衆院予算委:安倍首相「財政健全化目標は国際公約と違う」
毎日新聞 2014年10月30日 20時47分(最終更新 10月31日 00時50分)
安倍晋三首相は30日、衆院予算委員会の集中審議で、借金以外の歳入で政策経費をどれだけまかなえるかを示す基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の赤字を2015年度にGDP(国内総生産)比で10年度から半減させる財政健全化目標について、「国際公約とは違う。何が何でも絶対という約束は果たせない」と述べた。今井雅人氏(維新の党)への答弁。
首相が「国際公約」を否定したのは、消費税率を10%に引き上げるかどうかを年末までに判断する際、健全化目標に縛られるのを避ける意図があるとみられる。市場関係者から「増税先送りを示唆した」と受け止められる可能性がある半面、予定通り増税すると決めたうえで、赤字半減目標にかかわらず大規模な経済対策を行う姿勢を示したともとれる。首相の発言の真意を巡って政府・与党内で波紋が広がりそうだ。
PBの半減目標は、民主党政権が10年6月、カナダで開かれた主要20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)で打ち出し、国際公約とみなされてきた。首相も昨年9月、ロシア・サンクトペテルブルクでのG20サミットで「今後2年間、国の予算編成でPBの赤字を毎年4兆円程度改善するという明確な数値目標を定めた」と述べ、目標を踏襲する考えを示していた。
首相はまた、再増税に向けた経済環境について「(4月の消費増税後の)反動減は想定していたが、想定の中では最も悪い数字に近い」と述べ、消費増税後の景気回復の厳しさを認めた。【葛西大博】