社会人野球:ニチダイ応援は従業員の4倍 初戦突破後押し
毎日新聞 2014年11月01日 20時13分(最終更新 11月01日 21時42分)
1日開幕した社会人野球日本選手権第2試合で日本製紙石巻(宮城)に勝利したニチダイ(京都)のスタンドには、従業員の4倍を超える約2500人が駆けつけた。選手や会社の関係者だけでなく、無料応援バスツアーに参加した本社や工場の地元住民が「我がまちのチーム」に大声援を送り、初戦突破を後押しした。
ニチダイは自動車やロケットの精密部品の開発・製造を主な事業とし、従業員は関連会社を含め約570人。野球部は1997年に創部、2004年に初の全国大会となる日本選手権出場を決めた。
その時は社内中が沸いたが不安も生じた。「会社関係者だけだと応援団は1000人がやっと。大企業チームに圧倒されてしまう」。知恵を絞って企画したのが、住民対象の無料応援バスツアーだ。
本社がある京都府京田辺市、工場が立地する同府宇治田原町の公共施設などに参加申込書を置き、新聞の折り込み広告でも募集した。野球部が開く少年野球教室への参加者やその保護者らを中心に予想以上の反応があり、総勢2000人を超す応援団を組めた。
ニチダイの村崎正博総務部長は「一般向け商品を作らず、地元でも知名度は低い企業なのに、集まるか不安だった」と振り返る。
その後も日本選手権や都市対抗野球に出場するたびにバスツアーを企画した。野球部を応援する住民も増え、選手たちは「この間の試合見に行ったで。次も頑張れよ」などと声をかけられている。
この日、スタンドでは京田辺市の少年野球チームの一員として野球教室に参加したことがある宮崎陸さん(10)がそろいの緑色の応援グッズ「バルーンスティック」を手に「僕もあんなプレーをできる選手になりたい」と目を輝かせた。
スタンドで応援団長を務めた村崎さんは「小さなまちの小さな会社が、大企業相手にいい勝負をする。そんな姿に共感してもらえているのかも」と地元ファンに感謝していた。【礒野健一】