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週刊・上杉隆

自由報道協会への理解と誤解と無理解――小沢氏記者会見の運営批判に答えよう

上杉 隆 [(株)NO BORDER代表取締役]
【第166回】 2011年3月10日
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 一方、沖縄・尖閣諸島周辺での中国の活動や、北方領土へロシア政府要人が相次いで訪問していることに対し、「政府としての主張がないため、必要以上に侮られる」と苦言を呈した。元秘書の政治資金規正法違反事件に関しては「単純なミステークはあったと思うが、精いっぱいやってくれていた」とかばった。

 会見には、フリーランスの記者に加え、産経新聞など新聞数社と、テレビ、雑誌記者ら計約70人が出席した。指名されたのはほとんどフリーランスの記者で、本紙記者は前回同様、挙手を続けたが最後まで指名されず、会見は30分余りで終了した〉(産経新聞/3月4日付)
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110303/stt11030323180015-n1.htm

指名されなかったのは
「単なる偶然」

 これは、少しばかり悪意に満ちた記事かもしれない。「既存メディア」は指名されなかったというのは事実だが、フリーランスもまた同じように指名されなかった者がいたからだ。

 この日の小沢一郎会見が決定したのは前日の夕刻だった。すでに会見場所を押さえることも困難な状況の中、どうにか帝国劇場の会議室を押さえることができたのが夜のことであった。さぁ、そこからが大変だった。

 畠山理仁氏や小川裕夫氏などのフリー記者は、ほとんど徹夜に近い状態で、参加希望者の確認作業、スタッフの手配、会場の設営、警備対応に臨み、実際に会見の始まった頃には疲労のため居眠りをしていたほどだ。

 結果、二人とも指名されることはなく、時間と労力の浪費に終わってしまったのであった。

 ずっと記者会見開催のために働いてくれた人々に当たらないというのは、本当に申し訳ない限りだ。その理由は、既存メディアの記者たちにも質問してもらおうと配慮した結果が裏目に出たことを記しておきたい。

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上杉 隆 [(株)NO BORDER代表取締役]

株式会社NO BORDER代表取締役。社団法人自由報道協会代表。元ジャーナリスト。1968年福岡県生まれ。都留文科大学卒業。テレビ局記者、衆議院議員公設秘書、ニューヨーク・タイムズ東京支局取材記者、フリージャーナリストなどを経て現在に至る。著書に『石原慎太郎「5人の参謀」』 『田中真紀子の恩讐』 『議員秘書という仮面―彼らは何でも知っている』 『田中真紀子の正体』 『小泉の勝利 メディアの敗北』 『官邸崩壊 安倍政権迷走の一年』 『ジャーナリズム崩壊』 『宰相不在―崩壊する政治とメディアを読み解く』 『世襲議員のからくり』 『民主党政権は日本をどう変えるのか』 『政権交代の内幕』 『記者クラブ崩壊 新聞・テレビとの200日戦争』 『暴走検察』 『なぜツイッターでつぶやくと日本が変わるのか』 『上杉隆の40字で答えなさい~きわめて非教科書的な「政治と社会の教科書」~』 『結果を求めない生き方 上杉流脱力仕事術』 『小鳥と柴犬と小沢イチローと』 『永田町奇譚』(共著) 『ウィキリークス以後の日本 自由報道協会(仮)とメディア革命』 『この国の「問題点」続・上杉隆の40字で答えなさい』 『報道災害【原発編】 事実を伝えないメディアの大罪』(共著) 『放課後ゴルフ倶楽部』 『だからテレビに嫌われる』(堀江貴文との共著)  『有事対応コミュニケーション力』(共著) 『国家の恥 一億総洗脳化の真実』 『新聞・テレビはなぜ平気で「ウソ」をつくのか』 『大手メディアが隠す ニュースにならなかったあぶない真実』


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永田町を震撼させる気鋭の政治ジャーナリスト・上杉隆が政界に鋭く斬りこむ週刊コラム。週刊誌よりもホットで早いスクープ情報は、目が離せない。
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