プロの映像クリエイターに聞く「惹かれる」ムービー制作のコツ

2014.11.04 11:00
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手軽に動画が撮れる時代だからこそ、もっとこだわりたい。

スマホのカメラ性能が飛躍的にアップし、写真だけでなく、動画のクオリティも飛躍的にアップしてきています。みなさんも、普段の生活やイベント、旅行などで撮影して楽しんでいることでしょう。

しかし、撮影した動画を再生してみて、映像はきれいだけれど、なんだか物足りないと思ったことはありませんか?

実は、動画の撮り方から編集方法、そして印象的にするための色味の調整など、ちょっとした工夫で動画をワンランク上のクオリティにすることができるのです。

ただし、写真と違い動画の編集をするにはそれなりの知識やソフトが必要になるため、若干敷居が高く感じられます。色味の調整なんかはとくに。

しかし、映像をとても簡単にInstagramのような雰囲気のある色味にできるプラグインがあります。それが「Mojo(モジョ)」です。


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Mojoは、映像全体の色味を直感的に変化させることができるプラグイン。直感的というところが強みで映像編集を始めたばかりの人でも手軽に使えます。

特に肌色のコントロールに優れており、プロの映像クリエイターにもよく使われています。対応している動画編集ソフトはFinal Cut Pro(Motion)とAdobe Premiere(After Effects)。

このMojo、通常価格は1万1660円(税込)なんですが、今だけ期間限定で1,000名に無料ダウンロードを実施しているんです。早い者勝ちですよ。

映像のクリエイティヴに関して考えるいい機会なので、今回は、映像ディレクター/プロデューサーであるカトウカズヤさんをお迎えして、動画撮影や編集のコツなどをお聞きしました。編集部とともに相手を務めたのは、ギズで一番色味にこだわりのあるライター三浦。

普段、スマホでちょこっと動画撮影を楽しんでいる人から、これから本格的にムービー作品を作っていきたいという人まで、参考になる話が満載です。

それではどうぞ!


動画撮影の基本は「動かさないこと」


141021_mojo_001.jpgカトウカズヤさん:映像制作会社KANKI 代表 映像ディレクター/プロデューサー。複数の映像制作会社でクリエーターとして活躍したのち、独立。フリーランスの映像ディレクター/カメラマンとして 多くの音楽映像、CM等を企画・演出・制作。


ライター三浦(以下三浦):今日はよろしくお願いします。カトウさんは、スマホで映像の撮影などされますか?

カトウカズヤさん(以下カトウさん):最近のスマホの映像はきれいですよね。仕事では使ったことないんですが、プロの方でもiPhoneだけでライヴ撮影をしたりとか、ミュージックビデオを作ったりする人もいます。

三浦:GoProを始めとしたアクションカムも出てきて、おもしろい映像も撮れますし敷居は下がってきています。

カトウさん:安い、きれい、おもしろいっていう三拍子揃ってますね。

三浦:以前に比べたら、動画を撮影する機材が身近になり、動画撮影をして楽しむ人も増えています。そこで、一般の方でもできる映像撮影のコツをお聞きかせいただけますか?

カトウさん:基本中の基本なんですが、まずはカメラを動かさないということですね。最低10秒は動かさない。それが基本です。初心者の方が動画撮影をすると、あれもこれも撮りたいと思ってあちこちせわしなくカメラを動かしてしまうことがあります。それをあとで見ると、酔っちゃいますよ(笑)。それは何も撮れていないのと一緒ですからね。


撮りながら編集すれば撮り終わり→即完成


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三浦:最近はスマホでも動画撮影ができるので、僕らも撮ったりはするんですが、編集まではなかなかやらないんですよね。

カトウさん:僕も仕事以外で撮ったものはまったく編集しないですね。仕事でやりすぎているから、編集する気が起きない(笑)。

三浦:やっぱりちょっと動画編集って敷居が高く感じるんです。

カトウさん:僕がおすすめしたいのは、撮りながら編集していくというやり方なんです。僕、うまいですよ。使う分しか撮らない。例えば観光地などに行って、ここに来ましたってことで最初に引きの画をばーーっとパンして撮って止める。次に看板を数秒撮って止める。次に人の顔を撮る、というように、これをやっていって、最後に撮ったものを最初から見たら1本の作品として完成しているという(笑)。

三浦:そういう風に意識していれば、編集いらずでいいですね。クリエイティヴな視点で動画撮影ができそうです。


意図がある色味調整をしている写真に惹かれる


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三浦:ちょっと動画にハマると、短いムービーを作りたくなります。そうすると動画編集が必要になります。さっきカトウさんがおっしゃった撮りながら編集していくことができればいいんですけど…。編集時に気を付けなければいけないことは何でしょう?

カトウさん:僕は専門学校で講師をしていたこともあるんですが、学生の中にはサブリミナル的に、短いカットを挿入したがる人もいます。しかし、意味もなく入れているだけだとまったく伝わらないこともあります。短い尺で一瞬だけ入れる場合は、入れる理由のあるカットじゃないとダメですね。短い映像の場合、画面内の情報量が増えると認識できなくなるんです。なので、入れる理由のあるカットじゃないとダメだよと教えていました。

三浦:情報量が増えるというのはどういうことでしょうか。

カトウさん:色と映っている内容です。たとえば、短いカットで重要な人物が喋っているのに、背景がごちゃごちゃしていると視点が散漫になって喋っているのが伝わらないんです。そういうときは色を整理して背景をシンプルにしたり、暗く落とすことで人物が際立つようにします。

三浦:具体的にはどうやって行うのでしょうか。

カトウさん:人物の肌の色を際立たせることで、注目させるという方法があります。映像の世界では肌の色はとても重要なんです。また、背景の色味や明るさを抑えることで、人物を際立たせるといった方法もあります。背景をぼかすという、写真でもよく使われる方法を使うこともありますね。

三浦:最近ではInstagramなどが流行って、写真の色味を変えるということが当たり前になってきた感じはします。

カトウさん:ただ単に色をいじっているだけの写真が、Twitterなどで流れてくることあるじゃないですか。そういうのにはあんまり興味はないんですけど、意図がある色味調整をしている写真は惹かれますね。懐かしさを感じさせてくれたり、空のハイライトが飛んで滲んできて、人が浮き上がって見えたりとか。私には世界がこんな風に見えてるよー!というような写真を見ると「おっ」と思いますね。


名作映画のような独特の雰囲気・色味を出せる


三浦:写真ではそういうことを手軽にできますが、動画編集をあまりしたことがないという人は、動画でそういう調整は難しいと思います。そんなときに、Mojoのような直感的に使えるプラグインを使うと、簡単に雰囲気のある色味調整ができるというわけですね。

カトウさん:Mojoは一言でいうと、海外のドラマや映画っぽい色づくりに似ている思います。特に海外ドラマの色づくりに似ています。海外ドラマもいろいろあるので一概には言えませんが。

三浦:海外ドラマはトーンが渋い感じがしますよね。

カトウさん:日本のドラマも映画も、光を当て過ぎだと思います。見えすぎてしまっている感じがしますね。海外ドラマや映画を見ると、画面の半分とか3分の1くらいが影になって真っ黒というシーンも頻繁にあります。顔が半分見えないとか普通ですし、全身がほぼシルエットというのもありますね。日本でもあることはあるんですが、そこまで勇気をもってやっているのはそんなに多くはないんです。光の回し方もノーマルな感じのものが多いですね。顔が見えないと不安感があるのかもしれない。でも、見えすぎると想像する部分が少なくなりますよね。もちろんそのシーンの演出意図次第なんですが。

三浦:たとえば、色味が印象的な「バグダットカフェ」という映画がありますが、あのような不思議な色味というのもできるんでしょうか。


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カトウさん:まったく同じようにはできないんですが、Mojoの場合は「Bleach It」が彩度なので、このスライダーをいじると彩度が変化します。「Warm It」が色温度。このスライダーを右側に移動すると、オレンジ色が強い暖色系になります。この2つを調整すれば、ある程度はバクダットカフェっぽくはなりますね。

三浦:Mojoは、派手は方向に持っていくというよりは、どちらかといえば色を抑えて作っていく方向性のプラグインですね。


肌色のコントロールをすることで人物が強調される


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三浦:Mojoの特徴は、肌の色に関する設定項目が3つあって、それを直感的に使えることだと思うんですが。

カトウさん:Skin Solo」は肌だけを抽出して色味の変更ができます。このパラメータをいじると、肌の部分にグリッドが表示されます。映像では肌の色は結構気にするところなんですよね。Mojoは自動的に肌の部分を抽出してくれるのがいいですね。「Skin Color」で肌の色の調節、「Skin Squeeze」で肌のトーンを一定にしながら、肌の赤みを抑えて人物を背景に対して引き立たせることができるんですね。こういうのを簡単にできるのはいいですよ。

三浦:先ほどカトウさんがおっしゃっていた、背景のトーンを抑えて人物を際立たせるということが簡単にできるプラグインなんですね。ただ、色味を調整する機能ならソフトに標準で搭載されていると思うのですが、それらとは違うのでしょうか。

カトウさん:Mojoは色の知識がなくても感覚的に調整ができるところが強みです。あと、動作が軽いという点もいいですね。

三浦:Mojoがあれば、Instagramのように気軽に雰囲気のある映像にすることができるわけですね。

カトウさん:あとは意図ですよね。どういう風に見せたいかということで、どんなエフェクトを使うか決まってくるんです。単に撮ったものの色を変えればいいとは思いません。


動画で気軽に色遊びができるプラグイン


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ということで、動画編集の話から色味まで、とにかく話が尽きない! とても楽しいお話、ありがとうございました。



そして、編集部で少しMojoを使ってみた映像がこちら。Mojoの効果がわかりやすいようにダイナミックにパラメータをいじってみましたが、わかりますか?

カトウさん曰く「Mojoは、ポラロイドのインスタントカメラとか、Instagramの色味が好きな人が、動画で簡単に色で遊べるプラグインという感じですかね」とのこと。気軽に、雰囲気のある動画にできるという点で、Mojoは使い勝手がいいプラグインなのです。実際、使ってみたらパラメータを少しいじるだけで雰囲気が出る色味になるから不思議。簡単でしたよ。

もう一度、Mojoについてお知らせを。

対応するソフトはFinal Cut ProとAdobe Premiere。Windows版とMac版が用意されています。お値段は1万1660円(税込)ですが、ただいま先着1,000名様に無料ダウンロードを実施しています。とてもシンプルで使いやすいプラグインですので、この機会にダウンロードして使ってみてはいかがでしょうか。無料ですし。

それから、Mojoを販売しているフラッシュバックジャパンが、11月19〜21日に幕張メッセで開催されるInter BEE 2014でMojoのデモを行う予定とのこと。希望者には、アドビ認定トレーナーであり、色彩を重視するカラリスト/映像クリエイターであるSimon WalkerさんがMojoの使い方を個別にレクチャーしてくれるそうです。初心者でも上級者でも大丈夫。英語がわからない人でも通訳さんがつくので大丈夫ですよ。

ちょっと動画編集に興味があるという方は、Mojoを使ってみることで、今まで撮っていた動画をより雰囲気のあるものにすることができます。

写真の色を変えて楽しむように、動画も手軽に色を変えて楽しめる。Mojoはそんなプラグインなのです。


source: フラッシュバックジャパン

(三浦一紀)

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