ハワイ:神聖な場と抗議、起工式一時中断…山頂の望遠鏡

毎日新聞 2014年10月09日 19時20分(最終更新 10月09日 20時38分)

ハワイに建設される超大型望遠鏡TMTの完成予想図=国立天文台提供
ハワイに建設される超大型望遠鏡TMTの完成予想図=国立天文台提供

 日米など5カ国が建設する世界最大の望遠鏡「TMT」の起工式が日本時間8日、米ハワイ島マウナケア山であったが、建設に反対する地元住民らの抗議を受け、一時中断された。反対派は「神聖な場所にこれ以上、人工物を増やすのはだめだ。環境破壊にもつながる」などと主張しているという。

 日本の国立天文台によると、起工式は標高4205メートルの山頂近くの建設予定地で、ハワイ伝統の儀式にのっとって実施する予定だった。しかし、反対派が登山道を封鎖したり、式に乱入して抗議の声を上げたりしたため中断し、ふもとの別会場で続行した。反対派の人数は不明という。

 国立天文台広報室は「争いを避けて起工式自体は中断したが、建設自体に影響はない」と説明した。

 TMTは直径30メートルの主鏡を持ち、2021年度の稼働を目指す。同じ山頂にある日本のすばる望遠鏡に比べ集光力は13倍で、生命が存在する太陽系外の惑星探索などに期待がかかる。【渡辺諒】

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