須藤龍也
2014年11月1日00時35分
日本画家の黒川雅子さん(64)=大阪府羽曳野市=が「自分が撮影した舞妓(まいこ)の写真と酷似した日本画を無断で発表され、著作権を侵害された」として、同じ日本画家の坂根克介氏(69)=京都市=を相手に作品の廃棄や約2千万円の損害賠償を求める訴訟を31日、大阪地裁に起こした。雅子さんは直木賞作家・黒川博行さんの妻。
訴状によると、雅子さんは5年ほど前から写生会で舞妓の写真を撮りためていた。大阪市内の百貨店で5月に開かれた展覧会で、自分が撮影した写真によく似た着物や髪飾り、ポーズ姿をした坂根氏の日本画を発見。坂根氏の個展でも別の写真とよく似た日本画3点を見つけた、としている。
雅子さんは「写真は着物の色柄やポーズ姿を指定したうえで撮影した著作物」と主張。そのうえで「写真は親しい画家に参考資料として渡し、坂根氏の手に渡った。坂根氏は撮影者について聞いていたのに、無断で利用されて著作権が侵害された」としている。
夫の博行さんとともに31日に大阪市内で記者会見した雅子さんは「写真を題材に日本画の制作を進めていたが、できなくなった。坂根氏の作品が出回ると、私の作品が盗作と見なされかねない」と述べた。訴訟の対象とした写真と日本画の写しについて、雅子さん側は舞妓の肖像権や著作権を理由に報道各社への提供はできない、と説明した。
坂根氏は日展評議員を歴任し、舞妓を題材にした作品を発表している。坂根氏の代理人弁護士は譲り受けた100枚以上の写真を雅子さん側に返したとしたうえで、「雅子さんの写真とは聞いていなかった。写生会で撮った写真は個人の創作性がなく、著作物にはあたらない」としている。(須藤龍也)
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朝日新聞社会部
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