企業が出展し、新技術や新製品をアピールする国内の大規模産業展示会が瀬戸際に立たされている。国内最大の家電・IT(情報技術)見本市「CEATEC(シーテック)ジャパン2014」が10月7日〜11日に開催されたが、前回の日立製作所に続き、今回はソニーが出展を取りやめた。出展社数も過去最低を更新し、規模縮小に歯止めがかからない状態だ。ピーク時には200万人の来場者を集めた東京モーターショーも今では半分以下とお寒い状況が続く。産業界の視線が、市場がしぼむ国内に代わり、成長が続く新興国など海外に向いていることや、主力事業が変化していることが要因だ。今後も企業の出展見合わせが相次げば、日本から大規模な企業展示会が姿を消していく可能性も否定できない。
平成10年前後のシーテックの前身のエレクトロニクスショー(エレショー)。会場の幕張メッセ(千葉市美浜区)は全ホールを出展ブースが埋め尽くし、各社がテレビなど映像技術を中心に、最新製品が並ぶ。各社とも、1社で一般消費者向けブースと事業者向けブースの2つを設け、1日ではとても回りきれないほど展示品があふれた。
シーテックは、電子機器などを対象にしたエレショーと、コンピューティングを対象にしたCOMジャパンが統合し、12年に発足した。19年をピークに規模が年々縮小。今年は会場のブースの間隔にも余裕がみられ、かつてのエレショー時代やシーテックの全盛期を知る業界関係者は「寂しさを禁じ得ない」とつぶやく。
エレショー時代、出展社数は平成3年のピーク時に2575社を数えたが、今年のシーテックは、約5分の1の547社にとどまり、シーテック発足以降では過去最低となった。
「ソニーさんまで出展しないのは、さすがに寂しいね」
毎年シーテックに出展しているという電機メーカーのエンジニアは、こう感想を漏らす。
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