1990年代に朝日新聞の記者として、旧日本軍の慰安婦強制動員に関する記事を書いた植村隆氏(56)が講師を務める北星学園大学(北海道札幌市)が、植村氏との雇用契約を更新しないとの方針を固めたという。毎日新聞が先月31日報じた。
極右勢力は北星学園大に対し「慰安婦関連の記事をでっち上げた売国奴植村を解雇しなければ、爆弾テロを決行する」などと脅迫してきた。これに対し同大は先月初め、日本全国の知識人たちと共に「学問の自由を守るため、脅迫には毅然として対処する」と宣言していた。
だが、同大の田村信一学長は最近、大学関係者たちに「脅迫行為が続き、警備員を増員することによる金銭的負担が増加している上、入試にも支障をきたしかねないため、契約更新は難しい」との意向を表明したという。脅迫行為をした犯人はこれまでに1人検挙されたが、今後も脅迫が続く可能性が高いと考えたのだ。同大は今月5日に講師たちとの来年の雇用契約について決定する予定だ。
田村学長の発言が伝わるや、同大の教職員たちは先月30日「大学の自治と学問の自由を考える会」を結成し、植村氏の契約更新を求めるなど反発している。
朝日新聞社を退職した植村氏は今年3月、兵庫県神戸市にある大学の教授として採用される予定だったが、極右勢力の脅迫により採用が取り消された。また、大阪のある大学は慰安婦関連の記事を書いた朝日新聞の別の元記者を教授として採用していたが、解雇を求める極右勢力の脅迫に屈し、辞表を受理した。
一方、安倍晋三首相は先月30・31日の両日、国会での答弁で「朝日新聞の社是は安倍政権の打倒だ」「朝日新聞が政権を打倒しようとするために(慰安婦関連の記事に)誤報があったのだと思う」と発言した。これに対し朝日新聞は31日「当社の社是は安倍政権の打倒ではない」と主張する記事を掲載した。