記事詳細
米ロケットが落下、爆発 「宇宙大国・米国」威信揺るがす
「宇宙大国・米国」威信揺るがす…NASAの管理に疑問も
オバマ米政権が進める「民間による宇宙開発」が軌道に乗ったかと思われた中での失敗だった。シグナス補給機を搭載した米オービタル・サイエンシズのアンタレスロケットの爆発は、宇宙大国・米国の威信を揺るがしそうだ。
スペースシャトルの退役後、米国や日本を含む国際宇宙ステーション計画の参加国は、飛行士の輸送をロシアのソユーズ宇宙船に依存する状況になっている。米航空宇宙局(NASA)は2017年に米国の民間宇宙船でステーションへの有人飛行を始める計画だが、その前提となっているのが12年から始めた民間企業による物資輸送が順調に進むことだった。
オービタル社は有人宇宙船を開発しないため、有人計画への直接の影響は少ないと思われる。だが主エンジンの爆発とみられる今回の事故原因の究明にはある程度の時間がかかることも予想され、ステーションへの物資輸送計画の見直しは必至だ。野党共和党によるオバマ政権への批判材料となって、NASAの安全管理体制に根本的な疑問が示される可能性もある。(共同)
■シグナス 米国の衛星打ち上げ会社オービタル・サイエンシズが、国際宇宙ステーションに物資を運ぶために開発した無人補給機。オバマ政権が進める民間による宇宙開発の一翼を担う。宇宙ステーションへの補給機としては宇宙ベンチャー・スペースXのドラゴン宇宙船もあるが、ドラゴンが地球に帰還するタイプであるのに対し、シグナスはステーションから分離後に大気圏に突入して燃え尽きる使い捨て型。