SOUL SUMMONERS
ソウル・サモナー
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<デザイナーズノート:J-TCGという概念>
Mr.Universeさんが以下のような、「J-TCG」という概念について考えた記事を作っています。 http://dante09.blog86.fc2.com/blog-entry-6454.html 今回の記事はこれをヒントとした記事となっています。「J-TCG」とは要するに、「海外のTCGに対して日本独自の発展をしたTCG」のことです。 Mr.Universeさんは結局、あまりJ-TCGという存在があるという考え方ではないようですが、自分はやはり日本で独自に発展しているTCGシス テムは存在していると思います。それを「J-TCG」という概念として考えるのは面白いと思い、今回の記事を書いてみました。 まず、「J−TCG」に関して考える前に「J-RPG」という概念について紹介します。 RPGの世界には「J-RPG」と言う概念があります。「海外のRPGに対して、独自の進化を遂げている日本のRPG」を呼ぶ言葉ですが、FFやポケモン など大ヒット作が生まれた一方で、最近では海外のコアゲーマーの間ではあまり面白くないゲームと評価されている、と言う話もあります。 「JーRPG」の主な特徴としては、コマンド選択式の戦闘システム、一本道のストーリー展開、自由度の低さ、冗長なカットシーン(ムービーシーン)、なよ なよしたアニメチックなキャラクター、魔王を倒して世界を救うというお決まりのストーリー等が挙げられています。ドラクエ、ファイナルファンタジー、ポケ モン、テイルズシリーズなどがその代表作です。 本来、「リアリティや自由度の高いシナリオを楽しむゲーム」であるはずのRPGに対して、日本のRPGはかなり方向性が変わってきています。これが、海外のゲームマニアからはあまり評判がよくないらしいのです。 しかしながら、J-RPGが何故こういった形になってきているかと言うと、J-RPGのそういった部分が日本人は好きだったり、日本人の環境にあっていた ということがあると自分は思います。忙しい勉強や仕事の合間にもさくさく楽しめるコマンド方式の戦闘や一本道のシナリオ、現実では見れないファンタジック な迫力あるムービー、自分と同じようななよなよしたキャラクターが伝説の勇者となって可愛い萌えキャラと世界を救う夢のようなストーリー、などなどを日本 人が求めていたからこそ、J-RPGはこういった進化を遂げてきたのです。そういった変化を否定する必要があるのか、と疑問に思っています。 海外と日本のゲームプレイヤーでは育ってきた文化や背景が違い、ゲームに求めているものが違います。海外のRPGを実際に日本で作っても、絶対に日本では売れません。海外の人にはそれほど面白くなくても、日本人にはやはりJ-RPGの方が面白いのです。 さて、「J-TCG」の話になります。 この「J-RPG」と同じことが、最近ではTCGにも起こっていると自分は思います。 本来、TCGとはMTGスタイルの「自由度の高いデッキ構築」「それらのデッキから生まれるメタ」などを楽しむゲームでした。しかし、現状の日本では 「テーマやクランなどでデッキ構築を縛る」「運要素を積極的に取り入れる」といった方針をとるゲームがかなり多くなってきていることは誰もが気付いている ところではないかと思います。 遊戯王、ヴァンガード、ヴァイス&シュバルツなどがその代表作です。 デュエマやゼクスなどはこういったTCGと、MTG的な戦略性の両方を兼ね備えており、「古典的なTCG」と「遊戯王やヴァンガード」との中間に存在するゲームと考えています。 「自由度が低い」「運ゲーでつまらない」と言われる一方で、遊戯王・ヴァンガードだけで売上的には日本市場の半分近くを占めているのも事実です。デュエマ やゼクスも含めると半分以上になるかと思います。やはり、日本のTCGはJ-RPGと同様に日本人の性格や事情に合ったゲームとして変化してきているのだ と思います。 今回、こういった日本で独自に進化を遂げているTCGを「J−TCG」という概念で考え、その特徴や何故その特徴が受け入れられているのかを考察してみたいと思います。 結局、海外のゲームというとMTGしか日本にはないのでMTGとの比較になるのですが、MTGを作っているWizards of the coastの古典的なTCGの「考え方」に対して、日本のTCGの「考え方」が大きく変化してきているのは確実と思います。それを考えるだけでもわりと有意義なのではないかと思います。 正直、かなり過激な話になっています。ご批判はどんどんいただけると幸いです。 <デザイナーズデッキ縛りが強い> 遊戯王、ヴァンガード、ヴァイス&シュバルツなどの一番大きな特徴です。 J-TCGでは非常にデザイナーズデッキの縛りが強くなっています。種族、テーマ、クランなどでデッキを縛っていることが多く、それらのカードで強い組み 方を追求すると、あまり多くの組み方が存在しません(最近の遊戯王では複数のテーマを組み合わせることも多いですが)。 TCGプレイヤーの中には、デザイナーズデッキは「遊ばされているようでつまらない」という考え方で大嫌いな人もいます。これまでは、そういった考え方が 一般論のように言われてきました。しかし、そういった考え方はむしろ少数派で、現状の日本のTCG業界には合わないのではないかと自分は考えています。デ ザイナーズゲーが売れているのを見ていると、そういった頑固なデザイナーズ否定派より、面白いギミックのデザイナーズデッキを求めているプレイヤーが実は はるかに多いのではないかと正直思うのです。 デザイナーズゲーは戦略性が低くなっている一方で、利点としてはカードを揃えれば強いデッキが組めるため、非常に簡単に遊べるということがあると思いま す。こういったシステムが好まれるのは、RPGでコマンド方式や一本道シナリオが好まれるのと同じ理由ではないかと思います。日本人は塾や残業などが多 く、勉強や仕事による時間拘束が非常に長い。それに加えてアニメや他のテレビゲームなど他にもいろいろ面白い遊びが身の回りにたくさんあり、ひとつのゲー ムをする時間はあまり長く取れません。だからこそ、さくっと遊べるシステムが好まれるのです。MTGのようにいろいろなカードを把握し、組み合わせを何度 も試し、対戦を重ねて強いデッキを組んでいくというゲームは日本で遊ぶには時間がかかりすぎるのだと思います。 また、家族のつながりや同族意識を大切にする日本人には、同じ種族やテーマが協力すると強くなるというのが日本人の性格に合っている、直感的ということもあるのではないかと思います。 構築の面白さは低くなっていますが、なくなるわけではありません。テーマ内から何を使うか、テーマ同士を組み合わせたり、現在活躍しているテーマに強いテーマは何かといった考える要素はあります。 構築の面白さが少なくなる分、逆にデザイナーがプレイヤーを楽しませなければいけなくなっています。デザイナーズデッキのギミックが面白くなければ、J- TCGは売れません。J-RPGが「どういった世界観・キャラクターやストーリーを楽しめるか」という視点がゲームを買うひとつの大きな基準になっている のと同様に、J-TCGでは「どういったデザイナーズデッキが楽しめるか」という視点がゲームを買うひとつの大きな基準になります。実際に、デュエマで派 手なゴッドが登場したり、遊戯王で人気のあるデザイナーズデッキの構築済みが出たりすると、売上が伸びたりします。 <運要素が強い> 遊戯王、ヴァンガード、ヴァイス&シュバルツなどは運要素が高く、これによって初心者と上級者の差を縮めるということをやっています。ゲーム中に1枚の カードで展開がひっくり返ると言うことがよく起こります。デュエマでもシールドトリガー、ゼクスでもイグニッションなどの運要素があります。 遊戯王の死者蘇生や大嵐などの強力な制限カードや、ヴァンガードのめくり要素がその代表格です。良い言い方では「カジュアルゲー」と表現されますが、悪い言い方では「坊主めくりゲー」とも揶揄されます。 これに関して、MTGプレイヤーみらこーさんのブログでは「日本人は真面目すぎるので負けることを『恥』と考えており、負けながら成長していくことを楽し めない」ということが原因として考えられていました。これも一理あると思います。(みらこーさん、TCGカジュアル論http://logicwolf.sblo.jp/article/30056803.html) あとは「出る杭は打たれる」と言う文化。友達同士の中であまり強い人が生まれるのが好きではないということがあるような気もします。自分自身も昔、ポケモ ンカードやMTGで誰かがあまごいカメックスや補充などの最強デッキを作ったところで、つまらなくなってみんなが辞めてしまうということをよく経験しまし た。 アメリカ人はとにかく競争が好きなのでMTGのようなガチゲーでも楽しめるのでしょうが、日本人は「なあなあでみんな仲良く」が好きなのです。あまり運要素が少なくガチな対戦になってしまうと、友達同士の関係がギスギスしてしまい、遊びにくいのです。 こういった状況に対して、J-TCGでは構築済みデッキでも環境の中心にいるデッキに運である程度勝てるようにすることで、みんなで仲良く長く遊べるゲームを目指しているのだと思います。 また、多くのプレイヤーが漫画やアニメからゲームに入ってきているため、「漫画やアニメのような有利不利が入れ替わるシーソーゲームを求めている」という こともあると思います。カードゲーム漫画やアニメでは1戦に3回、4回と有利不利が入れ替わります。MTGなどの戦略ゲームではアドバンテージを重ねてい くことで勝つと言うゲームなので基本的にはそういった展開は少なく、せいぜい1回起こるか起こらないかだと思います。これに対してこのシーソーゲームを無 理矢理表現するため、強力なカード1枚、または、2枚程度に決まる強力なコンボを用意し、一方に有利な展開がひっくり返るということをやっているのだと思 います。特に遊戯王はこういったゲームを目指している気がします。 <ドラゴンやメカっぽいキャラが強い> 日本のTCGではやたらとドラゴンやメカっぽいキャラを活躍させます。プレインズウォーカーという人間キャラが活躍するMTGとは大きな違いです。 ドラゴンが好きな理由はよくわかりませんが、日本人はゴジラのような恐竜っぽいキャラクターは昔から好きそうな印象があります。 メカに関しては鉄腕アトム、鉄人28号、戦隊ロボ、ガンダム、勇者シリーズ、ドラえもんなどを中心に発展してきたロボットアニメ・特撮文化が背景に、ロ ボットに対する愛着がやはり強いのだと思います。こういったもの見てメカニカルな絵を描けるイラストレイターが多く育っており、魅力的なメカを描ける人が 多いのも大きいでしょう。戦士魔法使いや、武士忍者や、ドラゴンビーストなどあらゆるものが機械化されています。 <萌えキャラ・萌えゲーが多い> 日本のTCGは萌えキャラが多いです。萌えキャラだけを扱った萌えゲーもあります。 まあ、理由は言わずもがな、独特のアニメ文化によるものでしょう。 <進化や融合が強い> 日本のTCGではよく、進化クリーチャーや融合モンスターといったシステムが登場します。 MTGはあまりそういったシステムに興味が無いのに対して、日本のTCGでは、遊戯王・デュエマ・ヴァンガード・バディファイトといったトップ層でそう いったカードが多く登場します。2010年代に入って特にそういったシステムに力を入れるようになってきているような気がします。 この背景にあるのはひとつ、日本の農耕文化があるのではないかと思います。猟で生活してきた西欧人よりも、農耕文化で生活してきた日本人は生物が成長するということを多く学ぶ機会がありました。こういった背景から、生物が成長することに関心が強いのでしょう。 ポケモン、デジモンといった他のモンスターを扱うゲームにも進化や融合といったシステムがあり、そういったものの影響も大きいと思います。 とりあえず以上が、自分の考えたJ-TCG(=日本で独自の進化を遂げているTCG)の特徴です。要するに以前考えた4タイプのTCGの「王道ホビー系TCG」の特徴とほとんどカブっています。 日本独自にTCGシステムが発展していることを、「古きよきTCGが失われている」として危惧するべきなのか、「日本人に合ったTCGの発展」として受け入れるべきなのか、そこはまた議論があるところだと思います。 基本的に自分は遊戯王プレイヤーなので、こういった発展は嫌いではありません。むしろ、もっと面白いデザイナーズデッキや、進化合体が楽しめるカジュアルゲームが生まれて欲しいと思っており、肯定的な記事になっています。 自作TCGを作るにあたって、このような要素を取り入れることで、日本人には遊びやすいゲームを作りやすいのではないかと思います。また参考にしていただければ幸いです。 いろいろご意見・ご批判あると思います。その際には掲示板へ書き込みや、メールなどいただければ幸いです。 連絡先→cards_630@yahoo.co.j スパム防止のため、 最後の「p」が抜けています。 最後に「p」をつけてください |