Moving art and ballet inspires the Japanese skaters
Phillip先生のHPがだいぶ様変わりしました。
Phillip Mills先生のHPから、『Moving art and ballet inspires the Japanese skaters』と題されたストーリーの訳です。
原文:Insights into the Motivation behind Creating the 2014/2015 Season
By Phillip Mills
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この30年間、シーズンを終えるごとに私は己の身体と作品を振り返り、次のシーズンに向けて進化する方法を模索することにしています。04世界選手権で町田樹が大きな成功をおさめた後、私は、樹とほかのスケーターたちのためにまた準備する必要があると感じました。
今シーズンは、オーディエンスとジャッジを突き動かすようなMoving artを創作するシーズンとしてスタートしました。HP(http://www.phillipmillschoreographer.com/)のスライドショー”Creating the Seasons”ではその創作過程を垣間見ていただけます。クリエイティブな振付のために、私はよく、スケーターにバレエの動きを用いたオン・アイスのウォームアップをしてもらいます。なので、今シーズン、バレエをコレオグラフィーに生かすのは、私としては自然な流れだったのです。
町田樹の2つの新しいバレエプログラム
1つ目のバレエはショート・プログラムで、私は『Tragic Love』(悲恋)と名づけました。(※訳注:『悲恋』ですが、『Tragic』なので、淡い失恋などではなく、心に突き刺さって切り刻まれるような悲恋だと想像してください) Nigel Hessによる映画音楽『ラヴェンダーの咲く庭で』から『ヴァイオリンと管弦楽のためのファンタジー』を使用しています。この2分50秒のプログラムは、誰もがなんらかの形で経験する悲恋とそのカタルシスを求めてやまない感情を表現しています。オーディエンスの皆様が樹に導かれておのおのの心に潜む悲恋を深く理解し、心の平穏の向こう岸にたどり着くことを願っています。
2つ目のバレエはフリー・スケーティングのプログラムで、これには『Believe』(信念)と名づけました。ベートーヴェンの『第九』です。これは3つのムーヴメントで構成されています。1つ目は『Passion』(熱情)で、オーディエンスの皆様からのポジティブなエネルギーを集めて彼の内側に取り込みます。2つ目は『Cherish』(慈しみ)です。オーディエンスの皆様から差し出される愛を受け取り、抱きしめます。そして『Celebration』(祝祭)が3つ目です。この華麗で壮大なパートは、パワーとエネルギーを宇宙に放出していく限界にまで感情が昂ぶる様子を表しています。
今井遥の魅せるバレエ
遥はみずみずしさとイノセンスあふれるジゼルをフリースケーティングで表現します。こちらは4つのムーヴメントで構成されています。1)みずみずしさ、2)愛、3)失恋、4)狂気です。
愛するアルブレヒトがコテージのドアに訪れたことでジゼルに訪れる物語を強調しました。遥のスパイラルで、アルブレヒトの愛に疑問を持つジゼルの痛みや悲しみを感じていただくことができるでしょう。遥のステップ・シークエンスではジゼルの死の前の狂気の舞いが極限に達します。彼女の魂は第二幕の精霊たちによって迎えられ終わります。
(了)