U-NOTE【ユーノート】仕事を楽しくするメディア

変革を生むための3要素は「資質・思考・モチベーション」! 『未来のイノベーターはどう育つのか』


 今の時代、仕事をしていて「イノベーション」という言葉を耳にしたことが無い人はいないでしょう。会社の業績や経済を”打開”するキーワードとしてよく使われますが、「イノベーション」とは何か、「イノベーター」がどう生まれるのかを具体的に説明できる人は少ないのではないでしょうか?

 今回は『未来のイノベーターはどう育つのか』という本から、イノベーターとなるために必要とされる3要素について紹介していきたいと思います。

イノベーターに欠かせない「資質」とは

 著書では、イノベーションは「クリエイティブな問題解決法」と表されており、最も欠かせないイノベーターの資質として以下の項目を挙げています。

成功するイノベーターに最も欠かせない資質とは・好奇心・コラボレーション・関連付けまたは統合的思考・行動志向と実験志向。

出典:トニー・ワグナー (2014) 『未来のイノベーターはどう育つのか』

 補足すると、好奇心は「いい質問をする癖と、もっと深く理解したいという欲求」、コラボレーションは「自分とは非常に異なる見解や人の話に耳を傾け、学ぶ」ことを示しています。

 「クリエイティブで独創的」と聞くと、私たちは先天的に備わっている要素だと思いがちですが、こうしたスキルや考え方の癖は、後天的に身に付けることができるよう。正しい環境とチャンスさえあれば独創的になれるのです。

イノベーションのための「デザイン思考」

 イノベーションはゼロからは起こせず、専門的な知識とクリエイティブな思考力が必要となります。

 観察・根気・意欲・寛容性など様々なものが求められますが、その中でも「デザイン思考」が不可欠だそうです。以下が、デザイン思考を持っている人の5つの特質となります。

デザイン思考者の5つの特質とは、1.共感 2.統合的な思考 3.楽観主義 4.実験主義 5.コラボレーター。

出典:トニー・ワグナー (2014) 『未来のイノベーターはどう育つのか』

 これらの特質から、”試行錯誤” や"解決方法があると信じること”、また、”問題をあらゆる側面から見つめること”、”異なる分野の人と一緒に仕事ができるか”、などがイノベーションには必要と言えそうです。

最後は「モチベーション」

 モチベーションは、専門性やスキルよりもはるかに重要だと本書では考えられています。モチベーションには、外的と内的の2種類が存在しますが、創造性の面では内的モチベーションが極めて重要です。

内的モチベーションには遊び、情熱、目的意識という3つの要素がある。この3つを親、教師、メンター、経営者がどのように奨励するかによって、若きイノベーターの人生には大きな変化が表れる。

出典:トニー・ワグナー (2014) 『未来のイノベーターはどう育つのか』

 特に情熱に関しては、起業家として成功するための半分は根気で決まると言われているほど。そのため、自分が情熱を感じることができるアイデアや課題、あるいは正したいと思う間違いを見つけることが必要となります。また、何かを実現したいという情熱は、学習や探究を通じて「目的意識」へと進化させることが可能となるでしょう。


 いかがでしたか? イノベーションを起こすためには、専門性・思考力・モチベーションの3つを掛け合わせることが必要なのかもしれませんね。また、独創性については、ジョークやアイデアの組み合わせを考えたりすることで鍛えられるようですよ。

 この著書では、「イノベーション能力はどのように芽生え、どうやって育てられるか」などについて、若きイノベーターの事例を紹介しながら解説されています。気になった方は、一度お手に取ってみては?



U-NOTEをフォローしておすすめ記事を購読しよう
この記事を報告する

難関資格を取得しても収入は平均以下? 『資格を取ると貧乏になります』取得者のみぞ知る収入格差

by pedrosek

 就職やキャリア、スキルアップのためなど、様々な局面で資格は有利なものとされています。上記にあげた理由で資格を取ろうとしている人も多いのではないでしょうか。グローバル化が進む企業でも、TOEICの受験を必須にしているところが多いように、資格取得は社会的に見ても有利なものとされています。

 今回ご紹介する『資格を取ると貧乏になります』はタイトルが少々挑発的ですが、難関資格が有利と手放しに賞賛している人々に対して具体例を挙げて批判した本です。なぜ、資格を取るだけでは有利にならないのか、詳しく見ていきましょう。

会社でTOEICを受けさせたがる理由とは

 企業への入社時にTOEICの点数が重要視されたり、入社後にTOEICを受験することが必須な企業が数多くあります。世界基準の英語資格はいくつかあるにもかかわらず、なぜこれほどまでにTOEICが普及したのでしょうか。著者は、その理由を次のように述べています。 

TOEICが爆発的に普及したのは、5565円という受験料の安さによるところが大きい。
 企業が、「TOEIC高スコアでも英語が喋れない社員問題」を認識していながらも、スピーキングとライティングの能力もしっかり測ることで定評がある米国発のグローバルなテスト「TOEFL」の採用に踏み切れないのは、TOEFL受験には最低、225USドルが必要で、TOEICと比べて4倍近い値段の開きがあるからだろう。

出典:佐藤留美(2014)『資格を取ると貧乏になります』

 なんと、受験料が安いことが大きな要因だったのです。著者の述べるように、読み書きの能力を測るTOEFLのほうが実践的ではありますが、TOEICが圧倒的に安く受験できるという理由で企業はTOEICを選択してしまうそうです。

 多くの会社が社員にTOEICを受けさせているのは、TOEICが英語資格として優れているからではなかったようです。

公認会計士の待機合格者が増えている

 公認会計士は独占業務を持っており、資格として非常に有利なイメージがあります。しかし、試験に合格しても実務経験がなければ取得が出来ず、待機合格者が増えているのが現状だそうです。

監査法人に就職できず、実務験を積めないために、資格取得ができない人が急増しているのだ。2010年の合格者で就職できなかった人は53.2%、11年は46.1%もいて、11年末の時点の待機合格者数は1300人にも達する。

出典:佐藤留美(2014)『資格を取ると貧乏になります』

 公認会計士の資格が就職に有利に働くどころか、資格を取るための就職が難しいという事態に陥ってしまっているのだとか。その数が約50%前後というのにも驚きですね。難関な資格であるにもかかわらず、就職が上手くいかないことで活用できないというのはなんとも皮肉なことです。

所得100万円以下の弁護士が増えている?

 高給取りなイメージがある弁護士に所得100万円以下という人が増えつつあるそうです。

国税庁の調査によると(2011年)、「所得100万円以下の弁護士」は、登録弁護士の8割を超える2万7094人のうち実に22%にも及んだ。

出典:佐藤留美(2014)『資格を取ると貧乏になります』

 もちろん、全ての弁護士が低賃金で働いているわけではありませんが、このように収入が圧倒的に低い弁護士がいるのも事実。一流の資格といわれた弁護士という資格ですが、その内部において深刻な収入格差が生まれているそうです。


 この本は挑発的なタイトルではありますが、具体例を調査して考察しているので、とても興味深い内容になっています。資格取得の全てを否定するわけではなく、「資格さえあれば安泰」と思っている人に警笛を鳴らし、資格を取る意味を改めて考えさせてくれる本です。気になった方はぜひ手にとってみては?


U-NOTEをフォローしておすすめ記事を購読しよう
この記事を報告する

『「ひらめき」を生む技術』セレンディピティを起こす「現場主義」的ひらめき発想法

by qisur

 どの分野の仕事でも、新しいものを生み出すための「ひらめき」は重要です。では、「ひらめき」はどのようにして生まれるのでしょうか。待っていても、頭の中で考えていても「ひらめき」は簡単には生まれませんよね。

 実は、分野を問わず活躍し続けている人は「ひらめく」ための技術を持っていたのです。今回ご紹介する『「ひらめき」を生む技術』という本では、著者が様々な領域で活躍する4人と対談を行って「ひらめき」を生む技術はどこにあるのかを考察しています。では、詳しく見ていきましょう。

自らチャンスを作り出せる「セレンディピティ」

 本書では、「セレンディピティ」が「ひらめき」を生むために重要だと繰り返し述べられています。では、この聞きなれないセレンディピティというのはどういう意味なのでしょうか? 著者は以下のように非常にわかりやすく説明しています。

「探していたわけではないけれど何だか面白いものがあるぞ、ラッキー」ということです。

出典:伊藤穣一(2013)『「ひらめき」を生む技術』


 探しているわけではないのにたまたま見つけてしまうという状況を自ら作り出すことができれば、視野が広くなりチャンスも増えるでしょう。計画を立てず、たまたま見つけたものを好意的に受け止める意識が重要です。

現場主義を徹底するメリットとは?

 組織で地位が高くなるほど、現場からは遠ざかってしまいます。そして、言葉や理屈だけで現場に指示を出す状況には限界があるそうです。その理由として、著者は以下のように述べています。

咄嗟の時に、どのように舵取りすればいいか自分で判断する右脳的な能力は、実際に経験を積むこと以外、培うことはできないのです。

出典:伊藤穣一(2013)『「ひらめき」を生む技術』


 著者は実体験として、現場で得られることの多さを語っています。アメリカのデトロイトの夜道の暗さから治安の悪化を懸念し、街灯の代わりになるものを作ることを考え、「自分自身が光るウェア」というものを作りだしました。

 これは著者が一人で考え出したものではなく、現場に赴き、現地の人と相談を重ねた結果に生まれたものです。だれでも簡単に自作できるという点で、現地の人に受け入れられたそうです。

 そして、自分で作るという経験を経た現地の人の中には、テクノロジーに興味を持ったという若者も居たそうです。現場にコミットし生まれた「ひらめき」は、完成した物を通して他人にも影響を与える効果がありました。

世界の一員としてのアイデンティティを持つということ

 日本は島国であることから人々がまとまりやすい環境ではありますが、このまま他国と協力せず、関係を良くしていかないままだとと世界から取り残されてしまう恐れがあります。そのために著者は世界の一員という意識を持つことの重要性を説いています。

もっとこちら側から積極的に自分たちのことを発信していく必要があります。そして、経済力や競争力ではなく、自分たちと違う国 ー 違う人間 ー にエンパシーを持ち、つながっていけるかどうかで、今後の日本の行く末が決まるといっても過言ではないでしょう。

出典:伊藤穣一(2013)『「ひらめき」を生む技術』


 また、日本人が世界の一員としてのアイデンティティを持ち、積極的な関わりを持っていくことで世界に対して大きな影響を与えられる可能性があるそうです。

 物作りや音楽など、日本は海外の文化を日本の文化と融け合わせることができる国なので、もっと多様な価値観を受け入れることもできます。イノベーションの時代といわれる現代において、日本の良さを世界に発信できる良い機会でしょう。


 本書は、映画監督・CEO・投資家・コメディアンと様々な分野の人たちと対談しており、それぞれの原点に遡って「ひらめき」について掘り下げています。どんな分野にも共通する「ひらめき」を生むための技術とはなにか、さらに詳しく知りたい人におすすめな本です。


U-NOTEをフォローしておすすめ記事を購読しよう
この記事を報告する

落ちこぼれのほうが成長するんだ。『一流になりたければ、エリートより落ちこぼれに聞きなさい』

by kohlmann.sascha
 どうも仕事が今までのようにうまくいかない…新たな壁にぶつかり伸び悩んだとき、あなたが相談しようとするのはどんな人ですか?

 多くの人が、自分の数歩先を進む「デキる先輩」にアドバイスを求めます。しかし、いざ聞いてみると、その内容はとても自分にはできないようなハードルの高いことだった、あるいは自分に合わなそうなやり方だった…そんな経験があるのでは?

 今回紹介する『一流になりたければ、エリートより落ちこぼれに聞きなさい』の著者、白柳雅文氏は、貧しい家庭環境などの様々な苦難を乗り越え、経営者となった人物です。

 そんな「どん底から成功者となった」著者の教える、誰にでも実践可能な成功するための心構えを見ていきましょう。

人との関係性についての心構え

冠婚葬祭を大切に

 成功するためには、人間関係の構築が大切になります。人とのつながりでおろそかにしてはならないのが、この冠婚葬祭、特に「葬」と「祭」だということ。

 日本には儀礼を重んじる風潮があります。そのため、冠=成人式、婚=結婚、葬=葬儀、祭=法事やお盆という、この4つをしっかり行えて初めて一人前だという考えも少なくありません。特に、死との向き合い方には人間性が表れるため、誠実な対応が必要となるそう。

相手を先回りする

 先回りをする目的は、相手の考えを読み、こちらに有利な状況を作ることではありません。ここで、相手を先回りするべきだとしているのは、そのプロセスである相手のことを考え、尊重して動くということが大切だからです。

 当然ですが、自分の事情は相手には関係のないこと。スケジュールなどを相手ありきで考えるということが肝心だそう。

認められたいなら相手を認めろ

 著者によれば、人の心を動かすための第一歩はその人を認めること。なにか相手に対する要求がある場合には、まず自分がその人を認めると、相手からも承認されやすくなるようです。

 相手を認めることが習慣化すると、徐々に人のいいところを見つけるのが得意になります。これにより、ビジネスだけでなく生活全体において、自分が心地よくいられる環境づくりが可能になりそうです。

行動についての心構え

人のせいにしたり言い訳したりしない

 人のせいにしたり言い訳したりしない、これは本当に初歩的なことですが、もし実践できれば人生は後悔のないものとなるそう。

 自分の心に正直に生きることで、それによって起きるのはすべて自分が望んだことの結果だと納得し、しっかりと受け入れられるようになります。このとき、他人のせいにしようという考えには至らなくなるとか。

 この心構えの実践によって、責任感のある信頼される人になるだけではなく、自身の人生を充実させることもできそうです。

人がやらないことをやり続けろ

 著者は、「こういう人にだけはなりたくない」という人が身近にいるなら大事にした方がいいと言っています。それは、その人がやらないことに自分の成長のチャンスがあるからだということ。

 言われたことしかやらない人には、他の人と同じ機会しか巡ってきません。また、誰に言われなくとも自ら良いことをしている人には、必ずそれを認めてくれる存在が表れるそうです。

とりあえずやってみろ

 人生はいつでも初体験の連続です。年を重ねるほどに、新たなものへの挑戦は難しくなります。しかし、そこで躊躇して行動しなければ、チャンスを逃してしまうかもしれません。わからなくてもとりあえずやってみる、これが成功の鍵となるそうです。

 もしそれがうまくいかなかったとしても、「行動した」という事実が次の物事を動かすきっかけとなり、その先へ繋がっていくということです。目の前のことだけでなく、長期的な結果まで考えて挑戦していくことが必要になりそうですね。

  
 
 今回は、『一流になりたければ、エリートより落ちこぼれに聞きなさい』から、成功するための心構えを見ていきました。ビジネス上の付き合いにおいてだけではなく、日常生活でもこれらを実践することで、自分の人生をより充実させることができそうですよね。

 本書では、この他にも3つの心構えが白柳氏のエピソードとともに紹介されています。興味のある方は手に取ってみてはいかがでしょう。


U-NOTEをフォローしておすすめ記事を購読しよう
この記事を報告する