U-NOTE【ユーノート】仕事を楽しくするメディア

「わからない」ことを放置していませんか? 『働く大人の教養課程』成長するために必要な基本を学ぶ

by Cydcor

 仕事でスキルアップするために専門分野の勉強をしたり、テクニックを学んだりしている人も多いと思います。しかし、ちょっと学んだだけではすぐに成果は出ませんよね。仕事をする上で必要なのは何か、知識を得たらどう活用したらいいのか、そういった根本的な部分を意識し忘れているのかもしれません。

 今回ご紹介する『働く大人の教養課程』は、人が「考え」て「行動」するための基本部分のスキルに着目して解説しています。では、どんなスキルを身につけたらスキルアップできるようになるのか、詳しく見ていきましょう。

何が「わからない」のか、明確にする

 「わからない」と思うことは誰にでもあります。しかし、その「わからない」にどのように向き合うかが重要です。

 著者によると「わからない」ことは決して悪いことではなく、「何がわからないのか、わからない」まま放置してしまう事がいけないとのこと。それを解決するためには「わからない」を明確にする必要があり、著者は次の4種類に分類しています。


・「言葉の意味と背景知識がわからない」
・「理屈がわからない」
・「意図や目的がわからない」
・「どう評価すればいいかわからない」


 このように4つに分類すると、「何がわからないのか」が明確になるでしょう。漠然とした「わからない」では解決法が見つけ出せず、放置してしまいがちですが、その部分をハッキリさせると解決できるようになります。

 そして、「わからない」ことが解決するとまた新たに「わからない」ことが生まれるのも必然です。なので「わからない」は、何かを諦める言葉ではなく、良い仕事を生むために必要な言葉ということになります。

正しい質問の仕方とは?

 仕事で苦悩する人は、質問にも原因がありました。その原因とは、質問内容ではなく「尋ね方」。質問をする時「“答え”を教えて欲しい」という姿勢の尋ね方をしていますが、答えを聞く質問は考えることを放棄しているのと同じです。

 では、どのように質問をすれば良いのでしょうか。著者は次のように述べています。

「助けてほしい」と言われる立場に自分を置いて考えてみてください。「教えてください」と言ってきた者を本当にヘルプしてあげようという気持ちになるのは、「ここまで頑張りましたが、この先ができません」と首を垂れてきた時です。

出典:働く大人の教養課程 - 実務教育出版


 すぐに助けを求めるのではなく、考え抜いても答えが出ないときに初めて質問に至るわけです。

連れて行ってもらうのではなく、自分で走るのです。働く大人の基本原理は、「まずは自分のできることはできるだけやっておく」ということです。

出典:働く大人の教養課程 - 実務教育出版


 できるだけ自分で考えた上で質問をすれば相手も答えやすくなるだけでなく、質問の内容以上に細かく教えてあげたいという気持ちを持ってもらえるでしょう。

 これは、先述した「わからない」ことを明確にするというものに繋がります。「わからない」ことを明確にし、自分で解決できる範囲は解決し、それでもわからないときに質問するということです。

 ただ答えが欲しくて質問するのと、考え抜いた末に質問するのでは大きな差ができるのは明らかですね。

発言に優秀さは必要ない

 会議中にありがちなのが「なにか意見や質問がありますか?」という問いに対し、シーンとしてしまうこと。著者によると、多くの人は「立派なこと」を発言しなければならないと思い込んでいるのだそうです。

もし議論という場での発言やコメントがすべて「完成品としての答えの提出」だとするならば、ほとんど沈黙が支配してしまうでしょう。企業の現場では時間制限の中でいつかは決断が下されるとしても、答えそのものには完成品などありませんし、学問の世界にも完成した回答など存在しないからです。

出典:働く大人の教養課程 - 実務教育出版


 発言の内容が必ずしも「答え」である必要はありません。著者は、そういった意識を取り除くために6種類のコメントの仕方を覚えれば発言がしやすくなると提案しています。

「自分の言いたいことを説明してみせる」
「自分の言いたいことを質問の形で確認する」
「自分の言いたいことを評価してみせる」
「他者の説明を引き出そうとする」
「他者の言うことを確認する」
「他者の評価を引き出そうとする」

出典:働く大人の教養課程 - 実務教育出版


 この6種類を意識するだけで、必要十分な発言をすることができます。そして、どれも「答え」を出していないのがわかるでしょうか。どのコメントも説明や質問、確認をするという誰でも日常会話でしているようなものでした。

 そして、もし咄嗟に言葉が出てこないならば、話しながら考えることもできると著者は述べています。まず、第一に声帯を震わせること。声を出すと自然と思考の幅が広がるので、頭の中で考えつかなかったような発言が可能になります。


 今回ご紹介した3つの事柄、あらためて確認すると「当たり前」の技術であることがわかります。しかし、意外に見落としがちな技術でもあります。学校も社会も「わからない」ことへの向き合い方や、「質問」や「発言」の仕方は教えてくれません。

 本書は、そういった「当たり前」な部分に着目して解説している点が非常に興味深いです。頭では薄々気づいていたものの、具体的にどうしたら良いのかわからなかった人にとって非常におすすめなので、ぜひ読んでみてください。


U-NOTEをフォローしておすすめ記事を購読しよう
この記事を報告する

難関資格を取得しても収入は平均以下? 『資格を取ると貧乏になります』取得者のみぞ知る収入格差

by pedrosek

 就職やキャリア、スキルアップのためなど、様々な局面で資格は有利なものとされています。上記にあげた理由で資格を取ろうとしている人も多いのではないでしょうか。グローバル化が進む企業でも、TOEICの受験を必須にしているところが多いように、資格取得は社会的に見ても有利なものとされています。

 今回ご紹介する『資格を取ると貧乏になります』はタイトルが少々挑発的ですが、難関資格が有利と手放しに賞賛している人々に対して具体例を挙げて批判した本です。なぜ、資格を取るだけでは有利にならないのか、詳しく見ていきましょう。

会社でTOEICを受けさせたがる理由とは

 企業への入社時にTOEICの点数が重要視されたり、入社後にTOEICを受験することが必須な企業が数多くあります。世界基準の英語資格はいくつかあるにもかかわらず、なぜこれほどまでにTOEICが普及したのでしょうか。著者は、その理由を次のように述べています。 

TOEICが爆発的に普及したのは、5565円という受験料の安さによるところが大きい。
 企業が、「TOEIC高スコアでも英語が喋れない社員問題」を認識していながらも、スピーキングとライティングの能力もしっかり測ることで定評がある米国発のグローバルなテスト「TOEFL」の採用に踏み切れないのは、TOEFL受験には最低、225USドルが必要で、TOEICと比べて4倍近い値段の開きがあるからだろう。

出典:佐藤留美(2014)『資格を取ると貧乏になります』

 なんと、受験料が安いことが大きな要因だったのです。著者の述べるように、読み書きの能力を測るTOEFLのほうが実践的ではありますが、TOEICが圧倒的に安く受験できるという理由で企業はTOEICを選択してしまうそうです。

 多くの会社が社員にTOEICを受けさせているのは、TOEICが英語資格として優れているからではなかったようです。

公認会計士の待機合格者が増えている

 公認会計士は独占業務を持っており、資格として非常に有利なイメージがあります。しかし、試験に合格しても実務経験がなければ取得が出来ず、待機合格者が増えているのが現状だそうです。

監査法人に就職できず、実務験を積めないために、資格取得ができない人が急増しているのだ。2010年の合格者で就職できなかった人は53.2%、11年は46.1%もいて、11年末の時点の待機合格者数は1300人にも達する。

出典:佐藤留美(2014)『資格を取ると貧乏になります』

 公認会計士の資格が就職に有利に働くどころか、資格を取るための就職が難しいという事態に陥ってしまっているのだとか。その数が約50%前後というのにも驚きですね。難関な資格であるにもかかわらず、就職が上手くいかないことで活用できないというのはなんとも皮肉なことです。

所得100万円以下の弁護士が増えている?

 高給取りなイメージがある弁護士に所得100万円以下という人が増えつつあるそうです。

国税庁の調査によると(2011年)、「所得100万円以下の弁護士」は、登録弁護士の8割を超える2万7094人のうち実に22%にも及んだ。

出典:佐藤留美(2014)『資格を取ると貧乏になります』

 もちろん、全ての弁護士が低賃金で働いているわけではありませんが、このように収入が圧倒的に低い弁護士がいるのも事実。一流の資格といわれた弁護士という資格ですが、その内部において深刻な収入格差が生まれているそうです。


 この本は挑発的なタイトルではありますが、具体例を調査して考察しているので、とても興味深い内容になっています。資格取得の全てを否定するわけではなく、「資格さえあれば安泰」と思っている人に警笛を鳴らし、資格を取る意味を改めて考えさせてくれる本です。気になった方はぜひ手にとってみては?


U-NOTEをフォローしておすすめ記事を購読しよう
この記事を報告する

『「ひらめき」を生む技術』セレンディピティを起こす「現場主義」的ひらめき発想法

by qisur

 どの分野の仕事でも、新しいものを生み出すための「ひらめき」は重要です。では、「ひらめき」はどのようにして生まれるのでしょうか。待っていても、頭の中で考えていても「ひらめき」は簡単には生まれませんよね。

 実は、分野を問わず活躍し続けている人は「ひらめく」ための技術を持っていたのです。今回ご紹介する『「ひらめき」を生む技術』という本では、著者が様々な領域で活躍する4人と対談を行って「ひらめき」を生む技術はどこにあるのかを考察しています。では、詳しく見ていきましょう。

自らチャンスを作り出せる「セレンディピティ」

 本書では、「セレンディピティ」が「ひらめき」を生むために重要だと繰り返し述べられています。では、この聞きなれないセレンディピティというのはどういう意味なのでしょうか? 著者は以下のように非常にわかりやすく説明しています。

「探していたわけではないけれど何だか面白いものがあるぞ、ラッキー」ということです。

出典:伊藤穣一(2013)『「ひらめき」を生む技術』


 探しているわけではないのにたまたま見つけてしまうという状況を自ら作り出すことができれば、視野が広くなりチャンスも増えるでしょう。計画を立てず、たまたま見つけたものを好意的に受け止める意識が重要です。

現場主義を徹底するメリットとは?

 組織で地位が高くなるほど、現場からは遠ざかってしまいます。そして、言葉や理屈だけで現場に指示を出す状況には限界があるそうです。その理由として、著者は以下のように述べています。

咄嗟の時に、どのように舵取りすればいいか自分で判断する右脳的な能力は、実際に経験を積むこと以外、培うことはできないのです。

出典:伊藤穣一(2013)『「ひらめき」を生む技術』


 著者は実体験として、現場で得られることの多さを語っています。アメリカのデトロイトの夜道の暗さから治安の悪化を懸念し、街灯の代わりになるものを作ることを考え、「自分自身が光るウェア」というものを作りだしました。

 これは著者が一人で考え出したものではなく、現場に赴き、現地の人と相談を重ねた結果に生まれたものです。だれでも簡単に自作できるという点で、現地の人に受け入れられたそうです。

 そして、自分で作るという経験を経た現地の人の中には、テクノロジーに興味を持ったという若者も居たそうです。現場にコミットし生まれた「ひらめき」は、完成した物を通して他人にも影響を与える効果がありました。

世界の一員としてのアイデンティティを持つということ

 日本は島国であることから人々がまとまりやすい環境ではありますが、このまま他国と協力せず、関係を良くしていかないままだとと世界から取り残されてしまう恐れがあります。そのために著者は世界の一員という意識を持つことの重要性を説いています。

もっとこちら側から積極的に自分たちのことを発信していく必要があります。そして、経済力や競争力ではなく、自分たちと違う国 ー 違う人間 ー にエンパシーを持ち、つながっていけるかどうかで、今後の日本の行く末が決まるといっても過言ではないでしょう。

出典:伊藤穣一(2013)『「ひらめき」を生む技術』


 また、日本人が世界の一員としてのアイデンティティを持ち、積極的な関わりを持っていくことで世界に対して大きな影響を与えられる可能性があるそうです。

 物作りや音楽など、日本は海外の文化を日本の文化と融け合わせることができる国なので、もっと多様な価値観を受け入れることもできます。イノベーションの時代といわれる現代において、日本の良さを世界に発信できる良い機会でしょう。


 本書は、映画監督・CEO・投資家・コメディアンと様々な分野の人たちと対談しており、それぞれの原点に遡って「ひらめき」について掘り下げています。どんな分野にも共通する「ひらめき」を生むための技術とはなにか、さらに詳しく知りたい人におすすめな本です。


U-NOTEをフォローしておすすめ記事を購読しよう
この記事を報告する

落ちこぼれのほうが成長するんだ。『一流になりたければ、エリートより落ちこぼれに聞きなさい』

by kohlmann.sascha
 どうも仕事が今までのようにうまくいかない…新たな壁にぶつかり伸び悩んだとき、あなたが相談しようとするのはどんな人ですか?

 多くの人が、自分の数歩先を進む「デキる先輩」にアドバイスを求めます。しかし、いざ聞いてみると、その内容はとても自分にはできないようなハードルの高いことだった、あるいは自分に合わなそうなやり方だった…そんな経験があるのでは?

 今回紹介する『一流になりたければ、エリートより落ちこぼれに聞きなさい』の著者、白柳雅文氏は、貧しい家庭環境などの様々な苦難を乗り越え、経営者となった人物です。

 そんな「どん底から成功者となった」著者の教える、誰にでも実践可能な成功するための心構えを見ていきましょう。

人との関係性についての心構え

冠婚葬祭を大切に

 成功するためには、人間関係の構築が大切になります。人とのつながりでおろそかにしてはならないのが、この冠婚葬祭、特に「葬」と「祭」だということ。

 日本には儀礼を重んじる風潮があります。そのため、冠=成人式、婚=結婚、葬=葬儀、祭=法事やお盆という、この4つをしっかり行えて初めて一人前だという考えも少なくありません。特に、死との向き合い方には人間性が表れるため、誠実な対応が必要となるそう。

相手を先回りする

 先回りをする目的は、相手の考えを読み、こちらに有利な状況を作ることではありません。ここで、相手を先回りするべきだとしているのは、そのプロセスである相手のことを考え、尊重して動くということが大切だからです。

 当然ですが、自分の事情は相手には関係のないこと。スケジュールなどを相手ありきで考えるということが肝心だそう。

認められたいなら相手を認めろ

 著者によれば、人の心を動かすための第一歩はその人を認めること。なにか相手に対する要求がある場合には、まず自分がその人を認めると、相手からも承認されやすくなるようです。

 相手を認めることが習慣化すると、徐々に人のいいところを見つけるのが得意になります。これにより、ビジネスだけでなく生活全体において、自分が心地よくいられる環境づくりが可能になりそうです。

行動についての心構え

人のせいにしたり言い訳したりしない

 人のせいにしたり言い訳したりしない、これは本当に初歩的なことですが、もし実践できれば人生は後悔のないものとなるそう。

 自分の心に正直に生きることで、それによって起きるのはすべて自分が望んだことの結果だと納得し、しっかりと受け入れられるようになります。このとき、他人のせいにしようという考えには至らなくなるとか。

 この心構えの実践によって、責任感のある信頼される人になるだけではなく、自身の人生を充実させることもできそうです。

人がやらないことをやり続けろ

 著者は、「こういう人にだけはなりたくない」という人が身近にいるなら大事にした方がいいと言っています。それは、その人がやらないことに自分の成長のチャンスがあるからだということ。

 言われたことしかやらない人には、他の人と同じ機会しか巡ってきません。また、誰に言われなくとも自ら良いことをしている人には、必ずそれを認めてくれる存在が表れるそうです。

とりあえずやってみろ

 人生はいつでも初体験の連続です。年を重ねるほどに、新たなものへの挑戦は難しくなります。しかし、そこで躊躇して行動しなければ、チャンスを逃してしまうかもしれません。わからなくてもとりあえずやってみる、これが成功の鍵となるそうです。

 もしそれがうまくいかなかったとしても、「行動した」という事実が次の物事を動かすきっかけとなり、その先へ繋がっていくということです。目の前のことだけでなく、長期的な結果まで考えて挑戦していくことが必要になりそうですね。

  
 
 今回は、『一流になりたければ、エリートより落ちこぼれに聞きなさい』から、成功するための心構えを見ていきました。ビジネス上の付き合いにおいてだけではなく、日常生活でもこれらを実践することで、自分の人生をより充実させることができそうですよね。

 本書では、この他にも3つの心構えが白柳氏のエピソードとともに紹介されています。興味のある方は手に取ってみてはいかがでしょう。


U-NOTEをフォローしておすすめ記事を購読しよう
この記事を報告する