「宇宙開発の新潮流」

「アンタレス」爆発は、プロジェクトの強靱さを見せつける

複数トラック化で影響は最小限に

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2014年11月4日(火)

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 夜のロケット打ち上げは、噴射炎が輝き、昼よりも派手になるが、事故となるとなおさらだ。2014年10月28日午後6時22分(米東部時間、日本時間では29日午前7時22分)、米オービタル・サイエンス社(OSC)は米ヴァージニア州米航空宇宙局(NASA)ワロップス飛行施設から、国際宇宙ステーション(ISS)向け物資を搭載した無人輸送船「シグナス」を搭載した「アンタレス」ロケットを打ち上げた。しかし、打ち上げから数秒後、ロケットは爆発し、そのまま射点施設へ落下、炎上した。

 シグナスには、ISS向けの水・食料や、米ベンチャーの開発した小型衛星、宇宙航空研究開発機構(JAXA)などの日本の実験装置など合計2215kg(パッケージ材を含めると2296kg)が搭載されていたが、すべて失われた。また、射点設備も相応に損傷を受けた模様だ。

 シグナスとアンタレスは、NASAの商業軌道輸送サービス(COTS:Commercial Orbital Transportation Services)という宇宙民営化政策の一環として、NASAからの補助金を受けてOSCが開発した無人輸送船とロケットだ。

ISS計画へのダメージは最小限

 日本では、事故によるISS運用見直しや宇宙の民営化後退の懸念を伝える報道が目立ったが、実際にはCOTSや国際協力によってISS運営への影響は最小限に抑えられるだろう。もちろんISSへの輸送計画は組み直しになることは間違いない。しかし1986年のスペースシャトル「チャレンジャー」爆発事故や、2003年のシャトル「コロンビア」空中分解事故の時のように、事故ですべてが止まるという状況ではない。

アンタレス出火の瞬間(NASA/Joel Kowsky)

事故原因?となった数奇なエンジンNK-33/AJ-26

 COTSは、ISSへの貨物輸送を民営化する補助金計画として2006年から始まった。NASAが選定した企業に補助金を出し、企業は打ち上げロケットと輸送船を開発する。完成した輸送船によるISSへの物資輸送を、NASAがサービスとして企業から購入するという計画である。紆余曲折の末に、米スペースX社の無人輸送船「ドラゴン」と「ファルコン9」ロケットと、OSCのシグナス輸送船・アンタレスロケットがCOTSによって開発された。

 ドラゴン/ファルコン9は、2012年5月以降、ISSに対して5回の補給フライトを実施しており、次のフライトは今年12月に予定されている。シグナス/アンタレスも、2013年9月から3回の補給フライトを成功させていた。


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