川内原発:市長が再稼働同意 新基準審査の立地自治体で初

毎日新聞 2014年10月28日 19時46分(最終更新 10月28日 22時33分)

記者会見で記者の質問に答える薩摩川内市の岩切市長=鹿児島県薩摩川内市で2014年10月28日午後3時31分、和田大典撮影
記者会見で記者の質問に答える薩摩川内市の岩切市長=鹿児島県薩摩川内市で2014年10月28日午後3時31分、和田大典撮影

 ◇市議会の賛成採択受けて 県知事は10日にも判断へ

 鹿児島県薩摩川内(さつませんだい)市の市議会(26人)が28日、臨時の本会議を開き、市内に立地する九州電力川内原発の再稼働を求める陳情を採択した。これを受けて、岩切秀雄市長が「再稼働を進める政府方針を立地自治体として理解する」と述べ、再稼働への同意を表明した。国の新規制基準による審査が行われている全国13原発の中で立地自治体が再稼働を認めたのは初めて。県議会も11月5〜7日に臨時会を開いて再稼働の可否を判断する方向で調整しており、知事が10日にも結論を出す見通し。一連の地元同意手続きは大詰めを迎える。【宝満志郎、津島史人、杣谷健太】

 本会議では、20日に早期の再稼働を求める陳情を採択した市議会原発対策調査特別委員会の報告があり、その後、議長と退席者1人を除く24人で再稼働反対、賛成の陳情をそれぞれ採決。記名投票により、再稼働に反対する陳情10件を不採択とする一方で、早期再稼働を求める陳情1件を賛成19、反対4(棄権1)で採択した。

 岩切市長は、本会議閉会後に議場で開かれた全員協議会で「市議会の審議を高く評価し尊重したい」と述べて、市議会の判断を支持。川内原発が国の新規制基準に適合したことや、住民説明会の開催も同意理由に挙げた。

 その後の記者会見で市長は「将来は廃炉を目指していかなければならないと思う」と話す一方で「大量に安定的に電力を供給する原発は大事だ。本市が1例目となるが、2例目以降も、国が責任を持って稼働できるのであれば稼働してほしい」と原発の必要性を訴えた。また、27日に九電の瓜生道明社長と面会し、安全確保のため、万全を期すよう要請したことを明らかにした。

 伊藤祐一郎知事は、九電との安全協定に基づき、再稼働に「同意」が必要な範囲を薩摩川内市と県に限っている。市が結論を出したことで今後の焦点は県議会(49人)と伊藤知事の判断へと移る。

 県議会は28日、前日に引き続き原子力安全対策等特別委員会を開いて再稼働賛成、反対それぞれの陳情提出者から話を聞き、実質的な審査を終了した。薩摩川内市議会と同様に、近く特別委がいずれかの陳情を採択して特別委としての判断を示し、その後、県議会の臨時会でも同様に陳情を採決する。

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