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川内原発再稼働へ政府方針を説明
11月3日 19時37分

川内原発再稼働へ政府方針を説明
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宮沢経済産業大臣は、川内原子力発電所の再稼働に向けて地元の理解を得るため、3日、鹿児島県を訪れて伊藤知事らと会談し、再稼働が必要だとする政府の方針を直接説明しました。

宮沢経済産業大臣は3日に鹿児島県を訪れ、薩摩川内市にある九州電力の川内原発を視察しました。
九州電力の担当者からは、津波対策として、原子炉を冷やすためのポンプを守る高さ10メートルの防護壁など、福島第一原発事故を受けて施された安全対策の説明を受けました。
宮沢大臣は、発電所の所員や関連会社の社員などおよそ80人に対して、「現場を見て安全確保のための作業が順調に進んでいることを確認したが、100%安全ということはありえない。さらに安全性の向上に向けて努力し続けていただきたい」と訓示しました。
その後、宮沢大臣は鹿児島県庁で伊藤知事と会談しました。
会談では、伊藤知事が「川内原発は再稼働に向けて最終段階に来ていて、近く県議会にも意見をまとめていただく。それを踏まえて私として総合的な判断をしてまいりたい」と述べました。
これに対して、宮沢大臣は「日本はエネルギーのほとんどを輸入に頼っていることに加え、原発の運転が停止していることで電気料金がさらに上がることになれば、海外に工場を移転する企業も出てきてしまう」として、エネルギー政策などの観点から安全性が確認された原発の再稼働が必要だという政府の方針を直接伝えました。
このあと、宮沢大臣は池畑県議会議長らとも会談し、同様の説明を行いました。

今後の手続きは

川内原子力発電所を巡っては、先月28日に地元の薩摩川内市が再稼働に同意しています。
これを受けて、鹿児島県議会は、5日から3日間の日程で、川内原発の再稼働に同意するかどうか判断するための臨時県議会を開きます。
そして、早期再稼働を求める市民団体からの陳情などの審議を経て、最終日の7日に本会議で県議会としての判断を示す見通しです。
県議会が再稼働に同意すれば、その後は伊藤知事に判断が委ねられ、知事が同意の意思を示せば、鹿児島県として再稼働に同意したことになります。
ただ、再稼働に反対する会派は、「今月下旬からの定例の県議会で十分な日程をとって審議すべきだ」として、今回の臨時県議会の日程の決め方に反発していて、開会日に議長や副議長らに対する不信任決議案を提出することにしています。
一方で、川内原発については、原子力規制委員会による認可や新しい設備の検査といった手続きが残されていて、九州電力が目指す再稼働は、地元の同意が得られた場合でも年明け以降になる公算が強まっています。

宮沢経済産業相「地元理解に向け今後も努力」

鹿児島県の伊藤知事らとの会談を終えたあと、宮沢経済産業大臣は記者団に対して、「原発の停止によって、エネルギーの中近東への依存度が高まり、エネルギー安全保障が大変ぜい弱となっているのが、現在の日本の姿だ。原発は地球温暖化への対策としても重要な電源で、国のために安全が確認された原発は再稼働していかなくてはならない」と述べました。
そのうえで、「地元の理解が深まっていくように努力していかなければいけない」として、引き続き政府としてさまざまな機会を通じ再稼働への理解を求めていく考えを示しました。
一方、日本火山学会の原子力問題対応委員会が、原子力規制委員会の現在の原子力発電所の巨大噴火への対応について、見直しを求める提言をまとめたことについて、宮沢大臣は「その問題は、原子力規制委員会で検討する必要があれば検討してもらわなければならない」と述べるにとどめました。

伊藤知事「大臣は明快に説明」

宮沢大臣との会談のあと、伊藤知事は記者会見し、「大臣には再稼働の必要性を明快に説明してもらったのではないか。わが国の資源が限られているなかで、国民の生活水準を守るためという考えはよく分かる」と述べ、政府の方針について理解を示しました。
そのうえで、再稼働に同意するかどうかの判断の時期について、伊藤知事は「県議会の審議がどう進展するのか分からないので、最終的にどうこうするという状況ではない」と述べ、明言を避けました。

池畑議長「一定の理解」

宮沢大臣との会談のあと、鹿児島県議会の池畑議長は記者団に対し、「私は一定の理解をした。きょうの大臣の説明を、あす、県議会議員に説明するので、それを踏まえ、臨時議会では慎重な議論が交わされ、一定の結論を得ることができるのではないかと思っている」と述べました。

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