(英エコノミスト誌 2014年11月1日号)
穏健派が11月4日に投票しなければ、思想が極端な非主流派が勢いづく。
11月4日投開票の中間選挙では、共和党が下院に加え上院でも多数派となるかどうかが焦点となっている(写真は米ワシントンの議事堂)〔AFPBB News〕
どんな政治運動でも必ず、ある程度は有権者の目を真っすぐに見て嘘をつくことになる。だが、米国の中間選挙の運動には、大半の選挙運動より多くのごまかしが含まれている。
民主党の中傷キャンペーン広告を信じるなら、共和党は、男女同一賃金に反対しており、避妊の禁止を望み、大企業が仕事を海外に移すのをひたすら大歓迎している。
一方、共和党によれば、民主党は過激派武装組織「イスラム国」のテロリストが――恐らくエボラウイルスを携えて――南側の国境を越える用意をしている時に、ただ手をこまねいていた。そして民主党もまた、米国の仕事が海外に移されるのを見て喜んでいるという。
二極化と疎外のサイクル
こうした批判を1つでも信じるとしたら、それは党派色の強い偏狭な人だけだろう。悲しいかな、党派色の強い人たちは、投票する可能性が他の誰よりもはるかに高い。大統領の座がかかっていない今回のような選挙では特にそうだ。
ピュー・リサーチ・センターの調査では、「一貫して保守的」な米国人の73%が11月4日に投票する可能性が高く、一貫したリベラル派は58%であることが分かった。だが、「一様でない」見解を持つ人たちの間では、わざわざ投票所に足を運ぶ人は25%程度だという。
一言で言えば、これが、民主、共和両党が極端な思想を持つ有権者の歓心を買おうとしている理由だ。両党の戦略は、無党派層の票を得ようとすることよりも、外に出かけて投票するよう自党支持者を駆り立てることに依存している。多くの場合、これは自党を支持する有権者に、相手方に関する恐ろしい話を吹き込むことを意味する。
同じピュー・リサーチ・センターの調査では、対立する政党への嫌悪が投票する最大の動機の1つであることが分かった。民主党に対して「非常に否定的」な見方をしている共和党支持者は、投票に出かける可能性がはるかに高い。共和党を毛嫌いしている民主党支持者も同様だ。
ホワイトハウスの主がバラク・オバマ大統領なため、共和党支持者の方が民主党支持者よりも腹を立てており、これが共和党が今回の選挙で勝利すると見られている1つの理由だ。多くの世論調査は、共和党が上院で過半数を奪取し、下院で過半数を維持することを示している。