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2014/10/31 (Fri)

[]大阪の錯誤捕獲クマについての簡単なまとめ

6月、大阪府でツキノワグマが捕獲されました。イノシシ・シカ用の罠にかかったもので、こうした「錯誤捕獲」による動物は、原則として放獣するよう環境省から指針が出ています。しかし、大阪府ではツキノワグマが生息していないと思われており、捕獲時の対応マニュアル等が整備されていなかったこともあって、動物愛護方面の関心を引くニュースとなりました。このたび、処分が保留されていたこのクマが、熊森協会によって引き取られ飼育される――とのニュースが出たので、これまでの発表などをまとめておきます。


写真はクマと関係ないうちの猫です。「お前は何を言っているんだ」の顔。多分。

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報道と行政発表から

平成26年 6月19日

ツキノワグマの捕獲について−大阪府報道発表

6月19日(木曜日)午前9時頃、豊能町野間口においてツキノワグマが有害鳥獣捕獲用の檻に捕獲されました。

現在、ツキノワグマは檻の中に収容されており、人身に危害を加える恐れはありません。

対象とした動物(ここではシカ・イノシシ)以外が捕獲される例で、いわゆる「錯誤捕獲」。


大阪府で初?のクマ捕獲 豊能町の山中、他府県から繁殖目的で移動か−産経WEST

19日午前9時ごろ、大阪府豊能町野間口の山中で、仕掛けられていたイノシシ捕獲用の檻(おり)にツキノワグマ1頭がかかっているのを、府猟友会豊能支部の会員が発見し、同町に通報した。

 人間に危害を加える恐れがあることから、駆けつけた府動物愛護畜産課の獣医師が麻酔で眠らせ、檻の中に収容。府は今後の取り扱いを検討している。

 府内にツキノワグマは生息しないとされていたが、近年は年に数件の目撃情報が寄せられていた。同課の担当者は「6〜7月はクマの繁殖期。生息している他府県から繁殖目的で移動してきた可能性がある」としている。



6月24日

くまモンも心配だモン! 行くあてなし大阪のツキノワグマ 自然放獣、動物園への譲渡…全て不調−産経WEST

 大阪府豊能町の山中で捕獲された野生のツキノワグマの行方に大阪府が頭を悩ませている。当初、生息実態がある府県で放つことを検討したが、「放獣(ほうじゅう)先は捕獲地が基本」などと指摘を受けて断念。全国100カ所近くの動物園やクマ牧場に受け入れを求めたが、施設に余裕がないなどとして、すべて断られた。果たしてツキノワグマはどこへ行くのだろうか−。

 ツキノワグマが捕獲されたおりは、豊能町に有害鳥獣として指定されたイノシシとシカの駆除を目的としたもの。ほかの生物がおりにかかった場合は「誤捕獲」となる。環境省によると、誤捕獲された生物は鳥獣保護法に基づき、自然に戻されるのが基本という。

 ここで問題となったのが放獣先だ。大阪はツキノワグマの非生息地帯とされている。動物愛護畜産課の担当者は「生息実績のない府内では生きていけないだろう」などとして、府内で放すのは不可能と判断した。

 次に考えられたのは、ツキノワグマが生息し、放獣のノウハウも持つ京都、兵庫両府県だった。しかし、大阪府が京都府に対応策を尋ねたところ、「基本的に放獣先は捕獲された市町村」との説明を受け、兵庫県からも同様の理由で「受け入れは困難」と伝えられたため、他府県という選択肢もなくなった。

 放獣に代わり浮上したのは、動物園やクマ牧場への引き渡し。府は全国約100施設に保護を打診した。しかし、「施設のキャパシティーに余裕がない」「(保護されたツキノワグマは)野生動物のため、病気を持っていないか心配だ」などの理由で、すべて拒否されたという。

 ツキノワグマは現在、豊能町内の施設で保護されている。けがもなく、健康状態は捕獲時と変わりない。府は今後も放獣や保護の受け入れ先を探すが、「すべての可能性が絶たれた場合は、殺処分の可能性も」としている。

 近畿大学先端技術総合研究所の宮下実教授(野生動物医学)は「理想はツキノワグマの生息地での放獣。野生動物に県境はなく、各府県が広域的な課題として議論すべきだ」としている。



7月10日

府内初捕獲のツキノワグマ マニュアル作成迫られる−大阪日日新聞

大阪府豊能町で6月19日に捕獲したツキノワグマの対応をめぐり、府は、7月末までに受け入れ先を確保できなければ殺処分する方向で検討に入った。府はこれまでに全国の動物園やクマ牧場など約100カ所に受け入れを打診したが、飼育環境が整っていないことなどを理由に拒まれたため。ツキノワグマの捕獲は府内で初めてなだけに、府側は対応に頭を悩ませつつ、マニュアルの作成を迫られている。

大阪府の動物愛護畜産課は「7月末までをめどに受け入れ先を決めたい」とし、期限までに決まらなければ専門家と供にクマの扱いを検討するという。



9月4日

大阪府ツキノワグマ出没対応方針の策定について

 これまで大阪府域にはツキノワグマは生息していないと考えられてきましたが、平成26年5月以降、北摂地域において数件のツキノワグマの目撃情報があり、足跡の確認や大阪府域で初めての捕獲といった事案が発生しました。

 また、近隣府県ではツキノワグマの生息域の拡大が指摘されており、今後、住民の生活や自然公園等の利用に大きな支障となることが懸念されています。

 そこで、大阪府は、住民や自然公園等の利用者の安全確保を最優先するということを基本に、『出没を予防すること』及び『人身被害を防止すること』、『誤捕獲を防止すること』を目的として、ツキノワグマの出没への備えと対策を取りまとめた「大阪府ツキノワグマ出没対応方針」を策定しましたので、お知らせします。




9月10日

平成26年(2014年)9月10日 大阪府知事記者会見内容

大阪府知事、記者会見で「捕獲されたツキノワグマの受け入れについて」の項目について対応


豊能町で誤捕獲されたツキノワグマについて(よくあるご意見Q&A)−大阪府

Q3 誤捕獲されたクマを府内で放獣しないのですか?

A3

 大阪府はクマの生息域ではなく、集落が山に隣接し、自然公園や自然歩道も多い、人の活動が活発な地域であるため、人とクマが遭遇する危険性等を考慮して、豊能町と協議の上、放獣しないと判断しました。 


Q7 大阪府ツキノワグマ出没対応方針では、誤捕獲した場合の放獣について地元合意を得られた場合という条件をつけています。

   これは鳥獣保護法に基づく環境省の指針に違反しているのではないですか?

A7

 クマを原則放獣とする考え方は、クマの生息域における放獣体制の整備について示した、環境省の「鳥獣の保護を図るための事業を実施するための基本的な指針」に則ったものでありますが、大阪府域はクマの一時的出没地であり、生息域ではありませんので、その内容が適用されるものではありません。

 そのため、当該方針を作成するにあたっては、住民と自然公園等の利用者の安全確保の観点から、放獣については地域の合意を得るという条件を付しているものです。


10月31日

■豊能町のクマ 引き取り先決まる−MBSニュース

今年6月、大阪府豊能町の山中で誤ってイノシシの檻にかかったツキノワグマが施設で飼育されることになりました。

府は山に返すことは人里に近いため危険だとして動物園などの施設に引き取りを求めましたがすべて断られ殺処分も検討されましたが、自然保護団体が大阪府内に新たに施設を設けて飼育することが決まりました。

「本当は山に帰すべき。熊にとってオリで飼うのはストレスかかるからかわいそうだが、精いっぱい大事にしたい」(日本熊森協会会長・森山まり子さん)

大阪府は「引き取ってもらってありがたい、安全な施設となるよう協力する」としています。 (10/31 19:17)



報道および大阪府からの発表は以上。



日本熊森協会の発表と対応

熊森協会では、6月からこの件に対して積極的に意見を表明してきました。ブログ記事にて20件以上、かなり注目していたことと言えそうです。

全部読むのは大変心労を伴うので(読みましたよ、読みましたとも!)、ざっくりまとめてみました。

あくまで協会の公式ブログから読み取れることです。「彼らが何々と言った」ということはともかく、「誰が何と言った」というのは協会ブログの書き手のフィルタを通した状態であって、あまり信頼のおけるものではないと僕は感じます。なので、あくまで、「こういうことがあったようだ」くらいにとどめておいてください。



熊森協会の反応まとめ

ブログで大阪府の対応を批判

一時飼育されている施設を視察、飼育環境が劣悪で改善するよう求める

殺処分決定

大阪府「もらい手を捜したけれど見つからなかった。殺処分する」

熊森協会「殺すのは待って、熊森で飼うから」

大阪府「誰がどこで飼うのか」

熊森協会「今思ったことなのでまだ決まっていない」

大阪府「飼うなら具体的な計画を出して欲しい」

熊森協会「当協会は、このクマの命を最優先に考え、当協会が引き取ることを大阪府に申し出ました」

熊森協会、ブログで土地探しが難航していることを発表

熊森協会「今からでも遅くない、錯誤捕獲した場所で放獣すべき」

大阪府知事、会見で「ぜひ飼育したいと言ってくれているところも」と発言

熊森協会「うちのことですか? うちは、飼いたいなんて言った覚えは全くありませんよ」

一体どういうことなの……

「殺処分は避けたい、やむにやまれぬ」思いで保護飼育を申し出たとしても、実際に対応する行政としては「飼うのか飼わないのか」こそが重要なのであって、そこに「積極的に飼いたいと言ったのか、やむを得ず飼うように申し出たのか」はあまり重要じゃないのでは、と思う。


熊森協会の関連記事リスト

6月

大阪豊能誤捕獲グマ1 専門家の手で山に返してやってください

大阪豊能誤捕獲クマ2 飼い主を探すのではなく、山に返してやってください

大阪豊能誤捕獲クマ3 同一個体群として生物を見るべきなのに、行政の厚い壁が救命を阻む

大阪豊能町誤捕獲グマ4 狭いドラム缶檻に閉じ込められて8日目 いったん出して保護を


7月

6誤捕獲されたクマが一時保護されている大阪府豊能郡豊能町て、どんなところ?

8大阪豊能町クマ誤捕獲されて40日目、殺処分の選択肢はないと大阪府庁 早く山に返してやろうよ


8月

9小さな檻に閉じ込められて60日間 宙に浮いたままの大阪府豊能町誤捕獲グマ 一刻も早く山に返してやって 大阪府庁に熊森が提案と要望書を提出

10 8月19日訪問 誤捕獲されたクマ君、もう限界 一刻も早く山に返してやって


9月

11 大阪府、誤捕獲されたクマの殺処分を決定

12 8月20日、大阪府から入った豊能のクマ殺処分決定の電話と熊森の対応<概要>

13 8月21日 クマという言葉を出すと、大阪での土地の購入は、すぐにはむずかしい

8月22日 クマの保護飼育を決めるには、時間がかかる

14 8月25日 くまもりの衝撃:大阪府から、豊能のクマを放獣させてほしいという正式依頼など、1回も受けたことはありませんと、ある近隣府県の行政

15 これまでの豊能グマ問題の総括 大阪府はどうしてクマ1頭の命も助けられないのか

16 今後、大阪府に顔出ししたクマは捕殺 最悪の「大阪府ツキノワグマ出没対応基準」

17 9月5日 豊能グマ、今からでも遅くない、誤捕獲現場で放すべし <現場訪問>

18「大阪府ツキノワグマ出没対応方針」は動物愛護畜産課が勝手に作ったもので無効

19 9月9日付で、豊能グマ飼育環境改善願い文書を提出

20 9月10日 大阪府松井一郎知事 豊能グマに関する記者会見

21 これはひどい 熊森が、豊能のクマをぜひ飼いたいと言ったことになっています

22 イギリスの動物愛護団体から 大阪府松井一郎知事に、豊能のクマ問題で請願署名 数日間で5,312名分の署名が届けられる

23 9月17日、豊能誤捕獲グマのお世話

㉔ 9月18日 朝日放送テレビの夕刻番組「キャスト」の取材


10月

9月22日 朝日放送テレビ 夕方の「ニュースキャスト」が、豊能グマ問題を大きく報道(関西エリア)

10月15日 豊能グマ、藁入れ後、1週間目のご報告




感想など

このニュースを真剣に追っておらず、また地域性のある話題なので、あまり積極的に発言したいと思っていません。とりあえず、箇条書きにしておきます。

  • 熊森協会の意見の中でも「行政の横の連携が取れていない」というのはその通りで、移動範囲が広いクマにとっては県界なんて関係ないのだから、他県での放獣を含め、横断的な連携が取れるような仕組みづくりが必要になってくるだろうなあ。
  • 熊森協会さんの愛護感情を煽るようなやり口は相変わらずで、「意見を届けてください」と行政窓口の連絡先をブログに載せたりする手口も、いい加減迷惑行為でしかないことを自覚して欲しい。
  • 熊森協会の記事の中でも、「豊能グマ問題を大きく報道」の番組紹介記事は、番組の論調が、大阪府のや近隣の行政、研究者や住民の意見を紹介しており、「地元の同意を得るのも難しい」ことが伝わってくるのに、熊森協会の意見は何一つ具体的でなく、実行力の無さが浮き彫りになっていて、その書き起こしから得られる結論がそれなのかよ感がすごい。絶望する。
  • これはやばい

【クマ錯誤捕獲に関する番組書き起こし】行政や研究者の話を聞いてみたよ。近隣住民にも色々な声があって、一意に同意を得るのは難しいよ

【熊森協会の見解】お手本になるべき行政が、鳥獣保護法違反と動物愛護法違反を続け、動物を虐待しています

  • 今からでも遅くない、誤捕獲現場で放すべし」もヤバくて、周辺住民の同意を得るのが難しいって言ってんのに「ここで、檻のふたを開け、逃がしてやればよかったんだ!」だし、「クマを放すと集落に入って来るかもしれないと大阪府がそんなに怖がるのなら、放す時にクマに発信器を付けて放し、そうならないことを確かめたらいいと思います。」とか書いちゃってるし、なんで「そうならない=放獣したクマが集落に入ってこない」前提なの? 今「入ってきたら危ないから放獣は難しいよね」って話をしてるんだよね? ナンデ?
  • ともあれ、引取りを決定したのは英断で、すごいと思う。ぜひ、クマにやさしい精神で終生飼育して欲しい。
  • できれば、そのまま愛護団体として特化して欲しい。トラスト地内に自然に近い状態で暮らせるクマ園を作って引き取り先にすれば、多分これから有難がられると思う。
  • で、ドングリ運びとかカキ運びとか、そういうのから手を引いて欲しい。
  • ところで今年は実成りが不足というニュースが夏頃から流れていたわりに、熊森協会さんの動きが静か過ぎて不気味だ。webで活動を書くと批判されるから、水面下でやってるのじゃないかと戦々恐々である。
  • 大阪府の「大阪はクマの『生息地』じゃないから、環境省の指針でいう「原則放獣」は当てはまらない(から殺処分もできる)」という論法、ちょっと無理があると思う。いや文面上はそれでいいんだけど、いつまで「大阪府は生息地じゃない」が主張できるか、という疑問が。
  • 参考:環境省 鳥獣の保護を図るための事業を実施するための基本的な指針(pdf)
  • 一方、熊森協会さんも「放獣しないから違法」というのも短絡的というか、根拠なくそういう言葉を振り回すべきじゃないと思う。「お手本になるべき行政が、鳥獣保護法違反と動物愛護法違反を続け、動物を虐待しています」とか、そういうの。



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