2014-10-31 16:41:16

起業の成功確率を高めるには

テーマ:ベンチャー経営
レアジョブが上場して以来、起業直後のスタートアップの経営者たちにメンタリングを頼まれることが多い。

そのメンタリングのときにはいつも同じ質問をしているので、今日それを書いておく。
(これから相談してくれる方は、これを先に読み考えておいてもらえるとうれしい)

ではその質問と言うのは次の6つだ。

1) 今困っている人をすぐ助けたいか、それとも時間はかかっても大勢の人にインパクトを与えたいか
2) 誰から毎月いくらまでなら取れそうか
3) その「誰」に実際に売ってみたことはあるか? その時の反応はどうか?
4) その「誰」は世界に最高で何万人いそうか
5) その「誰」に、自分(昔の自分)は含まれているか?
6) 競合はその人たちをなぜまだ取れていないのか?


(1)は、例えばフィリピン・タクロバンのの台風ハイエンの高潮被害を例に挙げる。
質問の前者のように、被災者にいますぐテントや食料を届けるのはNPOしかできない。
ビジネスでもできないこともないが、本流ではない。
ただ、タクロバンで起きたことは、堤防を海岸に築くことで解決できていたはずの話。
堤防を築くためには国が富んでいないとだめで、
国を富ませられるのはビジネスしかない。
いま困っている人を助けたいとしたらNPOが最適で、
時間はかかってもインパクトを最大化したいならビジネスがよい。

そこで、もしビジネスがいいとなった場合は、以下、2)-6)の質問に移る。

(2)
ビジネスをするとなった場合は、どうやったらお金が儲かるかを考えなければいけない。
おカネをもうけてこそ、インパクトを最大化できるからだ。
だとすると、想定ユーザーたちから頂く金額を最大にするのが、ビジネスとしてはまっとうになる。
(もちろん、一人あたりの価格を安くすることで人数を増やし、結果として収益が最大化するのでもOK。レアジョブはそうしているつもり)


(3)
では、頂ける金額が見えてきたら、その金額で売ってみる。
ものはできていなくていいから、「この金額で買いたいですか?」と聞いてみる。
そうすれば、顧客が本当におもっていることを直接聞きやすい。
本当に思っていることがわかれば、その先に進めやすい。
ここで顧客ニーズが本当にあり、売れそうだという感触がつかめたら次に移る。
(レアジョブはプレサービスを3か月やった)

(4)
次は、顧客の人数を知る。世界で最高に何万人使いそうか。
(たとえばレアジョブは、日本人の中では、社会が大きく変わらない限りは人口の10%しかつかわないサービスだと考えている。)

(5)
そして、次に考えたいのは、自分がその商品をほしいかどうか。
いまの自分ではなく、昔の自分でも構わない。
自分がほしいものほど、しっかりしたものをつくりやすい
もちろん、世の中には自分がほしくないが他人がほしいものをつくれるひとはいる。
しかしそれは難易度が高い。
たいていのひとは、自分がほしいものを作った方がうまくいきやすい。
(レアジョブは、僕が前職の外資系戦略コンサル時代に欲しいサービスだった)

(6)
そして最後に考えてほしいのが、競合はその人たちをなぜまだ取れていないのか?
競合もバカではない。
なぜ競合がそれをできていないのかというところに、
本質的な答えが隠れていることが多い。
多くの場合は、技術的な理由が多い。
たとえばレアジョブが2007年から立ち上がったのは、
フィリピンでのADSlの普及のタイミングだったからで、
そのハードの進化に、スカイプでうまく乗れただけだ。
けして僕が優れた経営者だからではない。
(僕がレアジョブとは別にいま日本のオンライン英会話に参入しても、必ず失敗すると思う)


以上の質問を、メンタリングのときはたいていする。
Edu-techよりのスタートアップから相談に乗ることが多いので、
ややそちらに偏っているきらいはある。
ただ、大枠としては他の業種でもある程度は通用するのではと思う。

以上のことを
起業仲間と議論することで起業の成功確率が高まったとしたら、
僕はうれしい。
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