拡大につながった可能性がある。
市保健福祉局によると、2004年に作成した内規での細菌性赤痢の公表基準は「感染により、命に関わる重篤な症状が出て入院した事例」。工藤一成局長は、赤痢を把握後すぐに公表しなかった理由について「重篤者がいなかったため」と説明した。しかし、11年9月には重篤者ではなかったのに公表したケースがあったという。
工藤局長は「内規の基準自体に問題があり、反省すべき所がある」という認識を示した上で、公表基準見直しについては「現場の担当者で対応が違わぬよう、統一基準をつくっていきたい」と話した。
=2014/10/30付 西日本新聞朝刊=