たばこワールド

  • ホーム
  • JTの取り組み
  • たばこジャーナル
  • 大人の嗜み

JTウェブサイト

世界の話 欧米編 世界の話 アジア・アフリカ編 日本の話 江戸時代編 日本の話 明治・大正時代編 日本の話 昭和〜現代編 たばこの雑学
日本の話 Japanese Story

ゴールデンバットに2度のデザイン変更があった!?

  前話でもお伝えした通り、第2次世界大戦中の日本では、英語やカタカナ表記の言葉が“敵対語”として認識され、使用を禁止された時期がありました。この際「ゴールデンバット」も名称の変更を余儀なくされ、パッケージも変えられたのですが、実はある理由から、そのデザインに、さらなる改良が施されていました。新デザインの登場から、わずか半年後に行われたこの改良には、一体どんな理由があったのでしょう?

イラスト   太宰治や芥川龍之介など、文豪にも愛され、その高い人気ゆえに“バット党”なる言葉まで生まれた両切たばこの「ゴールデンバット」が、「金鵄(きんし)」と商品名を変更したのは昭和15(1940)年10月のこと。元々、中国で“幸福の象徴”とされていたコウモリが意匠だったこともあり、改名にあたっては『日本神話』の中の一伝説が元にされ、トンビがメインモチーフとなりました。では、これがどんな伝説だったかと言えば…日本の初代天皇が遠征していた際、天皇の持つ弓に金色のトンビが止まり、そのまばゆい輝きを見た敵が逃げ出した…というものでした。このためトンビの肢元には、弓も描かれることになったのです。


    ところが「金鵄」の発売後に、専売局のもとにクレームが届きます。その内容は…この箱が道にすてられていて、仮に踏んでしまったなら、天皇を踏みつけにするのと同じであり不敬なのではないだろうか…というものでした。戦時中の当時は“天皇を中心とする国体の発展=皇国史観”が謳われていた時期だったため、協議を重ねた専売局は『時局に従おう』と、天皇のイメージに繋がる弓をデザインから取り除いたのです。

  この弓の消えたデザインの「金鵄」は、昭和16(1941)年4月〜24(1949)年6月までの約8年間に渡って流通しました。しかしながら戦争が集結すると、「ゴールデンバット」の名称は「ゴールデンバット」に戻り、パッケージのデザインも、まるで自由を謳歌するかの如くパッケージ内を飛び回る、元のコウモリの意匠へと戻っていったのです。
第30話へ