【ニューヨーク=山下晃】3日のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)では、指標となるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の12月物が前週末比1.76ドル安の1バレル78.78ドルで取引を終えた。節目の80ドルを終値ベースで約2年4カ月ぶりに下回った。
アジア市場の指標となる中東産ドバイ原油は4日午前、1バレル81.60ドル前後と前週末比で2.20ドル下落し、4年ぶりの安値となった。
WTIが節目の1バレル80ドルを割り込んだ背景には世界的な原油の供給拡大がある。石油輸出国機構(OPEC)加盟国は市場シェアの拡大を優先し増産基調が続く。欧州や中国経済の減速懸念が強まるなか、原油の余剰感が意識されている。
ドル高により、ドル建てで取引される原油の指標価格に割高感が広がったこともある。サウジアラビアの国営石油会社、サウジアラムコが米国向けの12月の販売価格を引き下げたことも売り材料となった。
金もドル高を受け下落し前週末比1.8ドル安の1トロイオンス1169.8ドルとなった。終値で4年3カ月ぶりの安値を更新した。
3日のニューヨーク株式市場では原油先物相場の下落が石油株の下げにつながり、相場全体の足かせとなった。ダウ工業株30種平均は前週末比24ドル28セント(0.1%)安い1万7366ドル24セントと小幅安で終えた。ダウ平均の構成銘柄ではエクソンモービルやシェブロンなどの下げが目立った。先週末に過去最高値を更新しており、利益確定の売りも出やすかった。
原油安は日本の消費者にとって恩恵となる。ガソリンの店頭価格は10月27日まで15週連続で下落した。原油価格に連動する液化天然ガス(LNG)の調達コストも引き下げられ、来年以降に電気・ガス料金が一段と引き下げられる可能性もある。
WTI、ウエスト・テキサス・インターミディエート、OPEC、ダウ平均、終値、エクソンモービル、シェブロン