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ボカロとヒトのあいだ このページをアンテナに追加 Twitter

20141005 ボカロ曲に対する「こんなものだろう」と「こんなものではないはず」 このエントリーを含むブックマーク

9月のボカロ曲20選。ノミネート53曲から厳選。


2014年9月ボカロ曲20選

http://www.nicovideo.jp/mylist/45899931


チャートアクションで健闘した作品はひとつかふたつくらい。5桁再生は2曲で、4桁と3桁再生がほとんど。毎月自分なりのベスト選集を編んでいるが、再生数的にはだいたい似た感じになる。その度に「こんなものだろう」と「こんなものではないはずだ」が僕の心中でせめぎ合う。

「こんなものだろう」とはボカロ曲をいまだ熱心に聴き続けているリスナーの数を考えると、3桁4桁の再生数で落ち着くのが妥当だろうという読みから発せられるものであり、「こんなものではないはずだ」は曲のポテンシャルを考えるとあまりに評価が低すぎるのではないかという憤りから発せられるものだ。

ただし「ボカロ曲は最高水準」の記事をアップした半年前ならいざ知らず、現在では「こんなものだろう」が「こんなものではないはずだ」を心情的に上回っている。状況に対する憤りは僕の中で沈静化しつつある。ある意味、諦めているとも言える。


というのは、僕がボカロに対して夢見ていたことが本当に「夢」だとはっきり分かってしまったからだろう。いやとっくに分かっていたのに、今まで見ないふりをしてきたと言ったほうが正確だろうか。ありとあらゆる種類のボカロ曲が平行して聴かれ、クリエイターの知名度に関係なく作品が評価されていく、なんてのはやっぱり「夢」だったのだ。

もしかすると、かつてはそんな「夢」が現実化していたのかも知れない。でも2014年の今、ボカロはよくある音楽シーンのあり方と何も変わらない。そこに集う人々が求めているのは音楽ではなく別のなにかだ。

だから「最近のボカロはわからない」とツイートする人に対して「わからないのなら何故ランキングなどを参考にして自発的に聴かないのか」と疑問を呈しても意味はない。「最近のボカロもいいものがあるよ」と良曲のありかに導いても意味はない。「わからない」とツイートする人は(昔は良かったと先輩風を吹かせたいところもあるだろうが)「わからない」私に共感してくれる誰かを求めているのであって、音楽を求めているのではない。


逆に黙々と音楽だけを求めている人は少数派であり、中でもビートやサウンドの質にこだわる人はさらに少なく、ボカロの歌声に「新しい音楽の可能性」を夢見て信じた人に至ってはいまや絶滅危惧種と化している。

この国を覆うカラオケ文化にも呑み込まれ、ボカロとオケが一体化した音響にはもれなく「歌声が小さいです」とご丁寧なコメントを書き込まれる。そこで評価は終わってしまい、その先にある音響の快楽はカラオケの名の下に封じられる。

結局、ボカロはまる7年かけて、好事家だけが聴く特殊なミュージックの位置に納まろうとしている。よって「こんなものだろう」「それでいいではないか」とおおいに開き直ることはできる。分かっている自分たちだけが楽しめればいいのだと。

でもやはりボカロは「こんなものではないはずだ」という諦めの悪さはいまだ僕にはある。初音ミクがどれだけ一般化しようとも、誰をも突き刺す尖った先端は残っているはずだと信じたい気持ちがまだある。


現状を変えるには、つまり「こんなものだろう」の呪縛から逃れるには、ボカロはニコニコ動画の外へ出るしかないだろう。しかしその方策はいまだ不透明である。だが先頃リリースされたコンピ集「MIKUHOP LP」の成功(DL数1000over)は価値ある実績のひとつになった。未来を切り開く橋頭堡となるかも知れない。

ボカロはまだまだ「こんなものではないはずだ」。

石崎由藤石崎由藤 2014/10/07 14:13 以前、midnightricefieldでコメントしていた者です。こんにちは。

コバチカさんの理想も実現していたら、面白いでしょう。
でも、実際は1つのサブカルに留まろうとしている。

「面白いから」とだけでボカロを追っている私にしてみれば、この状況はコンテンツとして長い時間存在する、という点において悪くもないんじゃんないかと考えます。

いろいろコラボしたりしていますが、小さな起伏を繰り返し
たまに、普段関わりのない人も巻き込んだ現象が起きる程度が
長生きして、面白くなりそうです。


悪文申訳無い

さずさず 2014/10/18 01:09 初のコメント失礼します。

僕がボカロの音楽にかなり高度な(難解な)ものが混じっているぞ、と気付いたのがだいたい1年前。そしてこのブログを見つけたのが半年前になります。余裕でニコニコのマイリスが埋まってしまうほど聞いています。

ボカロはオタクっぽい印象があるので友達に勧めるのも恥ずかしいし、大好きだけどポップじゃないtreowさんの曲を勧めても気に入るだろうか・・?という二重の意味でリアルでの仲間づくりを諦めていました。
なので初めてここの記事を見たときは「初めて仲間を見つけた・・!」的な意味ですごく嬉しかったのをおぼえています。

で、何が言いたいかっていうと、僕みたいな人が絶対いるのではないかな、と思うのです。

「ボカひと」で紹介されてる曲はとっても凄いと思ってる、だけど「オタクっぽい」っていうレッテルがあるから他の人には勧めにくいって思ってる。それで再生回数の少ない、だけど良い曲にはあまり人が流れないのかな、とちょっと思いました。

だから、コバチカさんにはまだまだ諦めてほしくないな、と思いました。
きっと僕みたいな人がこのブログをみたらとっても嬉しいだろう、
なんだ、ボカロって全然オタクっぽくないじゃん、って思い直すと思います。