日銀決定会合:追加緩和 異例の僅差…賛成5、反対4

毎日新聞 2014年10月31日 21時19分(最終更新 11月01日 08時12分)

記者会見をする日銀の黒田東彦総裁=東京都中央区の日本銀行で2014年10月31日午後3時51分、竹内幹撮影
記者会見をする日銀の黒田東彦総裁=東京都中央区の日本銀行で2014年10月31日午後3時51分、竹内幹撮影

 ◇供給拡大 年80兆円

 日銀は31日の金融政策決定会合で、追加の金融緩和策を決めた。これまで、長期国債などの金融資産を購入して市場に資金を供給する量(マネタリーベース)を年60兆〜70兆円増やすとしてきたが、これを80兆円に拡大する。消費増税後の消費や生産の低迷が長引き、原油安もあって消費者物価の伸び率が鈍化しているためだ。想定外の追加緩和で株高、円安、金利低下が進んだが、効果が見えにくいことなどから日銀内でも賛否が分かれ、金融政策を決める政策委員9人のうち4人が反対した。

 昨年4月に異次元緩和を導入後、初の追加緩和となる。黒田東彦(はるひこ)総裁は31日午後に記者会見し、消費低迷や最近の原油安を踏まえ、「物価上昇率がやや下がっており、将来の賃金や企業の価格設定が下がる恐れがある」と指摘。「着実に進んできたデフレマインドの転換が遅延するリスクがあり、金融緩和の拡大が適当だ」と説明した。

 追加緩和策は、長期国債の買い入れ規模を現在の年間約50兆円から80兆円に30兆円増額。満期までの期間の平均も最大3年程度延長して7〜10年にする。より長期の金利を押し下げ、企業や個人がお金を借りやすい環境にして景気を刺激する狙いだ。上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(REIT=リート)の買い入れ規模も3倍に増やす。資産買い入れを強化することで、市場に流すお金の量を増やす。

 日銀は今回の追加緩和を踏まえて、2016年度まで3年間の経済見通し「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」も公表した。景気のもたつきを反映し、14年度の成長率見通しは7月時点の1・0%から0・5%に下方修正。14年度の物価見通しも1.3%から1.2%に、15年度も1.9%から1.7%に引き下げたが、16年度は2.1%で据え置き、追加緩和の効果で「15年度ごろに物価上昇率が2%に達する」とのシナリオは維持した。

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