電車内で、網棚にかばんや荷物を載せる人をあまり見なくなった。ある程度混んでいても、網棚には何もないという光景が日常化している。大阪・ミナミで20〜69歳の男女35人に「電車の網棚にかばんや荷物を載せますか」と質問すると、「載せない」か「基本的に載せない」という回答が約8割の27人を占めた。20代の14人では、2人を除いて“載せない派”。「網棚は不要」とする声さえ出た。年配の人たちでは、数十年前は利用していたものの、その後使わなくなったという答えも目立った。電車に乗ると当たり前にように使われていた網棚が、なぜ敬遠されるようになったのか。(張英壽)
大阪・ミナミの南海なんば駅前(大阪市中央区)で聞き取りをした。
大阪市東淀川区の男性会社員(26)は「生まれてから1回も網棚に置いたことはない。置こうとも考えたこともない。網棚はなくてもいい」と回答。大阪府門真市の女性会社員(30)も「一度も網棚を利用したことがない」と打ち明け、「バッグでも紙袋でもそうです。ほかの人も、載せている姿はあまり見ません。網棚ってなくてもいいのではないですか」と答えた。生まれて1回も載せていないという答えは、20代を中心にほかにも多く聞かれた。
年配の人では、大阪府松原市の主婦(69)は昔をこう思い出した。
「30年ほど前は、おみやげのおすしを電車の網棚に載せたものですが、ここ20年、30年は載せなくなりましたね。現在は、大きな荷物があって立つときは脚に挟みますし、座るときは足下に置く。みな忘れものをするのが怖いんではないですか」
40代以上の16人のうち、6人が「自分がかつて載せていたが、今は載せない」か「かつて人々はもっと網棚を使っていた」という趣旨の回答をした。昔に比べて、網棚にものを載せる人が少なくなっているのだろうか。
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