【コペンハーゲン=竹内康雄】国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は2日、地球温暖化の科学的な評価と対策を盛り込んだ第5次統合報告書を公表した。産業革命前より地球の気温上昇を2度未満に抑える国際目標について「実現への道筋は複数ある」と表明した。2050年に温暖化ガスの排出を10年比40~70%減らし、今世紀末にほぼゼロにする必要があると分析した。
7年ぶりの改訂となる報告書はデンマーク・コペンハーゲンで開いた総会で採択した。国連の潘基文事務総長は記者会見で「気候変動への人間活動の影響は明らか」と述べ、取り組み強化を訴えた。
報告書は温暖化ガスが1870年から2兆9000億トン(二酸化炭素=CO2=換算)排出されれば、気温上昇が2度に達する可能性が高いと説明。既に1兆9000億トンを排出し「今のペースでは今後20~30年で上限に達する」という。
風力や太陽光といった再生可能エネルギーや原子力、CO2の回収・貯留(CCS)の技術などを組み合わせて目標を実現させる道筋を示した。また、追加の対策がなければ「深刻で広範な取り返しのつかないリスクが高まる」と警告、前回の報告書より現状が厳しいことを強調した。
統合報告書は、2013年9月以降、3つの作業部会の報告書をもとにまとめた。国際社会は15年末にパリで開く第21回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)で、20年以降の新たな温暖化対策の国際枠組みの合意を目指している。交渉はこの報告書を土台に進むことになる。
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