勝間和代のクロストーク:feat.瀧波ユカリ/144 若者の貧困は自己責任か
2014年10月29日
今回のテーマは「若者の失業・失職による貧困はどこまでが自己責任なのか」です。
高齢者の生活保護受給者の急増と共に、若年層(39歳以下)の受給者も増えています。省力化の進行などで雇用が縮小し、事業所の人材採用の意欲も、景気に大きく左右され、例えば新卒の採用意欲は、景気の悪いときには30%を切ります。
そうすると、たまたま就職しようとする年度や、失業した年度が「景気が良いか、悪いか」で就職の難易度が異なってきます。さらに、ウェブでの人材広告などが加速して応募数が増え、「エントリーシートを数百社に送るのは当たり前」というように就職競争も過熱化してきています。
その結果、「どんなに努力しても、就職活動をしても、就職できない若年層」が生まれ、生活保護の受給割合も20代、30代がわずかながら上昇してきています。しかし、ここでの課題は「過度の自己責任論」と「生活保護を受ける若年層への風当たり」です。
例えば高齢者からは「自分が若い頃はそうではなかった。甘えだ」、同世代からは「自分たちはなんとか就職先を見つけ、苦しいながら生活しているのに、生活保護は甘えだ」と非難されるなど、他の年代からも、同年代からも攻撃を受ける構造です。
また、もともと日本の生活保護水準は他国に比べ、最低賃金水準や年金水準に比べて高いバランスに設定されており、就労意欲をそぐということで批判を受けやすくなっていることもあります。
しかし、疾病や障害、小さな子連れでの離婚など、就職が困難になる理由はいくつもありますが、そういう層ほど、ますます就職がしづらくなり、かといって生活保護を受けると非難を浴びるという二重の苦悩を背負っているわけです。
ぜひ、ここでみなさんに議論していただきたいのは「なぜ、当事者に対して過度の自己責任論が生じてしまうのか」「甘えと本当に困難な状況はどこで線引きができるのか」ということです。私はもっと、社会責任論を中心に考えるべきだと思っていますが、そういう層は少数派であるという認識もあります。
みなさんの正直なコメントをお待ちしています。(経済評論家)
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