原子力総合防災訓練 課題浮き彫りに11月2日 19時05分
ことしの国の原子力総合防災訓練が石川県にある志賀原発で、地震に伴う事故を想定して行われました。
富山県庁では、テレビ会議で受信した安倍総理大臣の原子力緊急事態宣言の音声の一部が途切れるトラブルがあったほか、石川県では道路が寸断された想定で住民が船を使って避難する訓練を行う予定でしたが、波が高くて船が出せず、避難の手段をどう確保するか課題が浮き彫りとなりました。
この訓練は国が年に1回行っているもので、ことしは石川県志賀町にある志賀原発での事故を想定し、住民と150の機関合わせて3700人余りが参加します。
震度6強の地震の影響で電源が失われ、原子炉の冷却ができなくなったという想定で、午後1時30分に安倍総理大臣が「原子力緊急事態宣言」を行い、原発の半径5キロ圏内の住民に避難指示を出しました。
これを受けて、5キロ圏内にある石川県志賀町の福浦地区の住民は、道路が寸断された想定で漁船や遊覧船で避難しようと港に集まりました。
しかし波が高くて船が出せず、2日は道路が午後5時に復旧するという想定に急きょ変更し、集まった住民たちはバスで避難しました。石川県は陸路の移動が困難になる場合に備えて、漁協や旅客船を運航する業界団体と協定を結び、船で住民を避難させる計画ですが、天候の悪化などで船が出せない場合に避難の手段をどう確保するか課題が浮き彫りとなりました。
さらに2日の訓練では、回線で結ばれたテレビ会議の音声が複数の機関で途切れるなどのトラブルがありました。
一部の地域が30キロ圏に含まれる富山県の県庁では、安倍総理大臣の原子力緊急事態宣言の音声が一部、届かなかったということです。
国は通信機器の設定ミスとみて、今後検証することにしています。福島第一原発の事故を踏まえた国の新しい防災指針に基づいて訓練が行われるのは去年の川内原発に続いて2回目で、3日は事態の悪化に伴って、避難などが必要な範囲を段階的に広げる訓練も行われます。