日銀は10月31日(ハロウィーン)、長期国債の購入を約80兆円に増やす追加金融緩和を決めた。アメリカFRBが追加緩和をやめたときだったので、世界中が驚いた。
以前の日銀は地ならしとして情報リークしながらサプライズなしの小出しをしていたが、今の日銀の情報リークなしの手際良さを評価したい。
そのタイミングと中身(規模)はどうか。まず、新聞各紙の評価を見ておこう。
正しく評価できず「副作用」で誤魔化すマスコミ
11月1日の各紙社説では、朝日「日銀追加緩和―目標に無理はないか」、読売「日銀追加緩和 脱デフレへ強い決意を示した」、毎日「日銀の追加緩和 泥沼化のリスク高まる」、日経「異次元の追加緩和に政府も応えよ」、産経「日銀の追加緩和 今度こそ脱デフレ確かに」、東京「日銀追加緩和 危ない賭けではないか」という見出しだ。
朝日、毎日、東京という左派系新聞で、金融緩和に反対の論調である。欧米では金融緩和は左派政党のほうが言う。左派系が雇用を改善する金融緩和に反対なのは日本だけの特徴だ。左派系の勉強不足は深刻だ。
実際、本コラムで何度も強調してきたが、金融緩和によって、雇用状況は格段に改善してきた。就業者数(季節調整済み)について、民主党政権末期の2012年12月には6257万人だったが、政権交代による金融緩和でV字回復して2014年8月までに6362万人まで増加した。
一方、本来左派政党である民主党は、金融緩和を理解できなかったので、政権を取った2009年9月の就業者数は6309万人だったが、そこから減り続け、政権末期には上述の通り6257万人まで少なくなった。両者のパフォーマンスの差は歴然としている(下図)。
さらに、各紙とも「副作用」を心配している。朝日「一方で、異次元緩和策は大きな危うさをはらんでいる」、読売「財政規律と日銀の信認が揺らがないよう、金融緩和の副作用に注意が必要だ」、毎日「しかも副作用の多い、劇薬なのである」、日経「もちろん追加緩和にはマネー膨張という副作用がある」、東京「大きすぎる副作用」という具合だ。
マスコミは、金融緩和のタイミングと中身(規模)についてコメントできないようだ。だから「副作用」なんて言葉で誤魔化している。
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