亀岡龍太
2014年11月1日23時24分
天空に近いから「ソラ」。そう呼ばれる徳島県の集落で続く独特の農業が脚光を浴びている。本来は耕作に向かない山の急斜面を使う。その伝統的な農と暮らしが「先人の知恵が詰まり、世界的にもユニーク」と評価され、修学旅行や視察が相次ぐ。
場所は、西日本第2の高峰、剣山(1955メートル)周辺の山間部。三好、美馬両市とつるぎ、東みよし両町に、勾配25度以上の耕地を擁する集落が230カ所1406ヘクタールある。
標高約600メートルのつるぎ町の剪宇(きりう)地区は60代以上の約20人が暮らす。ソバやニンジンなどを育てる切上(きりがみ)登喜男さん(68)の畑の勾配は最大約35度。立っているのも難しい。
近所の女性は昨年、近くの畑で滑り落ち、骨折。最近、裏に凹凸がある地下足袋を履いているという。
畑の土はずり落ちたり雨で流れたりする。春は「サラエ」と呼ぶ6本刃のくわで持ち上げる「土上げ」が欠かせない。土の流失防止や保温のためカヤを刻んで畑に敷き詰めるのも独特の手間だ。10月末、現地で農作業をしていた古城幸男さん(76)は「当たり前だと思ってきた」と話した。
ソラの畑は20センチほど掘ると礫(れき)や粘土の層の下に緑色片岩がある。砕きやすいので棚田状にもできるが「あえて造っていない」と徳島大学大学院の内藤直樹准教授。「畑の表面積を広くするためだと考えられます」
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朝日新聞社会部
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