アジア

8Kスーパーハイビジョンとタイムコードの”格差”途上国放送メディアへの支援は誰のため?~それでもテレビは放送される(5)

2014.11.04(火)  金廣 純子

10月下旬、マカオでABU(アジア太平洋放送連合)の総会が行われた。ABUとは、この連載でも紹介してきた『ABUデジスタ・ティーンズ』の主催団体で、西はトルコから東はサモアまでのアジア太平洋地域63カ国、255の放送団体が会員となっている。

 そのABUの総会が毎年10月に地域内のどこかで開催され、そこに各国の放送関係者たちが集い、様々な活動報告をしたり、現在抱えている問題を検討したりするのである。

メディア大国から途上国までが集まるABUの総会

日本の誇る8Kスーパーハイビジョン(写真提供:筆者、以下同)
対する韓国の4K
 

 NHKとTBSが会員となっている日本は、もちろんこのABUをリードしている存在の一つである。また、日本以外には中国、韓国というメディア大国がABUにおける圧倒的な存在と言える。

 ABUの中には番組委員会、スポーツ委員会、そして技術委員会という3つの大きな柱があり、日中韓3カ国はそれぞれの委員会の重要なポストに人材を送り込み、様々な各国間の共同制作プロジェクトやワークショップを開催している。

 たとえば、技術の点で言えば、日本のNHKがリードして開発している8Kスーパーハイビジョンと韓国の4Kが必ずブースを出してその技術力をアピールしているし、スポーツでは、オリンピックやサッカーワールドカップなど世界的ビッグイベントの著作権問題が話し合われたりする。

 そして今回、我がカンボジア国営テレビ局も、副局長の通称”殿様”と私が参加した。この会議にほぼ毎年参加している殿様には、最先端の技術や今のメディアの世界的潮流をきちんと把握しておきたいという強い希望がある。

 そして少しでもそれをカンボジアに反映させたいと思っているので、色々なセッションに参加して、細かくメモを取っているのだ。だから、8Kや4Kの展示会場に行っても、熱心に担当者に話を聞いている。

 しかし・・・

 実は、この総会に来る少し前、私は、初めてカンボジア…
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