駅ナカ京野菜販売会社破綻状態 京都、駅使用料など未払い
京都市などの事業を継承し、市営地下鉄の駅構内で京野菜を販売していた会社が、営業不振で破綻状態になり、仕入れ先農家数十軒への代金支払いが滞っていることが、2日までに分かった。市への駅使用料も未納になっている。もとは市などが構成する団体が始めたこともあり、農家らは市への不信感を募らせている。
会社は中京区の「時待ち」。市営地下鉄の太秦天神川、東野、二条城前の3駅構内で京野菜を販売していたが、9月上旬から休止している。
駅構内での野菜販売は2009年度に市や農協などで構成する「京の旬野菜協会」が始めた。国の緊急雇用創出事業を活用、ハローワークなどを通じて従業員を雇った。
当初、「駅ナカ」での京野菜販売は順調で、12年2月に従業員らが会社を設立し、事業を引き継いだ。13年度には起業支援名目で国の交付金1500万円が市を通じて交付された。
農家が決めた値段に手数料を上乗せした価格で販売していたが、同年度からは農家からの買い取り制にした。天候不順だった今夏は不作で野菜が集まらず、高い価格設定となったため販売も不調で、経営が行き詰まったという。
出荷していた山科区の男性(61)は「最初は市から頼まれて出荷したのに、(販売主体が)民間企業になったことを理由に、市は何のアドバイスもしない」と悔しさをにじませる。
今年の野菜代金約10万円が支払われていないという北区の男性(67)は「市から参加してくれと言われた」と振り返り、同社について「次々と仕入れ担当が代わった。野菜のことを知らないこともあっておぼつかなく思い、取引を減らしていた」と語る。
市農業振興整備課は同社が駅構内を使用する手続きに際して市交通局に口添えしており、「農家に不利益な状況となっているのは事実で、話し合いを続けていきたい」とする。
現在、同社は債務整理中で、農家には弁護士から債権残高を知らせるよう連絡が来た。市交通局への駅構内使用料約150万円も未払いとなっている。弁護士は取材に「何もお答えできない」としている。
【 2014年11月03日 08時01分 】