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「今世紀末までに温室効果ガスゼロに」
11月3日 4時20分

「今世紀末までに温室効果ガスゼロに」
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国連のIPCC=気候変動に関する政府間パネルは7年ぶりとなる統合報告書を公表しました。
これまで以上の温室効果ガスの削減対策が行われなければ、温暖化が深刻で逆戻りできない影響を与えるリスクが非常に高まるとしたうえで、世界の平均気温の上昇を2度未満に抑えるという国際的な目標を達成するには、排出量を今世紀末までにほぼゼロにする必要があるとして対策の必要性を強調しています。

IPCCは2日、温暖化の影響や対策などについて世界各国の科学者の最新の研究成果を基に3つの作業部会の報告をまとめた統合報告書を7年ぶりに公表しました。
報告書では気候に対する人の影響は明らかだと明言したうえで、1950年ごろから高温や大雨の増加など、異常気象が数多く観測されていると指摘しています。
そして、温室効果ガスの二酸化炭素の濃度が大幅に高まると想定した場合、今世紀末には世界の平均気温が最大4.8度上昇し、アジアでは洪水被害の増加などのリスクが高まると予測しています。
そのうえで、これまで以上の温室効果ガスの削減対策が行われなければ、温暖化が深刻で逆戻りできない影響を世界規模で与えるリスクが非常に高まると警鐘を鳴らしています。
一方、世界の平均気温の上昇を産業革命前より2度未満に抑える国際的な目標を達成する対策は存在すると強調し、具体的には温室効果ガスの排出量を2010年の時点と比べて2050年には40%から70%削減し、今世紀末までにほぼゼロにする必要があるとしています。
そして、対策として工場や発電所などから出る二酸化炭素を回収して地中に封じ込める技術の活用などを挙げています。
温室効果ガスの削減を巡っては2020年から始める新たな枠組みに来年末に開かれる国連の会議で合意することを目指していて、報告書は、各国の政策や新たな削減目標案にも影響を与えるものとみられます。

専門家「今すぐ行動しないといけない」

IPCCの作業部会の報告書の作成に参加した国立環境研究所環境都市システム研究室の肱岡靖明室長は、「今後もっと大幅な温室効果ガスの削減をしなければ、将来世代に大きな影響を残してしまうということが報告書の大きなメッセージだ。干ばつが増えて農作物ができなかったり、強い雨が増えて洪水被害が増えるなど、影響はいろいろなところに広がるとされ、今すぐ行動しないといけない出発点に来ている」と指摘しています。
そして、今後の対策については、「日本全体で温室効果ガスを減らす方向に進むのがまず第一だが、将来、温暖化が起きたとしても今までの技術や対策を使って対処できるよう準備する時期に来ている」と指摘しています。

国連事務総長「貧しい人たちが最も影響受ける」

今回の統合報告書について、国連のパン・ギムン(潘基文)事務総長は2日、デンマークの首都コペンハーゲンで記者会見し、「報告書が明らかにしたのは人類の多くは気候変動の脅威に準備できておらず最も影響を受けるのは、温室効果ガスをほとんど排出していない貧しい人たちということだ」と指摘しました。
そのうえで「科学者たちのメッセージは明確で各国の指導者たちは行動しなければならない」と述べ、世界の平均気温の上昇を2度未満に抑えるために各国政府に温暖化対策の一層の強化を呼びかけました。
また、来年末の国連の会議で合意を目指す温暖化対策の新たな枠組みについて、「来年、詰めの協議ができるように事前に草案をしっかりと準備しなければならない」と述べ、来月ペルーで開かれる国連の会議COP20での草案作りが重要だという認識を示しました。

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