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【歴史戦 第7部 崩れ始めた壁(2)】
韓国「真相明らかにして何が残る」 ずさんな元慰安婦聞き取り
対日賠償訴訟にらみ
金を含む聞き取り対象16人のうち5人までが、3年12月に日本政府を相手取って慰安婦賠償請求訴訟を起こした原告だった。オブザーバー参加した福島瑞穂は訴訟の代理人でもある。
遺族会会長の梁順任(ヤン・スニム)は3年8月に、初めて韓国人元慰安婦の証言を記事にして慰安婦問題に火をつけた元朝日新聞記者、植村隆の義母にあたる。この記事で元慰安婦は匿名だったが、後に名乗り出た。対日慰安婦賠償訴訟の原告となる金学順(キム・ハクスン)であり、彼女も16人のうちの1人である。
「裁判のために作成した重要な資料である訴状を、当然、(調査の)参考資料とすべきだ。三権分立とはいえ、重要な問題を司法にだけ任せ、政府はほったらかしにしていいのか」
5年7月半ば、聞き取り調査の事前打ち合わせのため遺族会を訪ねた日本政府関係者に対し、梁は繰り返し訴状を資料として採用するよう迫った。裁判を有利に進める思惑があったのは明らかだろう。
ビデオ撮影に関しては「外部に公表するためのものではない。あくまでも遺族会の記録とするものだ」と繰り返し、「ビデオは不可」とした日本側を押し切った。日本側が聞き取り調査の目的は「歴史を明らかにし、真相究明を行うことだ」と趣旨を説明すると、こう反発した。