隅田川の畔にたたずむ聖路加国際病院で病院チャプレンをしていらっしゃる、ケビン・シーバーさんにお話をお伺いしてきました!
ケビンさんは、1967年アメリカ・テキサス州で生まれ。クリスチャンファミリーに生まれましたが、高校の頃から無宗教の人だったそうです。
大学(テネシー州サウス大学)卒業後1991年に来日し、独学で日本語勉強に力を注ぎながらサラリーマンを勤め、大いに楽しむ日々を送り、ウォール街の会社の東京支部で編集部長まで出世されました。
しかし、突如神に邪魔され、すっかり方向転換し、牧師への道に踏み出されます。
2001年アメリカのバージニア神学校に入学し、総合病院で臨床スピリチュアルケア研修を受け、2004年に修士号を取得。卒業後再び来日、聖公会神学院を経て、東京都内の教会と女子校で働かれ、2007年より聖路加国際病院・聖路加看護大学チャプレンに。現在に至ります。
看護大学ではキリスト教概論、キリスト教倫理を担当しておられ、妻と3人の子供と暮らしていらっしゃいます。
日本に住まれて長いケビンさんは、日本語もとっても堪能です!
病院チャプレンという仕事は、病院という医療者ばかりがいる環境の中で、唯一医療者ではない立場として患者さんと関わることができる珍しい職業です。日本はまして無宗教大国なので、聞いたこともない人もいらっしゃるかもしれませんが、病院ではとても重要な役割を果たされています!
医療職ではないけれど、医療者に近い存在であるチャプレンという心のケアの専門家から聞かれる、医療者や患者に対する言葉は一体どんな言葉なのでしょうか?
I,私がチャプレンという職業を選んだ理由
生きる上での苦しみに直面している人の心のケア、サポートをするのが、チャプレンの仕事です。
組原:まず、チャプレンのお仕事というのは具体的にどのようなことをなさっているのでしょうか。
ケビン先生:簡単に言うと、スピリチュアルケアの専門家です。スピリチュアルケアとは、‘人間のスピリチュアリティを支えるもの’で、人によって違います。人間の生きる意味は何なのかというのがスピリチュアルで、いろんなものが関わってきます。家族関係や死生観、もちろん特定の宗教があればそれも。病気による苦しみや、生きる上での苦しみに直面している人の心のケア、サポートをするのが、チャプレンの仕事の内容です。
組原:普段は病棟の方に行かれるのでしょうか?
ケビン先生:そうですね。主にここ(聖路加国際病院)では、緩和ケア病棟に行きます。呼び出しや介入の依頼があれば病院のどこにでも行くのですが、チャプレンが常に関わっている科は、緩和ケア科、腫瘍内科、小児科、救命救急部で、主にその4つのチームの中に一員として入れさせていただいています。
組原:そちらにいらっしゃって、患者さんとお話をなさったりするのですか?
ケビン先生:そうです。スピリチュアルサポートをするというのは、手段として主に傾聴が多いのです。じっくり話を聴く、そしていろんなテクニックを使って、表面的な話よりも、心の悩みとか、生きる意味に対する叫びとか、抱えている苦しみを明らかにする。話を聴きながらそういうものを引き出そうとしています。
生きる希望を探すため、サラリーマンから病院チャプレンに転職。
組原:ケビン先生は、どうしてチャプレンになろうと思われたのでしょうか。
ケビン先生:私は日本に24年前に来ましたが、当時は、まったく教会やキリスト教とは関係ないサラリーマンでした。サラリーマンとして生活しているうちに、その当時はこんな言葉では考えていなかったのですが、自分自身のスピリチュアルペインを強く感じるようになって、生きていくのに何の希望も見出せませんでした。仕事をお金を稼ぐため、生活を立てるためにしか思っていなくて、自分はこの人生何をしているんだろう?何のために生きているんだろう?
と感じるようになりました。
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