市交通局の担当者は「網棚がないので、当然網棚の忘れ物はない」と説明する。確かに網棚が存在しない以上、そこへの忘れ物はありえない。
しかし、車両内には、網棚が設置されていなくても、床や座席など荷物を置くところはある。
市交通局では車内に絞った忘れ物の統計はないが、駅構内と車両内を合算した数値はある。平成25年度にはかさなど計約9万3千件の忘れ物があった。網棚がなくても、床や座席などにものを忘れていくという。
ちなみに札幌市営地下鉄では、車両に網棚がないことのほかにも、冷房装置がないことや、ゴムタイヤを採用していることなどユニークな取り組みをしている。
札幌市営地下鉄で存在しない網棚。大阪のまちの声でも「不要論」が出ているが、関西の鉄道会社はどう考えているのか。
南海電鉄の広報担当者は「そういえば、若い人で網棚を使っている人は確かに少ない」と認める一方で、「網棚を使う頻度は減ってきたかもしれないが、重い荷物を持っている人には必要。それにうちには、関西国際空港を結ぶ空港線もあり、(荷物が多い)海外旅行客も利用する」と網棚の必要性を説く。現在も朝の通勤時間帯は比較的、ビジネスバッグなどを網棚に置く光景が見られるという。
阪急電鉄でも「網棚の撤廃など議論したことがない」と明かす。兵庫県から福井県まで走る新快速電車を運行するJR西日本では「新快速電車などは長い距離を走るので、網棚は必要」と話す。
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