HSBC香港活用マニュアルセット
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アリババ天井

2014年10月16日

なぜ米国金利が上がらないのかという謎に、人々は思いを致すべきであろう。

既にマーケットは数カ月にわたり、来年第2四半期にはFRBが金利を上げることになるだろうと信じている。

不思議なのは米国長期金利が、まったく上昇しない。10年物の財務省証券の利回りは1月に3.05%の高値を付けて以来、ステディーに低下してきている。8月には2.30%あたりまで低下、その後2.67%まで金利上昇となったが、再び金利低下、10月9日には2.27%までの安値を見ている。

来年の第2四半期にはFRBの金利上げがあるにしては、明らかに長期金利の動きがおかしい。本当に来年に金利が上昇するなら、長期金利はとっくに3%を超えているはずだ。

99%の市場参加者が当然のように来年の米国金利の上昇を見ているというのも異常である。

こうした利上げの予測は、もっぱら失業率の改善や非農業雇用の増加の数字から見た景色である。雇用の改善が景気の上昇につながるためには、雇用改善の結果、人々の消費活動がそれによって活発化するというフォロースルーが必要である。しかし消費活動は、雇用が示唆するほど盛り上がってこないところに問題がある。

今の米国経済を見ていると雇用が重要ではなく、消費が重要だということが分かってくる。

にも拘らず、もっぱら雇用の改善をはやして金利上げを予測するというのは違うだろう。

したがって、長期金利が上がらないで下がる現象の背景には、米国経済は金利を上げるような状態にはないとマーケットが言っているのである。

マーケット参加者はマーケットを観察することなく、誤ったロジックで金利上げ の結論を導いてきたのである。

マーケットをバイアス(偏向)なしに素直に見る目を持つことが重要である。

もしバイアスなしに今の金利の動きをみるならば、米国はデフレ不況の前夜ということになるのではないか。FRBもそれを懸念して、連邦公開市場委員会の議事録に見られるように、世界経済の減速、ドル高の進行を米国経済に対するリスクと認識する流れに入ってきているのではないか。要はFRBは金利の引き上げに追い込まれないように、スタンダードをどんどんハト派の方向にずらして行っているもののように見える。今月に入ってからの米国株価の乱高下は確かにFRBの神経を逆なでするものだろう。

9月19日の米国株価最高値を記録した日はアリババの新規上場の日であった。

中国のインターネット・ショッピングの大手会社とは言えマーケットの盛り上がり方は異常で、アリババの時価総額24兆円はトヨタの23兆円を超えた。

当日のNYダウ高値17,350ドルは構成の歴史家にアリババ天井と呼ばれることになるだろう。

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投信の躍進を黙認してきたFRB、米国経済は何処へ

2014年9月16日

SEC(米国証券取引委員会)は、資金運用業界が、銀行のようにいざマーケット崩壊の時に、どの程度まで耐えられるのかと懸念し始めている。

50兆ドルといわれる資金運用産業の預かり資産がどの程度のストレスに耐えられるのか。

投資信託会社のビッグ5はブラック-ロック4.59兆ドル、ヴァンガード・グループ2.86兆ドル、ステート・ストリート2.48兆ドル、ピムコ1.97兆ドル、フィデリティー1.95兆ドルとなっている。これらの大手会社に銀行と同じく“大きすぎてつぶせない”から税金投入を余儀なくされる自体が起こる可能性がどの程度あるのか。またその事態を回避するためにどの程度の規制が必要かということを、SECが検討し始めている。

少し遅すぎるのではないかというのが筆者の印象であるが、とりあえず銀行に網をかけるのが最初で、証券界は後回しにされたということだろう。

オルタナティブ投資信託はデリバティブを使って運用益を最大化する商品であり、今最も売れ筋の商品である。一般大衆がどの程度のこのリスクを理解しているか。一旦緩急あった場合の巨大な払い戻しに市場、あるいは投信会社が耐えられるのか。また低金利時代の常として、利回りを極大化するための商品が出回っている。レバレッジETFなどもその典型で、構造的にこの業界を吹き飛ばしてしまうリスクが含まれている。

リーマンショックは銀行業界のやり過ぎが招いたものだが、次に来るものは資産運用産業のやりすぎから来る反動の大幅株安が懸念される。低金利の時代はすぐにバブルが発生するが、今回の米国株のケースはFRBがバブルを使って、景気回復を狙ったわけで筋が非常に悪い。

第1次世界大戦の後これだけの惨禍を蒙ったから2度とこのような大戦は起こらないだろうという人々の希望に反して、すぐに続いて第2次世界大戦が起こった。基本的には第1次大戦で明らかになった諸矛盾を解決することなく、戦争を終結したために、またすぐ同じ問題で戦うことになった。

リーマンショックの惨禍を見たので、当分大丈夫だろうというのは、第1次大戦後の希望的観測と同じようなものだろう。米国そのものが面している、巨大な矛盾の根本が解決されていないまま、FRBの介入で小手先の手段で対症療法に走ったツケは、次のさらに大きな問題をインバイトするだけである。

まさにそれが始まろうとしているのが今の米国だろう。

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米国経済はなぜ本格回復しないのか考える

2014年8月12日

株価、失業率等明るいニュースもあるが、全体として米国経済の回復が遅々としてはかどらない。いったいその原因はどこにあるのか。少なくとも原因ではないが、いったい経済のどの部門が足を引っ張っているのかという調査を8月5日付のNY タイムズが公表している。

1993年から2013年までの20年間のGDPの各部門の構成比を出し、それに議会予算局の2014年第2四半期の潜在的総生産を掛け合わせて試算したものである。過去20年間の数字から類推すると、米国のGDPは完全に健康な状態に比べてほぼ8000億ドル(80兆円)ほど少ない。

どのセクターが足を引っ張っているかというと大きい順番に
住宅投資――マイナス2394億ドル
州政府および地方政府支出 マイナス1892億ドル
耐久消費財消費 マイナス1787億ドル
企業設備投資 マイナス1199億ドル
連邦政府支出 マイナス1185億ドル
非耐久消費財消費 マイナス 744億ドル
企業構造? マイナス153億ドル

一方GDP の増加に貢献しているセクターは大きい順に
サービス消費 626億ドル
企業在庫  531億ドル
知財投資  289億ドル
ネット輸出 213億ドル

となっている。過去20年間の傾向を踏襲すればという架空の数字に比べて以上のように大きく数字がぶれている。合計ではマイナスの8450億ドル、17兆ドルのGDPの5%に達している。圧倒的に目立つのは住宅投資である。これが足を引っ張っている。

さらに州政府、地方政府、連邦政府の支出が財政健全化の魔女狩りで合計3000億ドルも減少している。サービス以外の消費支出も合計2500億ドルのマイナスである。企業の設備投資も大幅マイナスで、企業は先行きに自信を持っていない。

こうしてみると、住宅投資は構造的な変化に見舞われているように見える。共和党、茶会党の小さい政府政策が、財政支出の削減でGDPの足を引っ張っている。GDPの71%を占める消費支出は不振である。

という構図が浮かび上がってくる。この内訳をみると、今すぐに米国経済のこれらの不振の部門が回復することは難しいと思われる。FRBのテ―パリングから金利上昇というシナリオは難しいように思えるが。

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米国のテーパリングは本格的に経済に影響を及ぼすのか?

2014年7月17日

米国FRBの量的緩和(QE)のテーパリングが着々と進行中である。

7月からは月間の債券購入額を350億ドルに減らしている。年末までには月間債券購入をゼロにする方向で進んでいる。今マーケットではその後の金融引き締めの開始に付いての憶測が盛んである。年末までにテーパリングが終了すると、その時のFED(連銀)のバランスシートは4兆6千億ドルあたりに拡大することになる。(現在4兆4千億ドル)

テーパリングが終了するとFEDの債券買いがゼロになるかというとそうではない。4兆ドルもの債券を持っていると毎月巨額の期日償還を迎えることになる。昨年は期日償還を迎えた現金の再投資が毎月240億ドルになった。今年は毎月160億ドルのペースらしい。

FEDの保有する債権の6割は財務省証券、残りの1兆5千億ドルはMBS(住宅抵当担保証券)であり、このMBSは期日があるがいくらでも期限前解約できる性質のもので、場合によっては大量に償還がある。2016年になると年間で1770億ドルもの巨額の償還が予定されている。

FEDはこれらの償還された現金を再投資するためにテーパリングが終わっても、債券を買い続けることにしている。つまり4兆6千億ドルに膨らんだバランスシートを減らすことなく維持し続ける方針である。

この再投資額が償還金額を下回り始めると、本当の意味でのQEの縮小(出口)ということになるのだが、FRBは当分その点には触れたくないようだ。
マーケットの引き締め開始の議論はその点を飛び越していきなり金融引き締めの時期を憶測する愚を犯している。

FRBはこのQEが実体経済に与える効果についてますます懐疑的になりつつあるように見える。株高や住宅高の資産価値の上昇が実体経済に与える効果が思ったほどでなくひたすら金持ちがさらに金持ちになるという悪循環を呼んでいることに気がつき始めているのではないか。それがテーパリングに入ってきた真意ではないかと筆者は勘ぐっている。

かといって一挙に出口に走るとそれこそ大惨事になる恐れがあるので、それもできない。どちらにも行けずマーケットの大崩壊をひたすら恐れているというのがFRBの内実ではないかと同情している。

金利上げなんてとんでもないだろう。米国はこれからデフレに入ろうとしているのだから。

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若林栄四氏 最新インタビュー「フライングバックジャパン21」を公開しました

2014年6月27日

こんにちは。トレトレスタッフです。

若林先生最新インタビュー「Flying Back JAPAN! 021」を公開しました。 

今回は
・日本はインフレへと進むが、世界はデフレ
・日本の黄金時代がやってくる!?
・注米国株が暴落するなら為替相場の展開は?何を選べばいいのか?


などについてお話を伺っています。

下記リンク先よりインタビュー記事をご覧にいただけます。

若林栄四「 Flyng Back JAPAN! 021」

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米国の金利下落と株高という二つのメッセージは、どちらかが間違っている。

2014年6月16日

まったくいつになったら米国株が落ち始めるのかイライラして待っているが、今月に入って相場は高値更新である。そうこうするうちに2014年も6月に入った。

そういえば7年前、2007年の6月にドル相場は124円14銭で天井を打って下がりだしたことを思い出した。正確には6月22日である。その日が夏至であったことも鮮明に覚えている。ちょうどその時大阪で講演があり、今日は夏至だから、相場の陽の極であり、明日からドルが下がり始めるのではないかという話をした記憶がある。人々(北半球の)は、夏至はお祝いしない。これからだんだん陰に移行するからである。

冬至はみんなでお祭りすることが多い。陰が極まり、これからどんどん陽が大きくなっていくからである。朝4時に目が覚めて寝床で考えていたら、その7年前の夏至の天井から7年目というのは52×7で364週目ということであり、そうすると6月初旬は362週目であることに気がついた。黄金分割である。62、162、262、362となる。

ひょっとすると今週からドル・円相場が落ち始めるのかもしれないと思った。とすると6月から米国株が落ち始めるのかもしれないとも思った。いずれにせよ、米国長期金利は明らかに低下の方向を示している。

それと米国株高がどう整合するのか。この時点においての米国金利下落、と株高という二つのメッセージは、どちらかが間違っており、間違ったシグナルを発していると考えている。

筆者の考え方では長期金利の下落が米国のデフレ入りを示唆しているとみているが、そうなると株高は間違ったメッセージである。株高が正しければ、長期金利下落は間違ったメッセージである。両方が正しいメッセージではありえない。一部マーケット筋は長期金利の下落が株高の要因と強弁する人もいる。

しかしFRBのテーパリングの風景の中でそれは自己矛盾である。長期金利の低下は景気の後退あるいは経済のデフレ入りを説明しているはずである。そういえば今月に入りECBも、準備預金にマイナス金利を適用するというデフレ宣言を発している。世界デフレの入り口にいる世界経済ということだろう。

デフレを卒業した日本、これからデフレの米国、欧州という大局観でよいだろう。
日本だけが先進国で繁栄する時間帯に入った。今年第1四半期の実質経済成長率は6.7%と発表されている。消費税駆け込み需要はあるが、3%のインフレを加えれば名目10%近い成長である。税収が10%増えることを意味している。これからの日本を象徴するような数字である。

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景気好転していると言われる米国の、住宅産業はまだ回復していない!?

2014年5月12日

米国住宅産業が景気回復でも思ったほど伸びていない。

2000年から2006年まででそれまでの年率1.5百万戸のペースを上回り、2.1百万戸のオーバービルディングがあったといわれている。ハウジングバブルが破裂した2007年から2013年までの間には、年率1.5百万戸の過去のアベレージに比べて4.8百万戸少ない住宅しか建築されなかった。

したがって2000年から2006年までの建て過ぎの分は十分消化されてしかるべきである。

にもかかわらず2008年に底を打った住宅建築件数は、まだ1百万戸前後で、歴史的な1.5百万戸の標準レベルに遠く及ばない。

この原因には、年間の世帯形成数が大幅に落ちているということが挙げられている。2001年からの2006年までは年間1.35百万世帯が毎年新たに形成されていた。これは子どもが親から独立するとか、移民がはいってきて新しく世帯を持つという数字である。

ところが2007年から2013年の間にはこの世帯形成数が年間平均569千世帯にまで激減している。全体であるべき世帯数から2.3百万世帯が消えている。おそらく若者が親から独立するのが経済上難しくなっている。あるいはリタイアした両親も家を出て別に済むというのが難しくなっているという辺りがその背景にある。この世帯形成が増えなければ、住宅産業の本格的な回復はない。

さらに最近の住宅建築は1戸建てが減り、2012-13年では全体の住宅建築許可の34%が集合住宅(たとえばマンション、アパート)となっている。平均224千ドルの1戸建てに比べて集合住宅の建築コストは平均102千ドルと大分安い。また1戸建てなら翌年にかけて3.7人分のジョブがクリエイトされるが、集合住宅の場合は1.8人のジョブしか作り出さない。

こうして本来であればもっと米国経済の回復に寄与すべき住宅産業が、その役割を担えていないところに、米国景気回復のスローペースの一つの原因がある。

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若林栄四x川合美智子 特別セミナー、6/21開催決定!

2014年5月 9日

トレトレスタッフよりお知らせです。

2014年6月21日(土)、赤坂アークヒルズクラブで「世界のマーケットはこう動いている!」特別講演の開催が決定したことをお知らせいたします。

講師は、ワカバヤシ エフエックス アソシエイツ代表取締役、若林栄四氏。そして、同社代表取締役である川合美智子氏のダブル講演となっております。

アベノミクスの不発がドル安を招くのか?ドル円をはじめ、注目のユーロ、豪ドル、金、そして日経平均の行方など気になるマーケットを若林氏と川合氏が読み解きます。

<タイトル>
世界のマーケットはこう動いている!

<日程>
2014年6月21日(土)

<時間>
13:00~17:40(若林特別セミナーは16:10~17:40)

<場所>
赤坂アークヒルズクラブ

お申込・その他詳細については、セミナー主催者となりますアメジスト香港様のHPよりご確認下さい。
http://www.amethyst.hk/seminar/seminar_form_ark0621.html

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米国経済の憂鬱

2014年4月18日

FOMCの議事録が9日発表された。

その結果、イェレン議長の前回FOMC後の記者会見における発言で2015年春から金利上げがあるかもしれないととられ、株が急落したのは記憶に新しい。公表された議事録では、失業率と金利政策の関係を断ち切り、それ以外のもろもろの経済指標を見ながらの金融政策ということになった。やや分かりにくいが、イェレン議長ほか数人はまだまだ金融緩和をやめるということは時期尚早で、米国経済はまだ回復しきっていないとしている。

それに対して少数派ではあるが、インフレ対策として金利上げのタイミングを注視すべきだという委員もいる。この信じられない発言は、いったいどこを見て発言しているのか。米国にはインフレの影も形もない。あるのはデフレ懸念で、実際に懸念ではなくこれからデフレに入り込むことはまず間違いないだろう。

FOMCの委員ほどの経済に精通しているはずの人間がこのような見方をするのは、いかに人間というのは先が見えないかという良い例である。イェレンにしてもバーナンキにしても経済学の泰斗だが、先がそれほど見えていなかったことは確かだ。

今回イェレンは米国のロー・インフレーションを懸念していると言っている。正しい懸念である。しかし量的金融緩和を縮小する方向は変えていない。その程度の懸念である。

しかし本当は重大な状況が目前である。9日発表された議事録で金利上昇が遠のいたとみたマーケットが180ドルの株価上昇で報いたが、しょせん金融政策で何とかなるほど株価の将来は甘くないだろう。

QEで無理やりここまで持ってきた株価だが、これ以上は無理だろう。金融政策ではてこ入れは難しい。財政はどうだというと、これも歳出削減の嵐である。デフレしかないではないか。

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The tail waggles the dog(尻尾が犬を振り回す)

2014年3月12日

新しい本の構想を練っている。

どうも米国の現状について何かがおかしいのではないかと考えている。去年の暮れから今年の初めのマーケットの雰囲気はいよいよ米国経済はリーマンショック後の不況から復活、新しい成長の時代に入った。したがって米国の株式相場はさらに上昇が期待できるというものであった。

2002年のIT バブル破裂後の最安値から4年半たった2007年の春に、NYタイムズが特集を出した。ITバブル後の経済がようやく本格的な回復し、新しい成長の時代に入ったとして、米国の著名大企業の経営者、著名エコノミスト等の、肯定的なコメントを集大成したものであった。

ご案内の通りそのタイミングはまさに不動産バブルの頂点でその後のリーマンショックで2009年の3月まで株が暴落したのは記憶に新しい。その2009年3月から4年8カ月ぐらいたった昨年11月あたりから、米国経済本格成長開始説が流布され始めた。

ではこの説は底から4年半というタイミングを除けば、確かにそうかも知れないと思わせるものがある。特にフィーバーが盛り上がっているとも思えないし、米国経済に死角はないように見える。

しかしチャートでみると、株価はこれ以上上がれないところまで来ている。ということで実体経済をつぶさに観察するとあえて異常なものは米国の貧富の差の拡大であるということに気がつく。

これだけの貧富の差があって、米国経済が本格的に成長できるというのは考えにくい。というのは米国経済の成長、あるいは消費の伸びというのはほとんどがトップ5%の所得層が引っ張っているということで、後の95%はほとんど横ばっている。

トップ5%は量的金融緩和による資産価値の上昇で最も利益を受けた層であり、その人たちの不急不要の消費活動が、株価上昇、消費拡大の流れを作り出してきたものと考える。これ以上株価が上がらなくなれば、5%層の消費は増えなくなり、株価が下がれば消費は減少する。

つまり尻尾(株価)が犬(経済)を振り回す事態が大いに起こりうるということである。しかもFRBは量的金融緩和の縮小に着手している。資産価格の上昇を支えてきた史上最大の大介入が終わる。これが危機的と言わずになんというのだろう。

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