【ネタ】こう書くの?れぎおす(転生オリ主、アンチ有り、地雷) (ねぎま全盛期の大トロ)
1
俺の旧名は
地方の国立大学生で
マイカーは無いがバイト経験も無い、まっことお気楽な大学2年生であった。
では、かつての俺の趣味について詳しく話をしよう。重要なことだから。
まずは
あだち銃の作品しか読まない人はジャソプという単語を一度も見たこと無い可能性が微粒子レベルで存在しているけれども。
次は説明が必要だと思われるネット小説について。
もっとも説明と言っても、インターネット上でアマチュアが(中にはプロやセミプロも居るが)無料で小説を書いて公開しているというだけの話だ。
ジャンルはオリジナルのホラー小説から漫画やアニメを元ネタにした二次創作まで非常に幅広い。
それこそ作者のアイディアの数だけ裾野が広がると言って良いだろうから、週末は欠かさずネット小説を読んでいた俺にも全容は把握できない。
ここまでは「どちらについてもろくに説明してねーじゃねーか、重要なんじゃなかったのか?」と言われそうな流れだが落ち着いて欲しい。
ここからが重要な部分だ。
さて、非常に多彩な作品を読めるネット小説だが、中でも俺が好んで読んでいたジャンルがある。
異世界トリップor転生物と言われるやつだ。
それは神様の間違いだったりワームホールだったり召喚魔法だったり様々な原因があるものの、(凡そにおいて)一般人と言える現代日本の少年少女(?)が異世界へ渡ってしまったり生まれ変わったりして活躍(?)するというあらすじの話だ。
実を言えば、以前はメジャーな少年漫画であるナノレトや狩人×狩人の二次創作に夢中だったのだが、
まさかその経験が役立つ日が来るとは夢にも思っていなかっ……嘘です。実は役立つ日が来て欲しいと毎週休日の午後にPCの前で思っていますた。
――――まさかの過去形である。
つまり、俺は本当に異世界転生なるものをしてしまったらしいのだ。
瓢箪から駒ってレベルじゃねーぞ。
◆
転生テンプレ的には自覚をした次にはチートの確認や言語の学習を始めるのだろうが、しかし俺はどちらもやらなかった。
何故なら神様に転生させてもらって
ナントイウフシギゲンショウ。
と言うか、誕生から1日目の赤ちゃんの分際で「その道は○○年前に通った道だ」とばかりにママンの言葉を理解してしまっている時点で「ここ異世界じゃなくね? せいぜい未来の地球がいいとこじゃね?」という感じであったが、その2日後に起きた事件のせいでその辺は何だか色々とどうでもよくなった。
汚染獣の襲来である。
槍殻都市グレンダン。
それが俺の生まれた都市の名前であった。"都市"の部分は"国家"なり"移動都市"なり"都市国家"なり"レギオス"なり、好きに読み替えてもらってかまわない。
この世界では都市とは国家であり、国家とは移動するものであり、移動する国家とはレギオスだった。全ては人間を食料とする、汚染獣と呼ばれる昆虫に似たバケモノから逃げ延びるために。
まあ、グレンダンは自分から汚染獣の群れに突っ込んでいく世界で唯一の『狂った都市』らしいがな! 普通の都市は
さて、そんな狂った
まあその、実際に汚染獣と戦う段になればまたビビったり失禁したりするのかもわからないが……。
とにかくそんなわけで、その日から0歳児の俺は自身の生存を賭けた努力を始めたのである。
転生特典も召喚勇者補正もなければ前世で天才だったわけでもない貧弱一般転生者にはただひたすら時間をかけて備えるより他に術は無いのだから。
◆
その理由の大半は、やはり異世界でも子供は社会的に弱者で、そんな時期に両親に不審の目で見られたりして家庭に不和の種を蒔くのはデメリットが大きいというものだった。
逆説的に言えば、家族に肯定的に受け止められるのならば特異性を隠す必要は無いということである。
もっとも、
つまり転生者が「私は転生者でござい」とばかりに力をひけらかしたり、0歳にして両親とすらすら会話したりするのは、やはりリスクが大きい賭けなのだということだ。
とどのつまり、賭けに勝ってしまえば問題は無いということなのだけれども。うぃなーていくすおーる。
生後3日目にして生存競争を開始した俺は、疲労困憊して汚染獣との戦闘から帰宅した両親へ空気を読まずに「汚染獣とは何か?」と問い詰めた。
ちょっと疲れてるくらいで怪我はないし、愛息子の疑問を解消してくれてもいいでしょ?的なノリで。
まあ「何で喋れるんだ」とか質問に質問を返されてちょっと困ってしまったのだけれども。
そこで「言葉は3日で覚えた。たぶん俺は、戦うために、この国を守るために生まれてきたのだと思う」とキリッとした顔でイイカゲンに答えたら、両親揃って涙を流しながら「天才よ」とか「俺たちの子は
大事なことなので2度言うが、俺は貧弱一般転生者である。そして深夜にうるさい。近所迷惑。
――――以下は後日把握した事情なのだが、汚染獣に対抗し得る超常的な力を振るう人間――武芸者というらしい(そこは魔導騎士とか魔法戦士じゃないのか……?)――の力は『天から授かった尊いものである』という考えが世間には浸透しているのだとか。つまり当時の両親の目には、俺は"天の使い"と映っていたわけだ。それならば彼らのオーバーリアクションにも納得である。
誕生から僅か3日で両親を庇護者件養育者から聖母・聖父兼使徒へとランクアップさせてしまった俺である。
ならば4日目にして
しかし、一を聞いて十を知るような天才でも一すら聞かなければ何もできないのだ。
「錬金鋼って何? 復元……???」という、知識ゼロかつ凡才の俺には当然そんなことが出来るはずもなく。
そこで初めて武芸者・剄・剄脈・錬金鋼といったものの説明を受けたわけだ。
もちろんその際には「肉体はもとより、知識に関しても俺は普通の赤ん坊と同程度にしかない。父上と母上には御迷惑をおかけするが一つ一つ教えを乞いたい」と頭を下げた。
その結果、両親が目と鼻から水を流して聖母・聖父兼使徒兼先生へランクアップした。汚い。
ならば丁寧極まる説明と指導を受けた俺が、かなりスムーズに剄脈を活性化させ、内力系活剄によって誕生から4日目にして2足歩行からの全力ダッシュを成功させてしまったのも仕方がない話ではなかろうか?
そして武芸者の子供が歩いて走れるようになったのならば、その次に来るのは当然、鍛錬である(らしい、本当か?)。
まあ、
両親の得物は剣ではなく短槍なのだが、その辺りの感覚は似たようなものだろう。とにかく赤ん坊の我が侭と片付けず、0歳児に槍を振らせてくれる優しい両親である。いや本当に。
チャラララ~ン 両親が聖母・聖父兼使徒兼先生兼師匠へランクアップした。
◆
世界最高の武芸者になるのだと、強く、堅く念じながら剄息を整える。他人より数年早く槍を振り始めただけの自分では、最強の武芸者を目指すなど烏滸がましいことである。日に数十の手合わせ、数百の型、数万の素振りを繰り返して、ようやっと皆伝を得た自分にはやはり才能など無いと確信できたのだ。しかし、世界にはそういった一切の過程をスキップして瞬く間に流派の精髄を会得してしまう本物のバケモノが居る。
剄息を通して剄脈と会話をする。剄息を通して剄を練る。理想的な剄脈の状態、理想的な錬剄のイメージを深く深く刻み込む。
剄息とは、剄の基礎にして奥義である。
剄息が乱れれば剄脈も乱れる。剄の練りは甘くなり剄路には負担がかかる。そして剄技も冴えないものとなる。
剄息を乱した武芸者の攻撃は、最弱の汚染獣である幼生体にすら通じないことがあるらしい。
汚染獣との戦闘は正真正銘の死闘である。戦い終えて生き残るのは汚染獣か武芸者の片方のみであり、撤退は許されない。
レギオスという人類最後の楽土を守護する者、それが武芸者である。そんな存在が一体どこへ逃げるというのだろうか?
故に、汚染獣との戦闘は必ずしも数時間で終わるとは限らない。万を遥かに上回る大群と遭遇した場合などには一週間かけても殲滅できないことがある(らしい)。
そんな超長時間の戦闘の最中に剄息が乱れるという事態は即ち、死と同義。
ならば極めねばなるまい。食事中にも、睡眠中にも、排尿中にも、人事不省中にすらも、常日頃から剄息は絶やしてはならないのだ。
それすらできない武芸者には、戦場に立つ資格など無い。せいぜい武芸者もどきと蔑んで呼んでやるべき存在であろう。
思考がわき道に逸れた。(別に乱れていたわけでもないが)改めて剄息を整える。
――――まあ要するに、剄息って狩人×狩人に出てきた念能力の『纏』に通ずるところがあるよねって思って『点』の修行をしていただけなんだが。
1歳の誕生日にラーハルト流短槍術の免許皆伝とその証の
まあ何となくそうなるだろうとは思っていたからそれ自体はさほどショックではなかった。
この1年、内力系活剄を用いて――活剄による身体強化が無ければ0歳児が槍を振るなど不可能である――24時間365日に近い体制で鍛錬を行ってきた俺であるが、それを時間に換算すれば8760時間。1万時間の法則を考えれば免許皆伝だって早過ぎる。
加えて言えば、活剄を始めた当初は2日ほどで丸1日寝込むような生活を送っていたのだし、その他の行動に費やした時間を考慮すれば純粋に鍛錬へ費やした時間は5000時間強といったところだろう。故に両親から「我が流派に伝わる剄技を全て習得したが故に皆伝を授けはしたが、武芸者としては半人前も良いところ」と評されたのも別に可笑しなことではない。それにうちの流派って剄技の数がとても少ないらしいし。
しかし、剄息を通じて剄脈を整えることを覚えた今ならば、全力で活剄を行っても最低半年はその状態を維持できることがわかった。これならば数ヶ月後の2歳になる頃には、おそらく1万時間のボーダーもかなりの余裕を持って突破することだろう。
であれば週1ペースで汚染獣と戦えるグレンダンである。初陣の日は近い。そのはずだ。
俺がこれほどまでに初陣を焦るのにはそれなりの理由がある。俺は別にバトルジャンキーと言うわけではないし、本当は遅らせても問題が無いのならいくらでも遅らせたい。
しかし、ハッキリ言ってグレンダンにおける一般的な初陣は少なからず危険なのだ。
グレンダンでは初陣を行う少年少女を数名1組のチームとしてまとめ、いくつかのチームを2,3名の熟練武芸者が監督するという手法を採っている。
まずこのメソッドと俺の習得した流派はかなり相性が悪い。ラーハルト流短槍術の真価は、超高速の機動戦にある。あえてロールを指定するならば前衛でも後衛でもなく遊撃。数名1組のチームが担当する戦域に縛られてしまえば機動力はかなり殺がれてしまう。
しかも現在俺は両親を同時に相手取ってもしばしば勝ちを拾えるまでに腕を上げてきている。伝統だけが取り柄のマイナーとは言え、仮にも一流派の師範たる2人を相手に、だ。そんな俺がもし窮地に陥ったとして、その時それを援けに来るのが両親と同格以下の武芸者2,3名? それは冗談にしても笑えない状況だろう。
だから俺は2歳で初陣を飾るという無理を通したい。無理が通れば
初陣の相手は間引きされた数十の幼生体か2期までの雄性体1匹だと言う。油断は禁物であるが、道場でならば老成体の外皮だって斬ったことがある。そう遠くない未来に戦う敵の姿を脳裏に描き、改めて剄息を整え、限界を超えよとばかりに剄を練り上げ活剄を行う。
数分の間その状態を維持して両親が起きて来ない――殺剄が上手くいっている――ことを確認して『点』の修行を終える。狩人×狩人の『点』とはかなり違うが、剄とオーラは似ているようで全然違うものだし、そこは名前だけ借りている状態である。
しかし両親が眠っている時間に『点』を行うようになってからだろうか? 目に見えて剄脈の調子が良くなった。練りが良く、放出もスムーズで、全力を出しても一向に疲れない。両親にも勧めてみたのだが「剄脈疲労が」などと言ってすぐに止めてしまった。疲れないっつってんだろが! ……解せぬ。
ちなみに初めて流派や奥義の名前を聞いた時には「初代は転生者 or この世界は未来の地球 であるという説が真実味を帯びてきたな」と思ったり、「ネーミングのカオスっぷりや何故か通じる言語のことを考えれば後者がより有力だな」と思い至ったりもしたが、そんなことは割とどうでも良かったのですぐに忘れてしまった。
在りし日の地球らしさなんて見る影すら無くなった世界など、異世界と何も変わらないだろう?
◆
宵闇の空を踏みしめて、グレンダン外延部で今もなお続いている戦闘を見下ろす。
2歳になった、またも戦場に出ることを許されなかった日から4日、その日グレンダンは30万以上の幼生体を抱える極めて大規模な汚染獣のコロニーを踏み抜いた。
汚染獣を求めて彷徨する修羅の都市、武芸の本場グレンダンには、畢竟世界屈指の錬度を誇る防衛隊が存在する。故に、都市の最高戦力たる天剣が幼生体の群れごときに対応するため出撃することは無い。通常ならば。
しかし現実はどうだ。戦闘開始から9日、延べ19人の天剣を動員しながら未だ汚染獣の殲滅は果たされていない。
事の元凶は30万超という空前絶後の物量と雌性体の性質にある。
雌性体は自身の産んだ幼生体が壊滅すると他の汚染獣を呼び寄せる信号を広範囲に発する。で、あれば
武芸者達を雌性体の討伐に振り分けられずグレンダンの防衛に貼り付けにさせられたその結果が、雲霞の如き雄性体と数個の老成体による大増援の襲来だった。
ちなみに老成体とは単体で都市を滅ぼし得る最強の汚染獣である。通常、天剣が出撃することが無いのはこれの迎撃を専らとしているからだそうだ。
――と、そんなことを念威繰者にして天剣の一人だというキュアンティス卿から聞いていた。念威端子だという蝶を介した通話であったが。
もちろん話を聞いている間も主に両親が立っている戦場からは目を離していない。もっとも天剣授受者と老成体の戦闘が行われた日にはそちらへ釘付けになってしまったのだが……。
それで、(シェルターから抜け出して)生まれて初めて戦場に立って――――防衛隊のシステマティックな働きを観察したり、グレンダンの頂点たる天剣授受者と老成体の死闘を観戦したり、エアフィルターの終端ギリギリで討ち漏らしのまあまあ強そうな雄性体『2期と3期ですね』を両断&蜂の巣にしたりした結果、自分に足りないものが色々と見えたように思う。
別に現時点で武芸を極めたとか、グレンダンで最強になったとか、そういう風に思い上がっていたわけではないが。
しかし実際に戦場に立つまで何故それが両親から許されなかったのかを理解できなかったあたり、なかなか度し難いものがある。焦りすぎだったのだな、と、今になって痛いほど感じる。
結局のところ、初陣を許されなかった理由は経験不足の一言に尽きるだろう。
集団戦の訓練経験が皆無であれば実戦で連携など取れようはずもないし、手加減が下手なのも大問題だ。
雄性体を左右に泣き別れさせた閃断なども都市上空で放ったから問題は起きなかったが、もしあれを地上で使っていたら周囲の構造物をかなり大規模に破壊したのであろうし、下手すればフレンドリーファイアで戦線を崩壊させていたかも知れない。想像するだけで恐ろしい。
道場で老成体の外皮を切断して喜ぶ俺を前に密かに両親は頭を痛めていたのではないだろうか?
あかん、考えれば考えるほど気分が落ち込んできた。。
『ティトさん?』
そんな感じで顔をしかめて反省していたら、キュアンティス卿がどうかしたのかと聞いてこられたので親の心子知らずでした~と初陣に関する諸々の事を色々とぶっちゃげてみた。
するとなんと言うことでしょう。キュアンティス卿が監督役をして初陣を飾らせてくださるそうです。今すぐに。
え、雄性体? ……あれは公式の記録には残らないらしい。
まあ、公式の記録に残る=2歳児がシェルターから勝手に出撃して汚染獣を倒したのを初陣と認める、という構図だからそれは色々と不味いよね。
だからさ、初陣=天剣が対応するはずの老成体を2歳児に押し付ける、という構図も不味いと思うんだ……。思うんだ…………。
卿曰く『本当は汚染獣との戦闘は武芸大会で一定以上の戦績を収めた方にしか許されていないのですが、ティトさんはもう雄性体3期まで倒してしまってますし……特別ですよ?』って、、そんな特別扱い嬉しくないですぅ。。。。
計 画 通 り 初陣の監督役に天剣を引っ張り出したよ! やったね、ティトちゃん!!
ってやかましいわ。
◆
かつて「百の鍛錬より一の実戦」というフレーズを
奴隷商から購入した奴隷(当然ヒロインにしてハーレム要員)を戦力化するための、まっことスパルタな訓練で放たれた言葉だったと思う。
そんなシチュエーションで用いられたものなので当然俺の信頼度はお察しだったのであるが、まさかそれを実感することになるとは。
あの日、老成体1期との戦闘はおそらく史上最短か、それに近い時間で終わったはずだ。
もともとラーハルト流短槍術自体が「近づいて斬る、若しくは突く」ことのみに特化した流派である(こらそこ、脳筋とかシグナムとか言わない)。
ましてやその使い手が汚染獣との戦闘経験が皆無に近い2歳児ともなれば、あの戦闘はただ単に「初撃で斬るか、喰われるか」、それだけの
そして俺が放ったラーハルト流唯一の奥義 虚空閃が老成体をヒラキにした結果、俺はまだ生きてここにいる。
まあ失敗してもキュアンティス卿がリカバリーしてくださった可能性もあるが、、念威繰者が実際の戦闘でどれほどのことが出来るのか、いまいちよくわからずにいるのでハッキリしたことは言えない。天剣が尋常ならざる実力者集団であることに疑いの余地は無いのだけれども。
もっとも、百の鍛錬より一の実戦と先に述べたが、あの一戦(一合?)で俺自身のレベルが急激に上がったわけではない。
あの一戦の成果は、何と言うべきか目標が明確になったというか、、複数の老成体を一撃で葬ったと口伝される初代のそれと近いことを行って、流派の神髄に触れることが出来たと素直に感じられたのだ。
それで、その感覚は当然自信になったし、鍛錬に対するモチベーションをこの上無く高めてくれた。
両親も「初代以来2人目の奥義の使い手」として認めてくれたし、あとやっぱり涙を流して喜んでもいた。まあ、その後に膨大な剄の収束に耐え切れず自壊した鋼鉄錬金鋼の穂先を見て「慢心せずに励みなさい」とも付け足したけれど。その忠告には100パーセント同意なので、しっかりと記憶しておいた。
ああ、もちろん勝手に出撃したこともキュアンティス卿から
それでその説教から自然な流れとして初陣を済ませたということで守備隊への配属の話になったのだが、キュアンティス卿からのアドバイスと両親と俺の希望の全てが一致したことで、結論は至極あっさり予備役への編入で落ち着いた。
俺の思惑としては集団戦闘の訓練より、俺個人の流派への理解をもっと深めたかったこと。
両親も未だ2歳の子供を戦場に立たせたくなかったこと。
そしてキュアンティス卿の知るところでは、単独で老成体を討伐するような
それらの結果が緊急時のみに召集される予備役への編入ということであった。
しかもキュアンティス卿の方から話を通してくださるということで、ありがたいことである。
そんな各人の思惑以外にも、両親が揃って武芸者で頻繁に都市の防衛に参加していることから、特に俺が働いて家計を支える必要が無かったというのも小さくない要因だっただろう。
なにやら経営が苦しい孤児院では、流石に2歳児を戦わせるようなことはないにしても、かなり年少の時期から武芸者として戦場に立たされる現実があるのだとか。
そういう全く酷い話を聞いてしまったので、思わず「グレンダンの福祉政策ってどうなってるの? 陛下って無能系君主なの? 馬鹿なの? 革命起こされて死ぬの?」みたいな感じの熱いツッコミを入れてしまった。必ずしも税率が低ければ政府への不満が軽減されるというわけではないのだよ。これ、福祉国家(笑)に住んでた元ジャパソ人としての実感な。福祉国家舐めんな! そんなノリで結構長く、、15分くらい喋っていたと思う。
で、それを聞いたキュアンティス卿が何時になくキョドっていた気がしたので、慌てず騒がず「オフレコでお願いします」と付け足しておいた(セフセフ)。この辺の心配りが人気の秘訣。ま、念威繰者にして天剣であられるキュアンティス卿の念威端子が存在する部屋の会話を、盗聴できる猛者が居るとは思えないけどな(笑)。
◆
キュアンティス卿から出世払いの名目で借りているお金の総額が、「ちょとsYレならんしょこれは・・?」レベルなことに最近やっと気がついた件について。
こんな「(特注の)錬金鋼が欲しいな~」と軽くツィートしただけで、即日
まあその、決して責任をキュアンティス卿へ転嫁する心算ではないが言い訳をさせてもらえるならば、成人式の孫にウン十万もするブランド物のスーツを買い与える祖母のような雰囲気で接してくるからな、あの人。俺の場合、買い与えてもらったのがスーツはスーツでも
しかしなぜ父と母は何も言わなかったのだろうか? 借金を作った本人が言うことではないが、これは明らかに監督不行き届きだと思う。
ちなみに、武芸者の中でもとりわけ機動力を重視する流派を修めた俺が
秘密を打ち明ける(?)最初の相手は、旅の道連れになるだろうか。打ち明けると言うよりは、単に同道
言えないよなあ。グレンダンを出て行く心算だなんて。
グレンダンを出ようと目論むに至った理由は2つある。
1つは実際に何度か自分で老成体を討伐したり、9名の天剣授受者――イージナス卿、ヴァルモン卿、ガーラント卿、ギャバネスト卿、クォルラフィン卿、ゲオルディウス卿、サーヴォレイド卿、スワッティス卿、ノイエラン卿(キュアンティス卿は念威繰者であるため除外)――による討伐を観戦した結果、自分には『世界一安全な都市』グレンダンを出てもそう簡単に死なないだけの戦闘力が既に備わっていると確信できたこと。
まあ、これは前提条件であって旅に出る直接的な理由ではないか。
それで本命となるもう1つの理由であるが、それは「この世界の人類は遠からず滅ぶのでは?」と考えるようになったからだ。
俺に人類の滅びを予感させた事件は1年前、5歳の頃に起きた。
『都市間戦争』、それが俺の目撃したモノである。
都市間戦争、戦争、都市間での戦争。。そこで起きている
移動都市の動力源であるセルニウム鉱山……その所有権を巡っての争いとは言え、都市の生存を賭けているとは言え、この世界の人類もまた人類同士で殺しあっていたのである。汚染獣という明確な脅威を目の前にしながら。
しかも殺しあっているのは、戦場で散る命は基本的に武芸者のものだという。唯一汚染獣に抗し得る存在である武芸者が……。
更に、更に、滅ぶことが確定した都市の
つまりそれは、各人の自助努力に期待と言えば聞こえはいいが、単なる棄民政策ではないか……。無政府状態だから仕方がない? その一言で済まされた結果、どれだけの人間が死を強制されることになったのか、俺には想像すらできない。
と言うかもうね。どれだけ人命を無駄に散らすのかと問いたい。小一時間問い詰めたい。
聞くところによれば、学園都市と呼ばれるタイプの
そんな風に、戦争について知ったり考えたりするほどに「都市の総数や総人口といった情報すら把握できないまでに衰退した人類は、今や汚染獣にじわじわと数を減らされ滅びへ向かいつつあるのではないか?」という危機感が頭から離れなくなった。
しかし、俺に都市や戦争の在り様を変えることは難しい。グレンダン三王家にでも生まれていれば何がしか出来ることもあったのかも知れないが。
だから俺は活路を汚染獣問題そのものに求めた。都市外での長期
と言うわけで俺は今、初等学校の入学式に参加しているのである。
べ、別に武芸のことばかりやっていて勉強らしきことをほとんどやらなかったこれまでの生活に不安を覚えたわけじゃないんだからねっ。
マジレスすると目的は将来の旅の道連れを見つけることだ。可能ならお嫁さんになってくれる人が、、げふんげふん。
見た目は望まないので(俺自体割とアレな顔だし)、強くて頭が良くて料理が上手で優しいょぅι゛ょが居るといいな……ってかワシが育てる。
まあ、それより早く借金返済の目処を立てなきゃなんだけど。旅立ち=夜逃げ認定なんてされたら恥ずかしくて死ねる。
初等学校ってボンヤリしてたらあっという間に卒業までの時間が過ぎるからな。
◆
「あっ」
という間に入学初日が終わったわけだが、初等学生と会話が噛み合わなさ過ぎてワロタwwwwwwwワロタ・・・・・・。
一人で下校してると「まだ俺は歩き始めたばかりだからよ……この長いぼっちロードをな…………」っていうナレーションが脳内で再生されてくるからつらたん。
こんなんで本当に嫁探しなんて出来るのだろうか……? ま、まあ女の子は精神の成熟が早いらしいから卒業の1年くらい前から本気出せば何とかなるよねっ。
「おまえ臭いんだよ!」 「ほんとだ! こいつくせーぞ!!」 「ぶーすぶーす」 「おおくさいくさい」
そんな明日から本気出す的ダメ思考で 友達1人も出来なかった 自分を慰めていると、路上で4人の男の子が1人の女の子を囲んでしこたま罵声を浴びせかけるシーンにエンカウントした。
これ、テンプレ的には可愛い子にちょっかいかけずにいられない年頃の男子の行動なんだが、女の子を見る限り、どうやらそうではないらしい。
テレーズ・アントワーヌ。それが入学初日にして早速イジメられている幸薄い女の子の名前である。何で知っているのかと言えば単にクラスが同じで席が隣だから。
で、このテレーズちゃん。モブ顔というか、前髪で目を隠した、キャラデザそのものがモブな女の子である。つまりこれは可愛いクラスメイトに対する
「がっこうににんぎょうなんかもってきて おまえなま
それにテレーズちゃんって、実際、ちょっと臭ってきたし……。何がって、久しく風呂に入ってない感じの体臭が。隣の席まで。
あと全校生徒が集まった入学式の会場にまで、かなり大きな猫の人形を抱えてきていて相当に悪目立ちしたりもしてた。
そんな奇矯な振る舞いと
まあ、ここでいじめられる側にも原因があるみたいな戯けた主張をするつもりは全くないので、普通に助けるとしよう。
「女の子をいじめちゃダメだよ」
じゃあ男の子ならいじめて良いのか?とツッコミが入りそうだが勿論そんなことはない。とりあえず当たり障りのない制止の言葉をかけただけである。
ここで"可愛いからって"とか"気になるからって"といったフレーズを頭につけると、燃料として良質すぎて逆上される可能性が高いので自然とこういう言葉になった。
声をかけた途端、テレーズちゃんを囲むために背を向けていた2人が振り向いて、合計8つの目が俺を見てくる。
数秒の間、無言の見つめあいが続いたが、4人の中で一番体が大きいグループのリーダーと思しき男の子が怒声を返してきた。
「なんだおまえ? このぶたのみかたすんのか!」
それを聞いて一瞬溜息が出そうになったが、こらえる。
「豚とか、そういう悪口を言われると誰だって悲しいものだし、自分より力が強そうな子に囲まれるのも怖いんだよ。君だって、進んで悲しい思いや怖い思いはしたくないでしょう? じゃあ、人にそういうことをしたら駄目だ」
テレーズちゃんを余計に傷付けるか、男の子を無駄に怒らせるか、どう答えても碌な事にはならない質問には敢えて答えず、重ねてイジメを止めるように告げた。
そして、男の子の怒鳴り声に肩を震わせたテレーズちゃんを必要以上に怯えさせないため、ゆっくりと歩み寄って彼らの眼前に立つ。
ここからは対話の時間である。
「う、うるせーっ! けんかうってんのか!!」
「かえれくされちび!」
「やるならかうぞ!」
「そうだ! こいつがくせーのがわる「臭くない」」
――対話の時間だと言ったな? あれは嘘だ。
ほとんど会話のキャッチボールを行うことなく、(微かに)殺気を込めた声と目線で威圧していじめっ子の反論をシャットアウトしてしまった。
いや、子供特有の残酷さと言うか、テレーズちゃんが傷付くような言葉を躊躇無く的確に放ってくるものだからついうっかり。
「女の子を、いじめちゃ、ダメだよ……?」
先程まで正しく怖いもの知らずといった体であったいじめっ子たちが怯んでいる隙を逃さず、念を押す。
しかし、リーダー格の子はまだ懲りずに何か言い返そうと口をモゴモゴしている。
「だ、だって……こいつがにんぎょうなんか、がっこうにこんなきたn「汚くない」」
イライラする。子供を相手に大人気がなく、みっともないことだと十分理解してはいるが……。
だが、明らかに人が大事にしている物を、汚いだの臭いだの好き放題に言って、、それがどれだけ人を傷付けるかわからないのか?
これが初等学校1年生の男子だっていうのなら、やっぱり俺は馴染めそうにないかもわからんね。
だから、もう対話は諦めて、さっさとケリをつけることにした。
「2度とこういうふざけた真似はするな。わかったな? わかったら帰れ」
一方的にそう告げ、手を振ってガキどもを追い払う。
そして最初からこうしておけば良かったか……と内心で省みる。そうすれば必要以上に口汚い言葉を聞かせず済んだだろうから。
「――とぅ」
そんな風に先程のいじめっ子たちとのやり取りを反芻していたら、テレーズちゃんからお礼を言われた。
相変わらず蚊が鳴くような声だったが、この距離ならばどれほど小さな声でも常に内力系活剄で強化されている俺の耳が聞き漏らすことはありえない。
いじめっ子を脅す強引なやり方で解決したのだから、当然俺に対しても怯えに近い感情を抱かせてしまったはず。
それなのにすぐに謝意を届けてくれるあたり、とても良い子なんだな、と思う。
それでつい気分が良くなって、テレーズちゃんの抱えている人形の頭を撫で、こういってしまったのだ。「可愛い猫だね」と。
「っ! ――――なぃ!!」
すると人形が猫であることを猛然と否定し、突如さめざめ泣き始めるテレーズちゃん。
先程までは散々いじめられながらも涙1つ零さなかったというのに。
ああ、通行人の視線が痛い……。俺か? 俺が悪いのか?
◆
テレーズを助けたあの日から、公私の両面において俺の生活は想像以上に大きく変化することになった。
学校に行けばテレーズがずっと隣にいるし、授業が終わって帰宅してもテレーズが隣にいる。
はい。懐かれました。まあ悪い気は全然しないというか、むしろウェルカムなのだけれども。
そんな日々を送るうちに自然とテレーズを"ちゃん付け"で呼ばなくなった。常に無表情に見える顔から感情らしきものを読み取れるようになって、それで呼び捨てにした時の方が嬉しそうに見えたから。
ちなみにテレーズは
可愛い幼馴染という無上の正義を手に入れた勝ち組ティトウスの行いはたぶん全て正しい。きっと、おそらく、めいびー。
だから最近学校から帰ったらすぐ幼馴染とのお勉強タイムに突入して、その分武芸に割く時間が減ってるけどテレーズへの愛さえあれば何も問題ないよねっ!
いや、まあ、マジレスすると問題あるんだろうなあ。初等学校の勉強とか今更本腰入れてする必要ないし……。しょ、将来子供が出来た時に教える練習だと考えれば完全に無駄というわけじゃないから(震え声)。というか、都市間を旅してたらどう考えても子供を学校へは通わせられないし、これはこれでいいのか。
ああ、学校と言えば、グレンダンの初等学校には給食が無かった。
給食が無かった。大事なことなので2度(ry
流石は武芸の本場()グレンダンやでぇ……。福祉政策とか、死語かつオワコンなんでしょーな。安全で栄養バランスが良い給食を無料で提供しなきゃ片手落ちだろ
いあまあその、
ちうか当時のジャパソやアメリ力はガス・電気・水道を筆頭にありとあらゆる領域が民営化してたからな。
言うまでもないことだが、提供される水の質はお察しである。「安全な水が飲みたければミネラルウォーターを買え。貧乏人は死ね」という狂った社会だったので。
電気は電気で福鳥の原発事故みたいな致命的な事象に対しても東京電カは何の社会的責任も果たさないし。
政府も完全にグルで土地を放射性物質で散々汚染しておいて賠償を1年で打ち切ってるんだぜ。これだけでも財産権の侵害です。いや財産以前に生命そのものを脅かしてたんだけどさ。
これまた「安全な土地に住みたければド八゛イの物件を買え。貧乏人は死ね」というロジックがまかり通っていたわけだ。ファッキュー。
え、1ミリシーベルトで被爆認定・生涯医療費無料の被爆者援護法? そんな奴はとっくの昔に死んだ!(AAry 真面目に被爆者を救済してたら東京電カを国有化しなければならなかったからな。新シ力ゴ学派かつ新自由主義者かつ市場原理主義者かつ純粋資本主義者かつ拝金主義者のクズどもにとっては「そんなの絶対許せないよ」だったわけですし、お寿司。食べたいね。でも食べられなくなった。海洋汚染で。(つか、クズども名前変えすぎワロタwwwwww こいつら絶対自分達の政策が受け入れられるものではないって自覚してるよね。だから詐欺師みたいにころころ名前を変え品を変えてあちこちに売り込むわけだ。)
なのに汚染魚食って被爆しまくって、福鳥原発周辺に抑留されて被爆しまくって(中略)、そんな状況で医療費削減して招致費用捻出してオリソピック招致とか言って喜んでたんだぜ? アフォかと。ヴァカかと。頭狂都民かと。
そりゃ
テレーズに勉強を教えたり遊んだりすることが増えて、その分武芸に費やす時間が減ったという話だったな。
実は何気にテレーズにも剄脈があったので、つまり武芸者だったので、「同年代の子と一緒にやってみるのも面白いのでは?」と、そう思って割と気軽に誘ってみたんだよ。
うちってマイナー流派だけあって門下生なんて一人も居ないし。数十人は入れられそうな道場が寂しいね。……もはやマイナーですらないような気もするが、
また話が逸れた。ええとそれで、テレーズと交友を始めてからかなり早い段階で誘ってみたのだよ。「 や ら な い か(武芸を)」と。そしたら、もの凄い勢いで拒否されたね。驚いた。
俺は彼女の事情について深く知っているわけではないのではっきりしたことは言えないのだが、どうやらテレーズが武芸に対して強烈な拒否感を抱いているのは間違いないようである。
そんなわけで、やりたくないものを無理にやらせるわけにもいかないし、今のところ2人の時間は武芸以外のことで埋められているのだ。
まあなんと言うか最近になってこういう生活も悪くないと思い始めている。これがリア充ってやつか……。24時間365日、全ての時間を武芸に捧げんとしていた頃がおかしかっただけかもわからんがね。
今日も予習復習が終わったらテレーズと一緒に夕飯のスープを担当する心算である。テレーズがメシマズだと将来的に俺が困るし(その予定だ)。今から仕込んでおくのですよ。
……おっと、マジで通報されそうなリアル光源氏計画は半ば冗談なので落ち着いて受話器を置いて欲しい。
一応大量に作って孤児院へ持って帰ってもらうという真面目な目的もあるんだよ? 当然運ぶのは俺がやります。 可愛い幼馴染に重いものは持たせられん!
しかし、マイナー流派のくせに数十人分の差し入れをちょくちょく行ってなお小揺るぐ気配すら見せない我が家の財政は一体どうなっているのだろうか?
うちの両親が結構強いのは知ってるがそれでも天剣授受者と比べると
家計の秘密がわかれば俺の借金返済計画も前進するかも知れないから、これは割と切実に知りたい……。