2014/10/30
Next Concept, User Experience, UXデザイン
現場で感じるUXデザインの限界とその対策
金成哲です。
UXデザインの仕事をいくつも経験して常々思うことがあります。それは、UXデザインは、それだけでは何もできないということです。誤解して欲しくないですが、「UXデザイン無用論」を言っているつもりではありません。UXデザインはよりよいもの(ここでは製品もサービスも以降「もの」と表現します。)を作るためには必須です。しかし、UXデザインだけにフォーカスし過ぎても良いものはできないことがわかってきました。
NCDCの仕事はUXデザインから始めて、多くの場合、アプリやシステムの実装までを行います。しかし、一部の仕事ではUXデザインまでを担当し、実装は他の会社が担当することもあります。そうなるとUXデザインの成果物を開発会社のアプリやシステムの設計に使用するものとして提供することになりますが、この成果物の引き継ぎが結構なタスクになることが往々にしてあります。その理由はUXデザインではフィジビリティ(実現可能性)までは考慮されていても、システムとして実装するための細かい仕様に対する考慮が漏れていることが多いからです。その理由は簡単です。最終的に作るものは同じであってもUXデザインの段階では使用者の視点でしかものを見ていません。しかし開発会社は作る側の視点でものを見ることとなります。つまり、同じ対象の異なる側面を見る必要があります。
NCDCはUXデザインの工程でもできるだけ実装のことを考慮しながら作業をやっています。UXデザインの現場には必ず該当システムの実装技術に長けている人が参加し、エンジニアの視点での助言・補足を行っています。それでもUXデザインのフェーズが終わり、実装のフェーズに移行する際にはUXデザイナーと実装の担当者間の長時間の協業が発生します。この作業内容を簡単に言うと、UXデザインのアウトプットをSIerの仕事のインプットとして変換することです。そしてその変換作業は単純変換ではなく、新しい考慮事項や検討事項が山ほど隠れている大変な作業でもあります。
例えば、UXデザインの成果物には画面の構成と遷移は書かれていても、その時にシステムがどのような処理を行うか、それが他のシステムやデータの整合性にはどのような影響があるかまでの記述はありません。もしUXデザイナーが「そういうことは俺の仕事の範疇ではない」と言い切ってしまうと開発会社は大変な目に会うことになります。またUXデザイナーがいくら頑張っても実装技術に対する理解がないゆえに、実現可能性のない絵を描いたら、それはまた大きな手戻りが発生することになります。
いくら素晴らしいUXデザインを行ってもそれがきちんと実装され、公開されない限り絵に描いた餅にすぎません。そして技術的に、コスト的に、あるいは期間的に実現可能性のないUXデザインの成果物はただのゴミです。UXデザインを単純にユーザー経験だけにフォーカスするタスクとして限定的に見ることもできますが、NCDCでは今までの経験からそのような見方ではいい仕事はできないと思っています。
「素晴らしい使用者経験をデザインしたんだから、後は任せた!」では話になりません。
このようなことを防ぐための理想的な条件は、UXデザイナーが実装技術のこともよく知っており、UXデザインの成果を開発会社に、開発者の言葉で説明できることです。しかし、今そのようなことができるUXデザイナーは日本中にそれほど多くないと思います。そのため、現実的な解としてはUXデザインのプロセスの中に実装技術を知っている人を参加させ、その人にUXデザインでの作業内容を理解してもらいつつ、UXデザインの成果物を開発者が必要とする資料(要件定義書や基本設計書)として起こしてもらうことになります。そしてこの情報の変換・伝達のタスクが結構プロジェクトの成敗を分けるポイントであったりします。
最近のNCDCの仕事はUXデザインから始め、実装のための設計のレビュー、実装したコードのレビュー、ユーザへの教育、そして全体としてのプロジェクトの支援まで多岐にわたるようになってきています。上述したことからすると当たり前のことです。UXデザインしたものが適切な実装工程を経て、満足した品質で使用者に提供されるまでを全面的に支援する、それが今のNCDCのUXデザインの定義となってきています。
言い換えると、「使用者経験をデザインし、それが最終的に使用者に提供されるまでの全ての工程を支援する」ことがNCDCが行うUXデザインです。
そのため、NCDCのメンバーはみんな各自の得意分野を持ちつつ、UXデザイン、ヴィジュアルデザイン、実装技術、そしてプロジェクト管理に対する知識・経験を身につけるように意識しています。本当にいい仕事をするためには一つの専門分野のスキルだけでは不十分であると思っているからです。
ですからNCDCは「素晴らしい使用者経験をデザインしたんだから、後は任せます!」というようなことは言いません。
NCDCは「素晴らしい使用者経験をデザインしました。実装はこうすればいいです。」と言います。もちろん、実装までも行ったりもします。
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