水沢健一
2014年10月29日15時10分
海外での医療費の一部を国民健康保険などが支払う海外療養費制度を会計検査院が調べたところ、受給者の約9割の審査記録がそろっておらず、本当に条件を満たしているか確認できなかった。この制度をめぐっては、女性タレントの父親が詐欺容疑で逮捕されるなど、不正請求が問題化。検査院は、所管する厚生労働省に改善を求める方針だ。
海外療養費は、国内に住む人が旅行などで短期間海外に行き、現地で受診した際に医療費の一部が支払われる。海外に長期間住む場合は対象外だ。現地の医療機関で診療内容などを記入してもらい、国保などに申請する。
検査院は、国保や後期高齢者医療制度を運営する全国約300の市区町村を抽出。2012年度までの3年間に、計約13億円の海外療養費が支給された約2万7千人について、海外への渡航歴などを確認できたか調べた。
すると、9割超の約2万5千人分(支給額約12億円)は、パスポートのコピーなどの書類や審査記録がなかった。3年8カ月間も海外にいて支給条件を満たしていないとみられる人が、海外療養費を何度も受給する例も発覚。支給した国保は渡航期間を確認していなかった。
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朝日新聞社会部
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