福祉の基本

高齢者福祉・障害者福祉・児童福祉。学んだこと、仕事の備忘録として綴っていきます。

介護職員の離職率の高さについて考えたけど、給与が問題なの?

 

少し前のニュースで申し訳ないのだが、日本経済新聞の記事から。


厚生労働省所管の公益団体法人「介護労働センター」の平成25年度の実態調査が報告されている。
この報告書によると、前年度より介護職員の離職率が減り2年ぶりに改善したとのこと。

よく私自身、知人などに「大変な仕事だよね」と言われるのだが、私はいつもこの投げかけに何て返事をしたらいいかわからない。

 

一般的見解は介護は大変な仕事
介護職員の離職率について、ニュースや新聞で取り上げられている昨今。
めったにTVを見ない私ですらたまに目にする。
「仕事の内容と賃金が見合わない」
「身体的に大変・しんどい」
上記のような見出しで報道されていることが多いのではないか。

これをたまたま見た人が読めば、あ~福祉って介護って大変な仕事なんだな。と認識されても仕方ないと思う。

仕事の内容と賃金が見合わない、このような意見は現場職員と話していると多々話題になる。

例えば、「〇〇さんが今日も入浴拒否して大変だったんですよ」と愚痴る職員がいたとする。

現場の職員としては、ケアマネの計画書に入浴と記載されおり、ご家族から自宅では入浴が困難なんです!!と訴えがあれば、入浴を促したい。
しかし、ご本人が「今日は足が痛いから・・・」「寒いから嫌よ!!!」「入らん!!!」と拒否をすれば、無理やり入浴を促すわけにはいかない。

1日だけならいい。垢では死なないから。ただ、いささか拒否が何回も続けば、ご家族からの施設への信頼を失いかねない。

私もよくやるが、なんとかして入浴してもらえるように説得にあたる。


「そうだよね。嫌だよね。」「〇〇さんのためにお湯温かくしたんだけど、どうかな?」「誰もいない間にササっと入っちゃおうか」・・・

こんな口説き文句では入浴に促せない。

嫌だって言ってるだろ!!!と癇癪起こし物が飛んでくる事もある。
排泄物が飛んでくることもあります。

でも、考えてほしい。

あなたが、知らない人間にお風呂に入ろうよ?と言われて全裸にならなきゃいけないこの状況。嫌ではないか?当然の感情じゃないか?
何歳になろうと、例え認知症だろうと障害者であろうと、恥ずかしいものは恥ずかしい。

これは入浴だけじゃなく排泄介助をお手伝いさせていただくときも同じである。

どんな志で福祉の業界に入ってきたのか私にはわからないが、おじいちゃんやおばあちゃんは穏やかでのんびり。という印象があったのだろうか?

のんびりな方もいれば、少し気難しい方もいる。

世の中には色んな人がいる。

利用者さんとうまくコミュニケーションを図れなかったり、自分が想像していた現場とリアルではギャップを感じる時もある。


人それぞれ感じ方は違うので、一概に言えないが、このギャップの差が埋まらない時に大変と感じるのではなかろうか。


私はNPO法人社会福祉法人、民間企業(個人・大手)とこの福祉業界を渡り歩いてるが、賃金が見合わないと思ったことはない。
年々自分の地位もあがり、経験値が加味され、それが給与に反映されているからだと思う。

社会人1年目の給与が手取り10万円ぐらいだったが、17時ぴったりに退勤でき、自分の施設以外でアルバイトをしたり貴重な経験をさせてもらえたので、10万円に不満はなかった。

こんな大変な仕事内容じゃ給与と見合わない。やってらんない。と思う職員ばかりがいる施設で、質のいいサービスを利用者様に提供することはできない。
人手不足とも言われてる業界だが、人手が沢山あっても回らないものは回らない。

人手の数より、1人1人の職員のスキルの方が重要だと思う

人材確保にはお金?
福祉業界だけではなく、どんな業界でも給与は重視されます。
スキルの高い人材が欲しければやはりそれなりの金額を提示しなければならない。
仕事の内容にも人間関係にも不満はないけれど、家庭をもつには給与が少ない…と辞めていく男性職員を止められないことも多々ありました。

しかし報告書によると、平均賃金21万2970円(月給、基本給)とのこと。

ここに、夜勤手当なり資格手当なり、勤務年数や経験値によっては加算されていく。

そんなに低賃金だろうか?特別、福祉業界だけが低いとは思えない。

給与が少ないと嘆く前に、自分のスキルアップをはかる努力をしたり、あなたが思う給与に見合った仕事内容の施設に転職するなり、はたまた違う業界にいけばいいと思う。

医者ではないですが、利用者さんの命を預かる仕事です。

大変に決まってます。

 

ですが、人生の先輩である利用者様の話を聞けるのは貴重であります。
日々新鮮であり勉強になります。

給与だけが問題だとは私は思わない。

きれいごとばかり言ってんじゃないと思われてもいい、一般的にはこの仕事は大変かもしれないが、私はこの仕事を続けていきたいと思っています。

 

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参考リンク

http://www.kaigo-center.or.jp/report/pdf/h25_roudou_genjyou.pdf

 


平成25年度 介護労働実態調査結果について | 介護労働安定センター