ローラーフィギュア:「結果出し注目を」…国内普及進まず
毎日新聞 2014年10月31日 15時20分
今秋の仁川アジア大会(韓国)では、4年前の広州大会(中国)で採用された新競技のうち、ローラースポーツとダンススポーツがわずか1大会で姿を消した。大会の肥大化を懸念するアジア・オリンピック評議会の意向だが、選手にとっては落胆も大きい。広州大会ローラースポーツ男子フィギュア金メダルの西木(にしき)紳悟(26)=コンドーク=もその一人。「結果を出して注目を集めれば競技の発展につながる」と、諦めずに現役を続けている。
ローラーフィギュアは、4輪のローラースケートを用い氷ではなく床の上を舞う競技。若者を中心に欧州で人気があり、アイスショーならぬローラースケートショーもあるが、日本の競技人口は100人程度と普及していない。
現役選手で唯一、トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を跳ぶことで知られる西木。徳島文理大学4年で出た広州大会でアジア王者になったが、今大会は連覇挑戦の機会を奪われた。「見る立場になり、いかに大きな大会だったかと驚いた。出たかった」と振り返る。
卒業後就職したが、競技との両立ができずに退職。ローラースケート場がある故郷の徳島で早朝からアルバイトを掛け持ちし、夜を練習時間に充てる。アルバイト資金を元に海外遠征し、イタリア人コーチに巡り合った。「仕事を辞めてまで続けたスケート。上を目指さないといけない」。人脈づくりを重ね、国内では得られなかったスポンサーまでイタリアで獲得した。
くしくも仁川アジア大会と日程が重なった世界選手権(スペイン)で6位に入り、イタリアとブラジル勢が占めた表彰台まであと一歩に迫った。「五輪やアジア大会の競技になればうれしいけど、今は自分の力でメダルを取って存在感を示したい」。自ら操るローラーで、事態の“好転”を目指す。【芳賀竜也】