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» 2014年10月31日 09時53分 UPDATE

鉄道界に衝撃、「網棚に載せない」多数派に 「不要論」も 札幌地下鉄は開業時から無し──背景に社会心理 (3/5)

[産経新聞]
産経新聞

 昭和46(1971)年に開通して以来、網棚をなくしている。そのねらいは、まさに「忘れ物の防止」だ。駅間が短く、長い区間の乗車を想定していないという事情もある。

 確かに、札幌市営地下鉄の路線は3路線で、最も短い駅間は530メートルしかなく、営業距離は48キロ。大阪市営地下鉄の営業距離129・9キロの3分の1近い。

photo 札幌市営地下鉄の車内。つり革はあるが、そのそばにあるはずの網棚がない(札幌市交通局提供)

 札幌市交通局によると、全国の地下鉄では唯一、網棚がないという。市民の交通機関として定着しているが、思わぬトラブルも起きている。

 乗客が、網棚が車内にあると思い込んで荷物を置こうとしたところ、網棚がないため落下し、座席にいる人にあたってしまうのだ。平成21年4月以降、こうしたトラブルは市交通局に3件報告されている。駅員に被害者や落とした人が申し出た件数のため、実際にはもっとある可能性がある。

 このため市交通局では今年3月から、利用者が多い駅で、網棚がないことを知らせ、トラブル防止を呼びかけるポスターを掲示。「ご注意ください!」と大きく書かれ、乗客が誤って荷物を載せようとし、座席の人の頭にあたるイラストを描いている。

 市にはいまも、電話やホームページの書き込みなどで「なぜ網棚がないのか」「網棚をつけてほしい」という問い合わせがあるが、「忘れ物の防止」「駅間が短い」と説明しているという。

 開業から43年。忘れ物防止という目的は達成できているのだろうか。

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