サムスン電子のスマートフォンの業績が急激に悪化し、サムスンSDI、サムスン電機など電子部品関連の系列企業が自力更生に乗り出した。これら系列企業は生産量の60%以上をサムスン電子に納入するほど、グループ内取引への依存度が高かった。スマートフォン「ギャラクシー」シリーズの大成功で系列の部品企業も共に成長してきたが、スマートフォン事業が揺らぐと、これら企業は一転危機に直面した。
今年第3四半期(7-9月)にサムスンSDIの営業利益は前年同期を71.7%下回り、サムスン電機の営業損益は691億ウォン(約73億円)の赤字に転落した。サムスン系列企業だけでなく、サムスン電子事業部も「これ以上ギャラクシーにばかり依存はしない」として、一斉に営業戦略を見直した。スマートフォン事業の業績不振をきっかけとして、社外の取引先拡大に乗り出した格好だ。
■非IT、脱サムスン電子
バッテリーと電子素材を生産するサムスンSDIは、非IT(情報技術)分野への供給を拡大する将来戦略を立てた。バッテリーの場合、これまではスマートフォン、タブレット端末に使われる小型バッテリーの割合が60%を超えていた。
同社のノ・サンス財務チーム長(常務)は「今後は自動車、電動工具などを集中的に攻略していく」と述べた。これら製品には価格と容量の問題で鉛蓄電池やニッケルカドミウム電池が使われていたが、スマートフォンに使われるリチウムイオン電池を改善し、参入を狙う戦略だ。サムスンSDIは中国陝西省西安市に年間で電気自動車4万台分以上に相当するバッテリーを生産可能な大規模工場を建設している。来年10月の本格創業を見込む。
サムスンのスマートフォンにカメラなどの部品を供給してきたサムスン電機も事業の多角化を宣言した。サムスン電機のクォン・ヨンノ最高財務責任者(CFO)兼専務は10月30日の決算発表後、「国内外でスマートフォン部品の新規取引先の拡大に努めたい」と話した。サムスン電子に対する依存度を下げるため、中国・台湾のスマートフォンメーカーにも部品供給を進めるという意味だ。また、モノのインターネットや自動車に使われる電子部品の生産を新事業として推進することを決めた。
スマートフォンのディスプレー部分用のアクティブマトリックス式有機EL(AMOLED)を生産するサムスンディスプレーも低価格の製品を開発し、中国・台湾のメーカーへの供給を増やすことを決めた。