記事詳細
【ビジネス解読】
ジリ貧「サムスン」巨額半導体投資に市場は疑心暗鬼…強気“逆張り投資”の先は天国か地獄か
そして今回の新工場は、必ずしもサムスンの思惑ばかりではないようだ。新工場はソウル近郊の京畿道平沢(ピョンテク)に建設する計画だが、韓国政府と地元自治体が電力や水道など事業基盤整備を支援する。韓国経済の成長に向け、国を挙げて支援する表れともいえるが、電機業界関係者は「政府の関与で新工場の稼働が1年早い17年になった」と指摘する。
政府の関与が足かせ?
サムスンがくしゃみをすれば韓国経済は風邪をひく-。こう評されるほど、サムソンの韓国経済に対する影響度は大きい。売上高は韓国GDP(国内総生産)のおよそ2割弱を占め、関連企業を含めると雇用も膨大だ。
韓国の有力紙、朝鮮日報(電子版)は8日付の社説で「(サムスン以外の)韓国の他の大手企業も今年に入って業績が悪化し続けている」とした上で、「韓国を代表する大企業各社の実績が悪化すれば、中小の協力会社も追い詰められ、景気回復が徐々に困難になるだろう。税収が減少し、政府の財政が大きな打撃を受ける」と報じた。
政府がサムスンの半導体事業を盛り上げることで、国内の景気回復を狙った可能性がある。ただ、電機業界関係者は「政府の関与のせいで、サムスン得意の『逆張り投資』のタイミングが狂う恐れも否定できない」と話す。
韓国経済を背負うサムスン。次の一手を見つけられないジレンマを抱えているように見えてならない。