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農水の緊急輸入発動は小手先
バター不足“慢性化”の深刻

週刊ダイヤモンド編集部
【第949回】 2014年11月4日
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 「目下のところ、スーパーからの注文数を要求通り出荷できていません。また、バターが足りませんよ」。乳業メーカー幹部は、こう深刻な表情でつぶやいた。

店頭で不足しているバター。パン屋などに販売する業務用バターは、1~2割カットの出荷制限が実施されている
Photo by Hidekazu Izumi

 今、国内でバター不足がまん延している。店頭では「お1人様1点限り」など購入を制限する表示も目立ちだした。

 しびれを切らした農林水産省は、9月26日、バター3000トンの緊急輸入措置を発動した。緊急輸入の決定は、今年5月に続いて2度目のことだ。

 実は、緊急輸入がなくとも、明治や森永乳業などの大手乳業メーカーは、バター需要が高まる年末のクリスマスシーズンを乗り越えられる。むしろ、農水省の狙いは、年明け分の在庫確保に走ったメーカーの“出し惜しみ”を解消し、店頭での欠品パニックを回避することにある。

 確かに、今回の措置によって、当面のバターの需給は安定することだろう。だが、乳業業界関係者は、「このままでは、来年以降も不足問題を繰り返すことになる」と懸念を表明する。

 2008年にも、店頭からバターが消える大騒動が起きたことは記憶に新しい。バター不足は半ば慢性化している。緊急輸入措置は小手先の手法にすぎず、バター不足の根底にある構造問題の解消にはつながらない。

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