なぜ、MITメディアラボはたった3年でロゴを変えたのか
遡ること2011年、米ギズモードでは当時刷新されたMIT メディアラボのクールな新しいロゴを紹介しました。独自アルゴリズムで4万通りのバリエーションに変化し、MITメディアラボに所属する人はそれぞれオリジナルロゴを使うことができました。
そして先月、MIT メディアラボはこれまでのロゴをわずか3年で刷新、全く新しいアイデンティティを提示。でもそれには理由があったのです。
1985年に米国マサチューセッツ工科大学建築・計画スクール内に設置された研究所が生まれて約30年が経ち、驚くほど活動内容の幅も広がり深みも増しました。例えばタンジブル・メディア・グループに属する、約24の個々のワークグループの中の「Cognitive Machines Group」は、言語と機械を関連させて学習させる研究をしています。
しかしながら、メディアラボの驚くほど多様な研究群はブランディングの観点から問題を浮かび上がらせました。どのように、各グループに含まれる独立した数十もの組織に1つのロゴを適用するのか?
2011年に紹介された斬新で愉快なロゴは、独自アルゴリズムで誰でも新しいロゴが生成できて使えるというもの。4万通りのバリエーションがあり、MITメディアラボに所属する全ての人の名刺にそれぞれオリジナルのロゴが印刷されていました。
このMIT メディアラボの新しいアイデンティティをデザインするプロジェクトを率いたPentagramのMichael Bierut氏は、古いロゴは、MTVのロゴが完璧な比較対象だったと説明します。
「複数選択可能で具現化するロゴのアイデアはとてもリフレッシュされたように見えた。昨今、4万通りのバリエーションがあるなんて誰が想像できる?本当にすごいよ」と、MTVのクラシックで千変万化なマークについて語りました。
でもひとつ問題がありました。
それはそれぞれのロゴ自体がユニークでも全体的には一緒に見えてしまうこと。Bierut氏は、「4万通りのバリエーションのいずれかがメディアラボを表すもの。それらは全部平等であることも示唆している。非常に大きな挑戦だった」と言います。
「幸いなことに、メディアラボは失敗の実験を共有してくれた。ある意味では、古いロゴは研究グループに完璧にフィットする。生成力のあるデザイン、またはデザインを決定するのにアルゴリズムを生成する例として素晴らしいものだった」
しかし究極的には、メディアラボのそれぞれ異なる23のグループを世界中に紹介するには、伝わりにくいところもありました。そこでMITはBierut氏と彼のチーム、Aron Fay氏も率いて、ロゴについて再考することになります。
そこで出てきたものは、真面目でも過激でもないもの。(前のロゴとほぼ同じ考えである)7×7のグリッドがベースとなって、一連のグリフ(文字を可視化した形状)、または文字を表すもの。
それぞれのグループのグリフは、その名称の文字をねじ曲げたようなものを含みまるでTI-83(90年代のグラフ表示電卓)のゲームのような動きを想像させます。
人々は、QRコードのように、または昔のビデオゲームみたいにそれぞれの研究グループのグリフのシステムを見続けます。
「でもデザイナーのAron Fayはそのように考えていなかったことを認めないといけない。」と、Bierut氏は付け加えました。
「同じ基本構造に基づいて2,3文字のロゴを作るのに、どれだけの方法があるのか、試してみようと思ったんだ」と。
最終成果物は、元と同じように多様性を表しています。ダイバーシティ(多様性)は実際に眼で識別可能です。そしてメディアラボのような場所でさえデザインを決定する時には、人間の専門領域の中でも「アルゴリズム」が切り札になるのですね。
Kelsey Campbell-Dollaghan - Gizmodo US[原文]
(mayumine)